季節がめぐる中で 34
「それじゃあ要ちゃんとカウラちゃん。手伝ってね!」
逃げられないように二人の腕をがっちり掴んでリアナがそう言った。見詰め合う要とカウラだが、いつの間にかキムとエダ、そしてパーラの姿はなくなっていることに気付いてあきらめる。
「あのー、僕は?」
「ああ、誠君はたぶんランちゃんが用事があるって言ってくるわよ」
リアナはそう言うと火箸で網を集めているカウラの監督をはじめた。
「行ってこいよ」
そんな嵯峨の言葉に追い出されて廊下に出ると、ハンガーから響くランの叫び声が聞こえた。誠はとりあえずハンガーへと向かった。
「オメエ等!邪魔すんじゃねえよ!」
ランの叫び声が聞こえて、誠は管理部の前の手すりから身を乗り出した。三号機、誠の専用機はすでに定位置に固定されていた。
しかし、その正面には奇妙な箱が置かれている。
高さは5メートルくらい、良く見れば先月解体を担当した仮設住宅を組みなおした物だった。その隣では吉田とシャムがランとにらみ合っている。
「吉田少佐!」
階段を駆け下りた誠を珍しいものを見るような目つきで見つめる吉田。
「ああ、良い所にきたな」
そう言いながら吉田は腕組みをしているランをにらみつける。
「コイツを外まで運んでくれねえか?」
吉田が指差している建物の中から甘えたような動物の声が聞こえる。
「これって……」
「うん!グレゴリウス19世の家だよ!」
「13世だろうが!」
名前を間違えたシャムをはたく吉田。そんな二人を見ながら恐る恐る誠はランを見つめた。小さな体を一杯に伸ばして誠を見つめるラン。中佐という肩書きは伊達ではなく、どう見ても小学生にしか見えない彼女だがその見えない圧力と言うものを感じて誠は冷や汗を流した。




