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彼方世界とリヴァイバー  作者: 風降よさず
VII ここにいたいと思うから
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第165話 おつかいの途中で

「それと、これと……あと、あれをお願いします、です」

「いつものやつね。ちょいと待っておいてくれよ」


 頼まれたものはこれで全部の筈、です。

 あとはルークさんが買ってる、ですから。


 でも、品物を受け取ろうとしたら、おばちゃんがいきなり何かを探し始めたです。

 並んでる分でもちゃんと足りる筈、ですけど。


「はい、まいどあり。……それにしてもほんと、いつも偉いわねぇ。よかったらこれ持ってって。休憩時間にでも食べちゃいなさいな」

「え、でも……」

「大丈夫、大丈夫。いつも頑張ってるんだからだれも文句なんて言いやしないよ。……早く見つかるといいね」

「あ、ありがとうございます、です」


 今日だけでも五回目、です。

 今までの事を全部合わせたらもうわかんないくらい、ですから。


「またいつでもいらっしゃいねー!」


 あのおばちゃんも、隣の隣のお姉さんも、その向かいのおじちゃんも。

 ちょっとした時にいろんなものをわけてくれてた、です。


 この町に来るまではそんなことなんてなくて、ほんとにびっくり、でした。


 でも、今日は特にいい買い物がたくさんできた、です。

 商人さんのお仕事を邪魔する魔物がいなくなったおかげ、でしょう。


 おかげで協会の倉庫もすっかり広くなってた、です。

 なんとか揃えられた、ですけど、次はもっと仕入れないとなくなっちゃいそう、ですね。


 またキリハさんの周りで何か起こるかもしれない、ですし。


 アイシャさんの家でいっしょにご飯を食べた次の日も、また大きなクネイシーがいたみたい、ですし。


 まるで何かに引き寄せられてるみたい、でした。

 キリハさんは『そんなやつがいるなら冬眠してもらいたいくらいだ。一生かけて』なんて言ってた、ですけど、多分無理、です。


 多分、これから先も色んな事件に遭う気がする、です。

 でもきっと大丈夫、でしょう。毎朝ユッカさんと特訓してるみたい、ですから。


「ま、マユ? どうしたんですか、そんな大荷物で……」

「このくらい軽い、ですよ?」


 ほんとに会えた、です。

 びっくりした、です。ユッカさんが一人でこの辺りに来ることなんてほとんどない、ですから。


 そういえば、ユッカさん。体験会の後から前より優しくなった気がする、です。

 前も意地悪じゃなかった、ですけど、ちょっとだけ変わったのは間違いない、です。


「いやいやいや! それ前見えてないですよね!? 怪我しちゃいますよ!?」

「同感だ。運び慣れているにせよ、危険なことに変わりはない。……ちょっと失礼、っと」


 キリハさん、まで。


 おかげで一気に軽くなった、です。

 ……もうちょっと背が高かったら、見えなくなるなんて事もなかった、のに。


 でも、キリハさんもユッカさんも結局手伝ってくれそう、です。


「ほんとですよ。誰ですか? マユにこんなに任せたのは」

「他の人も買いに出かけてる、ですよ?」

「その上で特に重そうな荷物を担当した、と。次があったらその時は声をかけてくれ。俺達も手伝うから」

「そうですよ。キリハさんだっているんですから。じゃあ、わたしはこれとそれと――」

「あ、それは……!」


 今ユッカさんが持った荷物はちょっと重――


「お、重……っ!?」

「ユッカも張り切り過ぎだ。ほら、少しこっちに」


 キリハさん動くのが早い、です。

 転びそうになったユッカさんの後ろから支える、なんて。


 荷物もいつの間にかキリハさんの腕の中、です。

 でもちょっと、持ちすぎ、ですよ? キリハさんたちだって自分の荷物がある、のに。


「ありがとうございます、です。二人もおつかい、ですか?」

