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約束
言葉を持った扉の声を聞いた少女は、扉に耳を当てて扉の声を聞くのが好きになった。
『ねえ、お話して?』
壊れた扉は、それにこたえるように、いろんな話をしてくれたから。
空の話、海の話。
外の世界の話は、少女の期待を膨らませた。
けれど、少女には、外に出たことがあるのかもわからない扉がなぜ外の世界をしっているのかはわからなかった。
扉は、少女の疑問に答えるように、そういう時は、限って。
『本当は僕、王子さまなんだ』と答えた。
少女には、扉が王子さまなんて信じがたいと思ったが、壊れた扉の言葉なら信じようと思った。
それに、もしこの扉が王子さまなら、いつか自分を外の世界に連れていってくれるような気がしたから。
『私ね、いつか、君と外に行きたい』
少女は、そう自然と口にだすことが多くなっていた。
希望がだんだん大きくなっているような気がしていたから。
『僕も』
それは扉の形でしかないのに。
少女は、どうやって私を外に連れていくのだろう、とは思わなかった。
『じゃあ、約束だよ』
ただ、この壊れた扉がそばにいることだけが、真実だったから。




