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06:エピローグ

 二か月後。

 王城の庭でお茶をする、六人の姿があった。


「みんなが無事でよかったです」


 キャサリンが、同じテーブルについたハリー、ヘイズ、ヒース、ホーリー、そしてフレンに話しかける。


「でも、一か月近くも眠っていたなんて、驚きました」

「悪魔を封印した代償だと思えば、安いものだ」


 フレンがそう言って、手元の手紙を広げる。


「ステラとゼロは、そろそろ船に乗ったころかな」

「二人が旅に出たことだけは悲しいです。せっかく友達になれたのに」


 キャサリンの言葉に、他の五人も同意するように沈黙した。


 『神の宝玉の間』で一晩過ごしたあとのこと。

 あの夜なにがあったのか、彼らにはっきりした記憶はない。

 ただ無我夢中で力を合わせて、なにか強大なものと戦った感覚だけは残っている。


 次の日の朝、全員が室内で倒れた状態で見つかった。

 重大なことが起こったことだけは理解した王が、事実を隠し、全員の意識が戻るまでの一か月近く、八人を城で保護した。


 意識を取り戻したあと、真っ先に動いたのはゼロだった。

 乙女ゲーム云々や時間の巻き戻しどうこうは隠し、最強の魔法使いの自分が国の危機を察知して、悪魔を封印するために他の七人の協力を得て戦ったのだと説明したのだ。


 その説明は受け入れられ、八人は無事日常を取り戻す。


 そしてステラは、ゼロと共に世界を見て回りたいと望み、叶えられ、この国から旅立っていってしまった。


 たくさんの貴族の前で婚約を破棄され、冤罪でつるし上げをくらった貴族令嬢。

 すべて濡れ衣でステラに罪はなかったと明らかになっても、何もなかったころには戻れない。

 そう言って、ステラは王や両親たちを、そしてフレンたちを納得させた。


 表向きには病気療養の名目で、外国にゼロと旅立つ。そんな計画をいつから立てていたのだろうとフレンは考える。

 相談されていれば、自分も力になりたかったのに、と思う。が、あの二人の計画に口を出すのは野暮というものか。


「ときどき帰ってくるって言ってただろ。それまでにこの国を、あいつらがずっといたくなるようないい国にしておこう」


 ハリーが言うと、みなに笑顔が戻った。


「そうだな。とりあえず今は――」


 フレンは、持っていた紅茶のカップを掲げてみせる。


「――あの二人の旅路に幸多からんことを」



お読みいただき、ありがとうございます。

これで完結ですが、ループ中の小話などいずれ番外編として書けたらなと思います。

駆け足な内容でしたが、お楽しみいただけたなら幸いです。

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