俺、勝てます。
1日遅れでの更新です。申し訳ありません。
-3話、俺、勝てます。-
「なんだよこれ」
光が溢れ手に何やらゴツゴツしたものが乗った感覚があった。
「なんだよこれ」
光がおさまり、骨格が露わになる。
それは、50センチほどの長さの『チェーンソー』だった。
それも二本。
「・・・なんだよこれ」
脳が仕事をせず、同じ言葉を反復しかしない。いやいや、だってユニークウエポンとかいってチェーンソー現れてもなぁ。ただの木こり道具じゃねぇか。
ただ。
色は黒が基本で所々黄色でおしゃれな感じになっている。それは問題ないのだが。ワインレッドの光を常に帯び、輪郭を象り、霧状にモワモワと光を漂わせている。柄を握りしめ、ビュンとふってみる。軌道通りに残光し、何か不気味なものを感じさせる。
見た目ゴツいのに持ってみると案外軽いものだ。ニートな俺でも軽々と振れる軽さだ。重さにして多分450グラム位だろう。
・・・なんだろう、ちょっとわくわくしてきたぞ?
きっとの感だが、これは多分強い武器だ。これでファントムを斬ればそこそこいい線がいけるんじゃないか?最低でも生活できる程度には強いぞ、多分。
ただ、一つ難点。
さっきから刃が回転しねぇ。
色々試してはいるのだが、どうも回転させるには何か条件があるっぽい。
うーむ・・・。
「動け!」違う。「起動」違う。「エクスプロージョン!」ボォン・・・。遠くで何か爆発した音が聞こえてきた。きっと魔法使いか何かが爆発系統の魔法でも使ったのだろう。「スターバース」これは違うな。「豊芦原中国、荒らびたぬ」違うわな。
その後も色々試したが刃は回らなかった。
だから今は残光で遊んでいる。
ビュン、ビュン、ビューン。
「ははは、おもしれぇ」
ビュン、ビュン、ビューン。
「・・・疲れてきたし、帰ろ」
俺は、両手に持ったチェーンソーを眼前でクロスし、腰の横に勢いよく降り下げる。
すると。
ヴィィィーン。
「・・・は?」
刃が回転したのだ。
回転した刃が光を飛ばし、残光によって刃の周りの光が一本の筋となって、「俺はよく斬れるゾー」と主張している。
俺は前述した行動をもう一度とってみる。
ヴィユン。
「・・・ほぉ」
刃が止まる。
「なるほど」
今のが起動の条件だったのか。
これでちゃんとした狩りができると思うけども、扱えますかね、俺に。
そうだ、切れ味わからねぇからさっきのダガーと刃を合わせてみるか。
チェーンソーを起動し、腰に携えていたダガーを当ててみる。
ヴン。と言う音と共にダガーが一刀両断される。
「まじかよ」
規格外過ぎて正直反応に困る。ダガーを一刀両断ってなんだよ一応鉄製品だぞ。しかし、まだ実践はしてないからな。ファントムを狩るとするか。ってもプッチーだと相手にならんから・・・あ、アイツがいるじゃねえか。
「ヴゥゥゥゥー」
そう、皆さんお馴染みオーク様です。
猪の顔して人間みたいに歩くあいつな。武器とか持ってたりする。
こいつは普通4人パーティーで戦うものなのだが、近くにいたから仕方ない。こいつは攻撃力高いヤツが殴れば2発で倒すことができるのだが、あいてもただやられるだけのモブじゃない。攻撃を仕掛けてくる。だから盾のヤツが魔法使いからバフもらって攻撃を防ぐ。オークは攻撃力だけは無駄に高いから生身で撫でられると首が飛ぶ。物理的にね。だから盾にバフをかけないと盾が穴あいたりしちゃうって訳。そんで、足早いヤツがヘイト溜めながら立ち回るってのがセオリーかな。
そんな敵を今一人で戦おうとしています。
やべぇ、怖いよ。超強そうじゃん。あんなの一人で相手するとか、バカ過ぎんだろ。
泣き言言ってる間にも、オークはジリジリと距離を詰めてくる。そして。
「はっ」
走ってきたぞコイツ!やばい、やばいってマジで!
持っていた棍棒を高く上げ、振り下ろした。
あぁ、俺殴られて死ぬのか?死因、撲殺。うわぁ、辛いなそれ。
・・・ん?
見えるなぁ。
ヒョイっ。
俺はかわしたのだ。オークの攻撃を。
「あ、あぶねぇ」
振り下ろす瞬間、どこに振り下ろすのかが見え、後ろに跳んだのだ。上手くかわしたらしい。
オークの一撃は重く、次の攻撃までに3秒ほどクールタイムがある。
なるほどね。
俺は今、思い出していた。俺の能力は、運動神経と動体視力が高いって言う特殊なスキルだったな。なら、戦い方は単純だな。
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再びオークと対面する。何度みても威圧的で、こちらが怯み、足が竦みそうになる。だが、もう大丈夫だ。いける。
新たにゲットし、腰に携えていたチェーンソーを抜き取り、先程のモーションを起こし、刃を回転させる。
今度はこちらから突っ込んでいく。案の定、オークは殴りのモーションに入る。それを確認した俺は、振り下ろされる寸前、左に跳び攻撃をかわす。
今だ。
次なるモーションに移行するためにクールタイムを必要とするオーク。それを一人で狩る方法。それは、
「てりゃあ!」
クールタイム中の動けない間に脇と脇腹にチェーンソーで切りかかる。
オークは「グイィ!」と鳴きながら仰け反っている。
そして怒り心頭とばかりに棍棒を振り回し始めた。
「ぬおぉ!?」
反射的に後ろへ跳び、どうにかかわした。
あぶねぇ!反応が少しでも遅れてたら殴られてたぞ!でも、流石は動体視力アップ。そこはしっかりと見えていた。
それが傷口に響いたのか、鳴きながら動きが止まった。
次こそ決める。
地面を思い切り蹴り、お腹めがけてチェーンソーで切り裂く。「グギィ!」と鳴くオーク。棍棒を振り下ろそうと腕を上げる。しかし、この距離感だとかわすことは出来ない。振り下ろされる刹那、俺はチェーンソーを持っていた手を即座に逆手にし、お腹に刺さったチェーンソーを上に押し上げる。
「おりゃぁぁぁ!」
棍棒が俺の頭をかすったのと同時に、赤い霧となってオークは消えていった。
「・・・勝った・・・」
額からは血が垂れ、心拍は機関銃の如く体内に鳴り響く。
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
考えるより先に、心の底からの叫び声が喉を震わせる。
「勝った、勝ったぞゴラァ!は、ははは!どーだよ!いままで俺をバカにしてた奴!おまえらにこんな事が出来んのか!?無理だよ!ばぁーか!ははは!」
今、頭にあるのは勝った事の喜びよりも、俺だって戦えるんだぞといった、俺を嗤ってきた連中に訴えかけるような思いだった。
次回、ようやく女の子との出会いがありそうな予感。




