第二十話「ハサミと怒り」
「僕のことは、知っているよね?」
「D組の岡田君」
「よかった。僕のこと知っててくれて」
「……手紙読んだ」
「僕の気持ち受け取ってくれるかな?付き合ってほしんだけど」
「ごめんなさい」
明音は、頭を下げて断った。
「どうしてかな?」
笑顔で聞いてきた。
「それは……」
「もしかして、山口が好きなの?」
「……」
黙ってしまう。すると、岡田が一歩また一歩っと明音に近づいて来た。
「ねぇ、俺と付き合おうよ。その方が幸せになれるよ?」
笑顔の表情を崩さず説得してくる。そして、二人の距離が無くなったところで岡田は、明音の両肩を掴んで耳元で囁く。
「さぁあ、俺と付き合おう野々村さん!」
「嫌だっ!」
明音は、怖くなって思いっきり突き飛ばし尻餅をついた岡田。走って逃げ出す。
「待てぇ!」
後ろから怒った岡田が走って来てみるみる距離が縮んで。
「痛い!放してぇ!」
「放すもんか今日から俺の女になれぇ」
明音の髪を強く引っ張る岡田。その痛さに立っていられず、地面に座り込んで目から涙がこぼれはじめた。
「やめてぇ……やめてよぉ」
「いや、やめない」
岡田は、自分の鞄からハサミを取り出してニヤニヤする。
「な、何するのぉ?」
「実は、俺髪の毛ショートが好きなんだよねぇ」
そう言ってハサミを開いたり閉じたりの動作する。
「まさか……」
「そう、今日から俺の女になるんだぁだから、この髪短くするねぇ」
「嫌!やめて!誰か助けて!」
「五月蝿い黙れ!」
さらに髪を引っ張りハサミを近づける。口から白い歯が見える。
剣。助けて。痛いよぉ痛くて死にそうだよ。
「このクソやろ!」
明音の後ろから剣が現れて全力で岡田の右頬をぶん殴った。その勢いで後ろに吹っ飛んだ。殴られた頬を摩る。気が付けが口が開いたままで顎が外れたみたいだ。何か剣に対して言っているようだが、何を言っているのか分からない。泣きすぎて目の周りが赤くなり、長い髪がボサボサになってしまった明音の肩に自分の制服をかける剣。
「明音。遅れてゴメン。もう少し早く来れば……」
「……ううん。……ありがとう。来てくれてありがとぉ」
剣の胸にしがみ付いて顔を押しつける明音だった。




