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季節がめぐる中で 135

 悪寒がした。誠はレーダーに目をやった。

「敵影多数!こちらに!」 

『馬鹿野郎!多数なんざ見りゃわかる!数言え!』 

 わざとらしく誠を罵ると要は一気に加速をかける。

『誠ちゃん。マリアお姉さんの位置が分かったわ。転送するからすぐに向かって!』 

「そんな!要さんが突撃して……」 

『神前曹長!これは命令です!すぐに向かいなさい!』 

 厳しい表情のアイシャに誠は何も言えずに転送された地図を見て南西へと急いだ。

『大丈夫だ神前。私もいるんだ!』 

 カウラはそう言いながら誠機を守るように進軍する。視界から消えた要の機体と敵の部隊が接触したことがレーダーで分かる。

「大丈夫ですよね」 

 誠は気づいた。自分の言葉に懇願するような響きが混ざっていることに。だが、カウラは首を左右に振ると誠を先導するようにマリアの出す通信の地点へ機体を進める。

『まずいわね。回り込んだのがいるわよ。おそらく5機。動きが早いから西モスレムからの義勇兵でも乗ってるかもしれないわ』 

 画面の中で珍しく神妙な顔をしたアイシャが親指の爪を噛んでいるのが目に入った。

『仕方ないわ。クバルカ中佐!』 

『わあってるよ!まあ条約だとかは嵯峨のおっさんに任せることにしてこっちはアタシがひきつける!カウラと誠はそのまま進撃しろ!』 

 誠の機体のレーダーで輸送機の護衛に回っていたランがすさまじいスピードで降下していた。

「凄い……」 

『感心している場合じゃないぞ!』 

 カウラの声と目の前が爆炎に包まれるのはほぼ同時だった。そして誠の頭にズキンと突き刺さるような痛みを感じる。

「法術兵器?炎熱系です!」 

 カウラの機体も炎に包まれていた。誠はすぐさま干渉空間を展開しようとする。

『力は使うな!たかだかテロリスト風情に私が遅れをとるわけがないだろ!』 

「でも!」 

 誠はそれ以上話すことができなかった。モニターの中のカウラのエメラルドグリーンの瞳が揺れている。

『行け!神前!』 

 ランが敵の遊撃部隊と接触しながら叫んでいる。

「じゃあ!行きますから!」 

 誠はそう叫ぶとマリア達警備部の派遣部隊から出されている信号に向けて機体を加速させた。

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