禁断の自由研究
本編『TS賢者は今日も逝くっ!』の99話〜100話の間で飛んだ期間での出来事です
ある日のこ
「あああああぁぁぁああぁぁぁぁああああああっ!!!!!!」
/
バァンッ!!
\
\ドタバタバタバダバタバタバタ!!!/
\
ガッチャーン!!
/
「何ようるさいわね!!ソフィちゃんでしょう!!貴女喋らなくてもうるさいのね!!」
「こここここここここここ校長先生ぃぃぃいいいいいっ!!!」
「はぁ····· ゲンコツ何発がいいかしら」
「それ、それどころじゃないんです!!」
私は大慌てで校長先生の部屋へ飛び込んだ。
説教を食らうかもしれないリスクは承知の上で飛び込む方を選んだのには、訳があった。
「夏休みの、自由研究でっ!!ちょ、ちょっとご相談がっ!!」
「帰りなさい!!貴女ねぇ!!毎年博士論文みたいなの書いてるじゃない!!自分で勝手にしなさいよ!!」
「勝手に書いてたら大変な事になっちゃったんですよぅ!!」
「何よもう·····」
そう、なんでこんなに焦ってるかというと、自由研究で自由すぎる研究をしてたらとんでもない事実を発見してしまったのだ。
「そ、その、·····誰も聞いてないですよね」
「聞いてるわけ無いじゃない····· で?何を見つけたのかしら」
「·····なんで遺伝子が全く違う人類種族からハーフが産まれるのか」
「っ、·····話しなさい」
この世界には、人類種族のハーフが存在する。
例えば『ハーフエルフ』、『ハーフドワーフ』あたりが有名だ。
他にも稀だけど『エルドワーフ』というエルフとドワーフのハーフとか、猫耳の生えたドワーフ、人魚化したエルフやら色々と居る。
·····が、それがおかしいのだ。
「まず前提として、私たち人間とエルフ、ドワーフや魔族はそもそも全くの別の生物なんです」
「·····そこから既に驚きなのだけど」
「これでもまだまだ序の口なんです·····」
そう、私は今年の夏休みに遺伝子検査をしてみていたのだ。
そうしたら、やばい事が分かってしまった。
この世界には、白人黒人黄色人種とかそういうレベルじゃない、人間の亜種····· いわゆる『亜人』が存在している。
·····と、思ってた。
実際はそんな簡単なものじゃなかったのだ。
「エルフは、精霊が受肉したモノが収斂進化でヒトの形になった存在」
「ドワーフ/ドヴェルグは大地の星霊ユミルドワーフが先祖にいる、人型の生命体」
「魔族はそもそも金星で産まれた、属どころか根本から全て全く違う生命体」
「·····日本で例えると、人間とチンパンジーどころかカンガルーとか犬とかくらい全く違う生命体だったんですよ!!」
「·····収斂進化、いえ、まさか·····何者かが『ヒトの形に進化しろ』と誘導してるのかしら」
「( °Д° )」
「え、何よその顔」
「·····そ、そこはかんがえてなかった」
「( °Д° )」「( °Д° )」
校長先生も、なんかヤバい事実に気が付いてしまったようだった。
·····それは後で考えるとして。
「それより、私が見つけたのはそっちじゃないんです!!もっともっとヤバいんですよ!!人類の価値観がひっくり返りかねないヤバいことなんです!!」
「·····何かしら、怖くなってきたわ」
「さっき言った通り、亜人はそもそも『網』から違うんで、どう交尾しようが子供は絶対に出来ないはずなんです!」
「·····でも、いるわよね」
「えぇ、·····ちなみに私も実は魔族の血を引いてるみたいでこの銀髪も魔族由来だったみたいなんですよ、それとフィーロ君もドワーフの血を引いてましたし·····」
「不思議ね·····」
そう、そもそも亜人族同士は、どう交尾しようが無理やり人工授精させようが、子供は絶対に出来るはずがないのだ。
·····けど、居る。
ハーフの種族は毎年のようにあちこちで産まれてる、普遍的な存在なのだ。
まぁ同種と比べて妊娠はしにくいみたいなんだけどね。
「そんでここからが本題なんです、それについて気になって遺伝子のデータを見比べてたら、有り得ないはずの『共通の遺伝子』があったんです」
「·····何かしら」
「えーっと····· その〜·····」
「勿体ぶるわね」
「言っていいのかなこれ·····」
「·····」
「分かった分かった、言いますって!!その遺伝子は私は『リリム遺伝子』って呼ぶ事にしたんですけど、その、リリム遺伝子の大元も実はフシ町に居る友達たちに協力してもらってた遺伝子検査中に、モロそのものを見つけちゃってまして·····」
「·····嫌な予感がするわ」
「リリム遺伝子の大元、その〜·····」
サキュバス、なんです·····
◇
サキュバス。
それは·····
·····説明要らないよね?