「あ、ああ、まあ……そんなところだ。一応」

「?」


 ちょっと詰まってた、気が。


 そんな反応をするなんてちょっと珍しい、です。

 あっても戦い以外で困った時とか、リィルさんに怒られた時、とか……あっ。


「おつかいなんかじゃないですよっ。リィルに行きなさいって言われたんです! ちょっと変えるのが遅くなっただけなのに!」

「……朝の練習をやり過ぎた、ですか?」


 ちょっとありそう、です。

 前に見た時もすごく熱心だった、ですから。


 レイスさんもトーリャさんも一緒、でした。いつもそうみたい、です。

 三対一なのに、まだ余裕がありそう、でした。


 あの日はイルエさんとレアムさんも見てた、です。混じるつもりはなかったみたい、ですけど。


「大正解。実際、少し熱中してしまっていたのは間違いない」

「なのにユッカさんは怒ってる、ですか」

「なのに、じゃないですよ! 材料一つ一つ、一番安い店が全部違うんですからね!?」

「それはリィルさんのせいじゃない、ですよ?」


 キリハさんも頷いてる、です。

 それに全部が違うなんてことはない筈、です。お店だってそんなに多くない、ですから。


 冒険者の人が買ったおうちだってある、ですし、食堂だって少なくない、です。

 ユッカさんはたまに大げさに言っちゃうことがある、ですから、きっと今回もそのせい、でしょう。


「さっきから何度も言っているだろう? 怒ったのはユッカのことを心配しているからだ。それに……この状態でもできることはある」

「却下で」

「だと思った」

「どうして、ですか? そんな方法があるなら、やれば……」


 でもちょっといやな予感がする、です。

 キリハさん、普段はできるだけ冷静なことを言ってくれる、ですけど、たまに変わったことを言う、ですから。


「できるわけないじゃないですか! すれ違う人の魔力を感じとりながら歩くなんて!」


 ……やっぱり、でした。


 教えてもらってもよく分からない、です。何言ってる、ですか?

 調べたくても、キリハさんの魔力が大き過ぎて調べられない、です。


「とまあ、そういうことだ。その辺りはユッカにもいずれやってもらうからいいとして」

「よくないですよ!?」

「いいから、いいから。少し急ごう。……集合時間が近い」

「えっ。……あっ!?」


 集合時間があるなら行ってくれてよかった、のに。


「もっと早く言ってくださいよ! これ間に合いませんよ!?」

「大丈夫だ、問題ない。この辺りの地図ならさすがに頭の中にある」

「じゃあ……お願いしますね?」

「「そうじゃない(です)」」


 任せるつもり満々、でした。

 そんな言い方でも駄目だと思う、です。リィルさんにばれる、ですよ?


「だってしょうがないじゃないですか! きっとキリハさんの方が歩くの早いですよね? あのお願いの権利使ってもいいですから!」

「こんなところで躊躇なく使おうとするんじゃない」


 そういえばあった、ですね。

 事あるごとに使おうとしてずっと残ってる、とか。


 ユッカさん『どこで使えばいいんですか』って言ってた、です。


「……そんなに慌てなくてもいいでしょ。あたしのことなんだと思ってるのよ」

「り、リィル……!?」

「ま、まあまあ……あんなにたくさん荷物があったなら仕方ないよ。ね?」


 リィルさんにアイシャさん、まで。

 レアムさん達は協会、でしょうか。


 あっという間に賑やか、です。

 ちょっと前まで一人で買い物だった、のに。


 でも、どうして、でしょう?

 集まる時間まで余裕があるなら、迎えに行かなくても……


「……確かに、マユと一緒だったのはありがたいわね」

「マユが、ですか?」

「そうそう。実は……マユちゃんに見てもらいたいものがあって」


 そう言ったアイシャさんが持っていたのは、小さな便箋、でした。


 その時はまだ、あんなことになるなんて全く想像もできなかった、です。

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