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梅雨の訪れはどこかワクワクする~第三ラウンド~

投稿遅れてすみません!>_<

「・・・この毒霧、前のやつと同じ種類か?」

一瞬だけ、嫌な記憶が脳裏をよぎる。

あの縛られている感じと強烈な痛み。

だが、立ち止まって確かめている時間はない。

「まあ、大丈夫だろ!」

叫んで、自分を無理やり前に押し出す。

「行くぜぇぇぇーーー! アホナス!」

魔力放出と瞬魔を同時に解放する。

足裏から噴き出した魔力が、身体を弾丸のように打ち出した。

降り注ぐ銃弾を逸らしたり躱したりしながら進む。

速度が一気に跳ね上がり、視界が線になる。

魔獣の巨体が、一直線に迫る。

「ッスーーー!」

腹の底まで空気を吸い込んだ。

次の瞬間、僕は毒霧の中へ突っ込んだ。

視界が一気に濁る。黄緑色の霧が、肌にまとわりつくように流れ込んできた。

―――息継ぎはさすがに無理かな。

霧の隙間から、周囲を一瞬だけ確認する。

町で一番高いビル、その上層部まで、すでに毒霧が覆っていた。

・・・やばいな

拡散速度が、想定より早い。あと二分。それ以上は、絶対に間に合わない。

『花、合図したら魔力弾を発射して。』

『了解!』

僕は左手に花から託された剣を装備して、右手に魔力を集中させる。

霧の奥に蠢く気配を感じる。

僕は毒霧の中にいるそれへと、迷いなく踏み込み、切りかかった。

そして、魔獣が目の前に現れる。

目と目が合う。

『い!・・・?』

僕が発射指示を出そうとした瞬間強烈な嫌悪感が全身を支配する。

その魔獣は、気味の悪い、うれしそうな顔をしていた。

まるで、僕を待ちわびていたかのように。

次の瞬間、肌を刺すような強大な魔力出力を感知した。

空気が震え、鼓膜がじりっと鳴る。

直後―――

目の前を覆っていた毒霧が、爆風に薙ぎ払われたかのように一瞬で消え去る。

飛び交っていたはずの弾丸も、音もなく霧散した。

気づけば、空中に展開されていた巨大な魔法陣も跡形もなく消失している。

「・・・っ」

一瞬、状況を理解できずに呆気に取られた。

その隙を、魔獣は逃さない。

魔獣はぎこちなく身体をひねり、銃身のように変形した異形の器官を、真っ直ぐこちらへ向けてくる。

「くっそ!」

反射的に、剣を魔獣へと振り抜いた。

―――デッドリーヴェール。

刃が魔獣へ届く、その寸前。

雨雲を震わせるように、またもかすれた声が再び響いた。

胸の奥が、ぞわりと粟立つ。

理屈ではない。本能が拒絶するおぞましさ。

『逃げろ!』

花の叫びと、ほぼ同時だった。

目の前の空間に魔法陣が出現する。

そこからどす黒いヘドロ状の塊が噴き出すように現れ、一直線にこちらへ射出される。

速度が異常だ。

降り下ろした剣の軌道を、完全に上回っている。

それは、避けるという概念ごと押し潰すように、

僕の全身を包み込む範囲で迫ってきた。

―――これは、さすがに。

「死にません。」

魔獣を小馬鹿にした声が漏れた。

「ボーン、part2」

あらかじめ右手に仕込んでいた、高密度に圧縮した魔力球を解放。

爆ぜる衝撃と同時に、魔力放出を一瞬で発動させる。

視界が白く弾け、足元が消える感覚。

次の瞬間――

ヘドロが身体に触れる直前、身体を強引に左へ滑り込ませる。

黒い塊は、僕のいた場所を貫き、空を突き抜けていった。

『「カウンターなんて、読んでいたわバカ垂れ!」』

花にも、魔獣にも聞こえるようにソウルコネクトを使用する。

同時に、油断しきっているのか分からないが、その場に固まっている魔獣を地上に蹴り飛ばした。

本当はこの剣で切りたかったけど、今は固まっているのが解ける前にダメージを入れたくてスピードを優先した。

『まじで、ナイスすぎ!上手。』

『それほどでも・・・あるか!』

そして、地上に落ちていく魔獣に続いて急いで僕も落ちていく。

着地点は工事現場であった。とはいっても、万年工事現場のあそこではなく、僕が降りてきた駅の出口の反対にある工事現場だけど。

幸い、今日はここには誰もいないらしい。魔力感知に引っかかっていない。

「ここなら周りを気にせずに、やれるよなぁ?」

そういいながら起き上がった魔獣にむかって、剣を引きずって歩いていく。

魔獣も僕にむかって、武器を引きずって歩いていく。

そして、両者は姿を消す。

キーン

刹那、僕と魔獣の武器が交差する。

そして、両者は即座に間合いを取る。

さらに、鳳と魔獣が同時に魔力で高速移動する。

火花を飛ばしながら、超高速で近接戦闘を繰り広げる。

鳳は魔獣に傷をつけて、

魔獣は鳳に毒をいれる。

魔力弾はほとんど意味をなさないと感じた花は、ただ、待つのみであった。

そんな激戦の中、両者にダメージが徐々に蓄積されていった。

生命力の減り具合と残り生命力は鳳が劣勢。

魔力量の減り具合と残り魔力量は魔獣が劣勢。

しかし、戦闘は急に幕を下ろす。

魔獣の武器の銃口から、突如として毒霧が工事現場一帯を覆うように放出された。

「カハッ!」

不意を突かれ、思わず毒霧を吸ってしまう。

瞬間、硬直と内臓の痛み、筋肉の痛みが全身を駆け抜ける。

そして、魔獣は立ったまま固まった鳳に足を向ける。

ドンッ!

「グギ!」

剣を握りしまたまま鳳は蹴っ飛ばされる。

工事現場のコンクリートの山々にめり込む。

大量の血が地に広がる。

意識が朦朧とする。

毒のせいか痛みのせいか分からないが動けない。

呼吸をしたらもっと酷いことになると直感する。

「ヒッ!」

傷だらけの魔獣が目の前に来る。

そして、怒りと蔑みと快楽の表情を浮かばせながら、しゃがみ込む。

『・・・い、・・・ぬな・・・まって・・・いまい・・・』

花が何を言っているのか分からない。

でも、今から魔獣がしようとすることは分かる。

殴殺だ。

そう思った瞬間、顔面に強烈な痛みが襲う。

そして、腹に、胸に。

足は踏みにじられている。

もう、痛みが痛みで塗り帰られているだけで、そろそろ、何も感じなってきた。

「て、っめえ・・・」

死ぬ。理解した瞬間、恐怖より先に、別の感情が湧いた。

―――このゲス顔をぐちゃぐちゃにしたい。

ここまでいたぶってくれて。

花を苦しめてくれて。

毒なんて姑息な手段を使いやがって。

なにより、ただ、このまま終わるのが、我慢ならない。

怒りと嫌悪で僕の中の負の感情が大きくなる。

酸素が頭に回らないなりに、痛みで意識がしっかりしていないなりに思考を巡らす。

・・・どうしたら、こいつをぐっちゃぐちゃにできるのか。

今までのラノベの経験とこの魔獣の言動。

脳が焼き切れるまで、回せ。

俺が生きて。

こいつが死ぬ。

その答えを――今、ひねり出せ。


―――あっ、そうだ。

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