エッチな魔物としてめっちゃくちゃ有名だし。
ちなみに『リリム遺伝子』のリリムは、フシ町に住んでる私と同い年の親友で見習いサキュバスの『リリム』から取った。
んで、この世界のサキュバスは他の世界のサキュバスとはちょっと事情が違うらしい。
分類学的に言うとニンゲンに近い生物由来の魔物じゃなくて、スライムと同じ魔導生物なのだ。
·····サキュバス、実はざっくり言うとスライムなのよ。
魔物のサキュバスは相手の好みに合わせ姿形を自由に変化させられる。
つまり、スライムって訳だ。
で、サキュバスは何故かありとあらゆる生命の子を産むことができる。
何せ何にでもなれるし、遺伝子単位で変化する事が出来るのだから。
これこそが『リリム遺伝子』の正体、『サキュバス』だ。
·····リリム遺伝子はそもそもデオキシリボ核酸じゃない。
魔導生物のサキュバスなのだ。
サキュバスが姿形を相手の遺伝子に似せて絡み合い、相手の生殖細胞を誤認させ子供を作る。
するとリリム遺伝子を持つ人間が産まれる。
つまり、体にリリム遺伝子を含んだ半分サキュバスの人間が産まれるって訳だ。
で、そうして産まれたのが【リリム/人間】という訳なんだけど、こっからが面白い。
この組み合わせには他にも色々あって、【リリム/エルフ】とかも居るのだ。
そう、サキュバスは全生命とのハーフを生み出せる力がある。
そしてもしこの【リリム/人間】と【リリム/エルフ】が生殖すると、リリム遺伝子が繋ぎあわさる事で本来絶対に繋がらない【人間/エルフ】が【リリム=リリム/人間&エルフ】という形になり、実現してしまうのだ。
ちなみにゴブリンでも可。
つまり、ハーフはそもそもハーフじゃなくて、半分くらいが擬態したリリム遺伝子で、残りが元々の遺伝子という訳で·····
「·····私たち、人類は」
「サキュバスなのね、貴女の言う『リリム遺伝子』が入ってるからこそ、どんな人種であっても結婚して子供を作れるという訳ね」
「·····って、締められたら良かったんです」
「まだあるのかしら!?!?!」
「あるんです····· 魔物って『進化』するじゃないですか·····」
「するわね、全く形が変わる魔物も····· あっ」
·····そう。
この世界に居る魔物は、魔力量が一定を超えるとより高い魔力量に耐えられる体に『進化』する。
·····良く考えれば、普通の生き物が姿形が全く変わる進化するなんて有り得ない。
それこそ不定形のスライムでも無ければ、
·····スライム、でも無ければ。
この世界の全生物には、少なからず『リリム遺伝子』が含まれている。
それはつまり、私たちはリリム遺伝子により姿形を変えることが出来るという訳になる。
「·····校長先生も進化、してましたよね?」
「じゃ、じゃあ私は····· なんでかしら?」
「そこが問題なんです、校長先生っていう例外が居るせいで説が立証できないんで·····」
「·····ソフィちゃん?」
「校長先生さえ消せば、この説は完璧になるんです、だから消えてくださいなっ!!」
\ゲンコツ!!/
「ベイスターズっ!!?」
「何考えてるのよこのおバカ!!」
私は説の唯一の例外である校長先生を消そうとして、即ゲンコツを喰らった。
「いい?私を暗殺しようとした事は、この自由研究を私が預かるって事でチャラにしてあげるわ」
「へーい·····」
「それに10歳児程度の貴女には重すぎる学説よ、この件の責任は私が引き受けるわ、だから口外はしないで頂戴、いいかしら?」
「へぁい····· まって、ってことは私、夏休みあと2日で自由研究やり直し·····?」
「そうなるわね」
「か、返せーっ!!私の自由研究をーっ!!」
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「せ、セーフ····· 校長先生の計らいで自由研究は免除になったわ·····」
名前:校長先生
ひと言コメント
「あ、危なかったわ····· この子2日で魔導核融合炉の設計図と稼働可能な模型作って提出しようとしてきてたわ·····」




