第六話「し」
私は今人間が本当の幸せを手に入れるためのシステムを改築している
この作業も手馴れたもので徐々に完成しつつある
さて、地上世界を見渡す
あの親子たちは相変わらず動物たちを殺傷しそれを料理していた
あまりにも悲しすぎる
私は魂にある仕組みをつけた
それは悪いことをするほど死後の世界では苦しみ
良いことをするほど死後の世界では幸せになれる
そういう仕組みだ
私はたくさんの地球を作りそこに男女を配置した
というのも一つの世界にばかり目を向けていては苦しいだけだし
たくさんの幸せの形を見るためでもあった
さて、初めに作った地球での家族をどう罰しようか考えた
その家族は動物たちを殺したとはいえ悪気があってやったわけではない
私にとっての罪の重さは動機とやった内容だ
そう考えつつ、私は初めに作った世界を見る
「なんと!」
私は驚きを隠せなかった
一人の少女が今にも殺されかけている動物の前に立ちはだかり声高に叫んでいるのだ
”動物は食べ物じゃない! 私たちの友達”だと
私はこれを見て感動を覚えた
まだまだこの地球の人間も捨てたもんじゃないなと
一人の少女と母、父を含めた周りの兄弟が言い争いをする
動物を殺すか殺さないか……
今まで動物を殺傷してきて食べていた家族には辛いことであろう
動物を食べるのをやめろと言われたら
思えばこの少女だけが動物の肉を食べていなかった
まずいと言って食べなかったのだ
そうこうしているうちにその家族の間に動きが見られた
母親が少女に近づく
何をするのかと私は思った
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少女の体から血が流れる……
母親が少女をナイフで刺したのだ
実の娘を
この母親の罪は重い
母親は分かっていたのだ
自分の娘を殺すことが悪いということが本能的に
だが動物を食べるという自分の欲求を優先してしまった
悲しいことだ
娘の体から魂が抜ける
人間にとって初めての死だ
この娘の魂は霊界では高い位置になる
そして最初に霊界へ訪れた魂だ
私は娘に話しかける
「おめでとう、君は勇敢に戦ったよ」
「ここは……?」
「ここは霊界、幸福な世界だ」
「……」
少女は黙りこくっていた
何を考えているかは私には分かる
私は創造神、神だ
人の心の中も読める
「そんなに生まれ変わりたいのかね?」
「はい、生まれ変わってあの悲劇を止めたいです!」
「君はもう生まれ変わる必要がない」
「それでも私の家族をほっとく訳にはいきません!」
なんと勇敢な子だろう
「この世界に来て分かりました、私の母は罪が重いんですよね」
「そうなる」
「何とか私の母の罪を軽くしてはもらえないでしょうか?」
なんと慈悲深き子だろう
自分を殺した相手を心配している
「残念ながらそれは出来ない、摂理だからだ」
「そう……ですか……」
「君は生まれ変わって悲劇を止めたいのだね」
「はい」
「今はそれは出来ないがいつかその使命を君に授けよう」
「あ、ありがとうございます」
少女は喜びながら私に感謝の言葉を述べた
この子だ
この子のような人物が世界中に蔓延すれば世界はエデンの園になる
私の望んだ世界だ
さて、私は初めの地球に目を移す
相変わらずその家族は動物の肉を食べ続けていた
母親は涙を流していた
実の娘を殺して後悔しているのだろう
だが後悔後に立たず
自分の娘はもういない
他の子供たちが母を慰める
どのみちこの母は霊界でも低い場所に行くことは決まっているだろう
さて、今後この世界はどう転んでいくのか
私は心配しつつこの世界を見守る




