聖女覚醒①
すみません.昨日設定を忘れていて投稿できませんでした!
たのしみにしていただいた方ごめんなさい!
今日もよろしくお願いします。
眩しい。
あまりにも眩しい。
思わず両目を閉じる。
それでも瞼の裏まで白く染まり、光は容赦なく視界を埋め尽くした。
「……え?」
何が起きたの。
そう口にしたいはずなのに、自分の声すら聞こえない。
さっきまで耳を震わせていた轟音も。
魔物の咆哮も。
騎士たちの怒号も。
何もかもが消えていた。
まるで、この世界から”音”だけが切り取られてしまったかのような静寂。
頬を撫でていた風も止んでいる。
舞い上がっていた土煙は空中で静止したように動かない。
時間まで止まってしまったようだった。
「……。」
私は恐る恐る目を開ける。
視界いっぱいに広がるのは、どこまでも澄んだ白い光。
優しい。
けれど、圧倒されるほど神々しい光だった。
その光は、空から降り注いでいるわけではない。
地面から湧き上がっているわけでもない。
戦場全体を包み込み、森を、空を、大地を、全てを等しく照らしていた。
薙ぎ倒された木々。
爆炎で焼け焦げた大地。
飛び散った血。
砕けた剣。
その全てが白銀色に輝いて見える。
まるで、戦場そのものが浄化されていくようだった。
「何……これ。」
震える声が漏れる。
誰かが放った魔法?
違う。
こんな魔法、教本でも読んだことがない。
アッシュなら知っているだろうか。
そう思い、思わず魔術師団の方を見る。
アッシュも動きを止めていた。
いつも冷静な黒い瞳が、わずかに見開かれている。
展開していた巨大な魔法陣は消え、ただ静かに光を見つめていた。
その姿を見て、私は確信する。
アッシュですら知らない。
こんな現象は誰も知らない。
その時だった。
ふわり。
温かな風が吹いた。
止まっていた空気が、ゆっくりと動き出す。
風は木々の間を優しく吹き抜け、血と土埃の匂いを攫っていく。
焼け焦げた森に、どこからともなく草花の香りが混じった。
「……。」
私はゆっくりと自分の手を見る。
白い。
いや。
私の身体から。
淡い白金色の光が静かに溢れていた。
指先から。
腕へ。
胸へ。
そして全身へ。
光は呼吸をするように優しく脈打っている。
「え……。」
理解できない。
どうして。
私なの。
私はただ。
助けたかっただけ。
フォレストを。
パイロを。
みんなを。
その瞬間。
私を中心に、光が波紋のように戦場全体へ広がっていった。
白金色の光が大地を駆ける。
倒れていた騎士たちを包み込み。
傷付いた者たちを優しく照らし。
絶望に染まっていた戦場を、静かに飲み込んでいく。
そして――
ベヒモスの巨大な前脚が、振り下ろされる寸前で止まった。
まるで見えない何かに阻まれたように。
漆黒の巨体が初めて怯む。
赤黒い瞳が、ゆっくりと私を見た。
その瞳には。
怒りでも、殺意でもない。
初めて見る”畏怖”が宿っていた
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