季節がめぐる中で 127
「ペッタン胸やエロゲ中毒患者とデートするよりよっぽど建設的だろ?それに……」
「それに何?暴力馬鹿と一緒に町を歩いていたらそれこそ警察のご厄介になるのが落ちよ。それとも得意の寝技でも繰り出すとか」
要の売り言葉にアイシャの買い言葉。いつもの展開にカウラはただくたびれたと言うようにパーラの席で伸びをしている。
「ごめん!アイシャ。状況は!」
そう叫んでコックピット下の仮眠室から出てきたパーラに誠は思わず顔を赤らめた。ラフに勤務服のライトグリーンのワイシャツを引っ掛けて作業ズボン、ピンク色の髪の隙間からむき出しの肩の肌が透けて見える。
「パーラ。こいつがいること忘れてるだろ?」
アイシャとにらみ合うのを辞めた要に言われてパーラは自分の姿を見た。胸の辺りまでしかボタンをしていないために誠からもその谷間がくっきりと見えた。そしてパーラの悲鳴。思わず視線を床に落して言い訳を考える誠。
「なるほど、誠ちゃんはどじっ娘属性があるのね」
真顔でそう言うアイシャを見てカウラは何もいえずに急いでボタンをはめるパーラを見た。
「パーラ。ボタン一つづつずれてないか?」
「えっ……ホントだ」
そう言うとパーラはそのまま仮眠室の扉の向こうへと消えた。
「何がしたかったんだあいつ」
要はそう言うとゆっくりと体を起こす。誠がそちらに目をやると、要の顔は笑っていなかった。
「北から近づいている機影があるな。……三機か」
彼女とリンクしている東和軍とこの輸送機のレーダーからの情報が要にそんな言葉を吐かせた。
「東和軍の識別信号は確認してるわよ。出撃前にランちゃんの言ってた『信頼できる護衛』の方々じゃないの?」
アイシャはそう言うとモニターの前にあるキーボードを叩いて機影のデータの検索にかかった。
『クラウゼ少佐!東和軍のアサルト・モジュールから通信です!』
菰田の声に続いて、モニターの中に小さなウィンドウが開いた。
ヘルメットをしたランが映し出される。同時に機影のデータから一機のホーン・オブ・ルージュと東和の現用アサルト・モジュールである89式二機が接近していることが表示される。
『よう!護衛に来たぜ』
明るく叫ぶラン。その声を聞きながらようやく制服をきちんと着ることができたパーラがカウラが立ち上がるのにあわせて自分の席についた。
「ランちゃんありがとうね!」
『おい、クラウゼ。一応アタシは階級が上なんだ。ちゃん付けは止めろ。しめしがつかねーだろ?』
愚痴るようにそう言うランににやけているアイシャ。ランの部下の89式のパイロットが低い声で笑いをこらえているのが分かる。
『とりあえずアタシが先導するから作戦時間の管理はテメーがやれ』
ヘルメットの中で頬を膨らませるランを笑いながらアイシャは頷いた。
「時計合わせは一時間後で。進入経路は……」
パーラがあわただしくキーボードを叩く。カウラはその姿を確認した後、誠と要に向かって歩いてくる。
「出撃準備!」
凛としたカウラの一言にはじかれるようにして誠と要はパーラの居た仮眠室の隣の部屋にあるパイロットスーツの装備をするべく立ち上がった。




