第3話
広報に載せたかいあって子供達が集まってきた。施設に何人かは住んでくれるらしい。
「皆の名前頑張って覚えなきゃ!」
「頑張りましょう!」
レオも一緒に頑張ってくれるらしい。
「新しい子はメアリー、ナナ、あと、ルーシーと、あなたは?お名前なんて言うの?」
何も言わなかった少女に問う。彼女は少しうつむいてから口を開いた。
「ない。」
「へ?」
「なまえ、ない。」
「ないのね?うーん、じゃあ、綺麗な赤毛をしているからスカーレットにしましょう!」
「すかーれっと?」
「うん!ぴったりだと思うの!どうかしら!」
「ありがとう、すかーれっとうれしい!」
「うん。」
よしよしと頭をなでる。彼女は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔をみてセレーナも嬉しくなった。
「セレーナ様の広報活動のおかげで何人かは救われましたね。」
「そんなことはないわよ。さて、今日は畑を作らないと!」
「畑ですか?」
「ある程度は援助して貰えるけど、自給自足していかないと!」
「なるほど、」
「後はパトロンを探すのもありね。」
「ぱとろん?」
「支援者のことです。」
「へー。覚えておきます。」
セレーナの畑作りを見ていたメアリーとルーシー、カインも畑シゴトを手伝ってくれた。おかげで予定より早く畑を作れた。
「よしっ!後は芽が出るまで水をあげながら待つだけね。」
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一方、レオは炊き出しの準備をしていた。もちろん、使用人達も手伝う。
「レオ、畑ができたから様子を見に来ましたわ!」
「畑、もう出来たんですか?」
「皆が手伝ってくれたのよ!」
セレーナは笑顔で手伝うわと言う。
「シチューを作ってるんです。」
「私に出来る事ってあるかしら?」
この野菜を切ってくださいと、レオに言われて切ってみる事に。
使用人達はヒヤヒヤしていた。なんせ、レオもセレーナも包丁を持つのは初めてだからだ。だからレオは野菜を洗う係だった。
「っ!」
包丁で人参を切る。上手く切れなくてへんな形になった。もう一度挑戦する。しかし、
「いたっ!」
「大丈夫ですか?!」
その場の全員が氷ついた。、
「ええ、これぐらい平気です。」
レオも心配してくれているらしい。
「大丈夫ですか?」
そう言って手をひょいと掴むと切れた傷口を舐める。
「?!」
「舐めてれば治りますよね?」
「お、お嬢様になんてことを!」
使用人達は青ざめた。
「み、皆落ち着きましょう!舐めてれば治るものです!」
「いえ、手当しましょう。」
そう言われて手に包帯をグルグル巻にされた。
「おおげさね。」
その後無事にシチューはできたのでした。