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眠れない夜
その日、少女は、眠れないでいた。
扉が少女を安心させるようにいてくれているのに、少女は、どうしても寝ることができなかった。
『ごめんね。今日は、眠れなくて』
少女は、だんだん寝れないことがつらくなってきて、そう言葉をこぼした。
聞こえてくる声のせいだろうか、少女は目を閉じても、眠りにつくことができなかった。
少女はまよった末、扉にそっと近づいた。
『今日は、君の隣で寝てもいい?』
扉に耳を当てると、少女に答えるように、誰かの声が聞こえた。
『いいよ』
はっきりと聞こえた声に、驚いたように、少女ははっと目を見開いた。
しかし、そこにあるのは、いつもの壊れた扉で。
『君、話せるの……?』
深呼吸を一つして、もう一度耳を当てた。
『もちろん』
そうかえってきた言葉に、少女は涙がこぼれそうなほどうれしいと思った。
今まで壊れた扉は、少女にとって、声を出して話をしてくれる存在ではなかった。
そこにいるだけで。
でも、安心させてくれて。
そばにいてくれて。
でも、ちゃんと声をもって、私と一緒にいてくれたんだ。
そう気づくと、自然と顔がほころんだ。
『おやすみなさい』
扉の声に、頷いて、少女は目を閉じた。
今度はちゃんと眠れる気がした。




