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季節がめぐる中で 52

「さあ、皆さん。こちらをどうぞ!」 

 階段を上がってきた春子と小夏が次々とテーブルにお好み焼きの素を置いていく。

「豚玉!」 

「はい、師匠は三つですよね」 

 叫ぶシャムに小夏が三つの豚玉の小鉢を渡す。

「そう言えば久しく食ってねーな。お好み焼きは」 

「じゃあ、えび玉はどう?」 

 ランにえび玉を渡す春子。気の早いマリアはリアナと一緒にイカ玉と格闘を始めた。

「後は明石さんが遅れて来るんでしたっけ?」 

「まあ、本部に行ったわけだからそう簡単には返してくれねえだろうけどな」 

 春子の言葉を聞きながらビールを煽る嵯峨。

「しかし、ビールを克服されるとは……」 

「おう、要。何でも来いよ!」 

 また注がれたコップを空にしたランは嬉しそうに要を見上げる。

「それじゃあこれは……」 

 そう言って自分のラム酒を取り出そうとしたところで明華にその腕を掴まれた要。

「なに、今度はランをおもちゃにする気?ちゃんと自分ので遊びなさいよ」 

 そう言って誠を見る明華。要はにんまりと笑ってグラスに手を伸ばそうとする誠をさえぎってそれを取り上げた。

「そうだよなあ、オメエと遊んでやらねえと」 

 そう言うと要は誠のグラスになみなみとラム酒を注いで誠の前に置いた。

「これ、飲まないと駄目なんですよね」 

 沈んだ声を出す誠。要と明華、そしてランの視線が誠に集まる。

「あの体格だ、結構飲めんだろ?コイツも」 

「いや、こいつは飲みすぎると面白いことになるからな」 

 ニヤニヤ笑みを浮かべながら小声で話し合う明華とラン。

「許大佐。ちょっと神前を苛めるのはやめた方がいいですよ」 

 カウラはそう言って烏龍茶を口に含む。鉄板の上の野菜玉が香ばしい匂いを放っている。

「ドサクサ紛れに早速焼きやがって」 

 その様子を見た要が対抗してイカ玉を鉄板に拡げた。

「あの、西園寺さん。どうしてもこれを飲まなければいけないんですか?」 

 さすがにこれから教導に来てくれる教官を前に無作法をするわけにはいかないと、誠はすがるような気持ちで要に尋ねる。

「ああ、じゃあ隣の下戸と一緒に烏龍茶でも飲んでろ」 

 そう言うと要は自分のイカ玉を小手で馴らした。

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