いつもと同じ
2011年3月11日12時45分頃、海に「また明日」と言われ一瞬寂しさを感じた。
そのまま動かず立ち止まっていると道が隣に来た。
「お待たせ星。」
「遅ーよ、道。お前、人待たせておいて蜜柑と喋ってたろ。」
「あ、バレた?」
「バレバレだろ。てか、取りに行った荷物は?」
「もちろん持ってきたよ。」
「じゃあどこにあるんだ?」
「リュックに入れた。」
「お前のリュックどんだけ入るんだ?」
「さあ?でも、人は入らないよ。」
いつも俺が(蜜柑と話したいがために忘れ物を取りに行く)道のことを待って一緒に帰っているが、明日で卒業ということや高校が別々ということも相まってなんだか今日はやけに帰り道が懐かしく感じる。
「星さー、海に告らねーの?」
「うるせーよ、なんで毎回そういう風にからかうんだ?」
「だって2人、めっちゃ仲良いじゃん。」
「幼馴染だからだよ。」
「もしかして両想いじゃね?星、海のこと好きっぽいし。」
「うるせーよ。そういう道はどうなんだ?」
「ご想像にお任せします。」
「それはセコいって。」
いつもと同じようなたわいもない話に花を咲かせていると道が道の凹みに躓いて盛大に転んだ。
「大丈夫か?」
「うん、……けど痛い。」
「足元注意しろよ。」
「してたよ。でもなんか頭がクラってなって……。」
「今日はしっかり休めよ、10kmとか走らずに!」
「わかった、7kmぐらいにしとくよ。」
「なにもわかってないじゃん。」
でもあの道が走る距離を減らすってことは少しはわかってるのかも?
「そう言うんだったら星もついてこいよ。」
「ごめん、今日は無理。」
「なんで?」
「綾が家に来るから。」
「マジ?」
「うん」
ここ数年というより、綾が小学生になってから2週間に1回ペースで家に来るようになった。決まってこの曜日とかではなく、海のお母さんの帰りが遅いときによく来る。
帰りはよく海が迎えにくるがお母さんのときもある。
「学童みたいだな。俺も行っていいか?」
「道は家で寝とけ。」
「えー、いいじゃん。」
「明日、卒業式出れなくてもいいのか?」
「絶っ対いや。」
「じゃあ家で大人しく寝とけ。」
「わかった。7km走った後にな!」
「全然わかってないじゃん……。」
まあこの方が道らしいけど……。




