俺、告られます。
「・・・はあ、疲れた」
結局本当に最後の最後までいつもの戦闘スタイルで戦い、雪月は雪月で一人でも俺たちと同じくらいファントムを倒していた。
・・・俺も百式開放してたらこの倍、いや3倍は狩れると思うんだけどな。
でも
「・・・今日はいっぱい倒した」
隣でこんなにも嬉しそうに喜んでるミルがいるから、俺はまだまだこのやり方でも頑張れそうだ。
† † † †
早朝、午前6時。
「ふわ、あぁ」
昨日夜の7時くらいまでファントムを狩り、それから帰って風呂に入ったらそのまま脱力して寝てしまったらしい。
「そろそろ布団もクリーニングに出さなきゃな・・・」
ミルが来てからまだ一回しか洗ってないから、何というか、男特有の、言わば男臭が少し気になってくる頃だ。
そういえばミルの部屋の布団とかもまだ洗ったことないよな。
よし、今寝てる間に予備の布団と入れ替えて洗っといてやるか。
今は雪月もミルの布団で寝てるから起こさないようにそっとかえないとな。
「んしょっと・・・」
思い立ったらすぐやるのが吉だって言うし、やるか。
寝ぼけまなこを擦りながら少し硬めのベッドから起き上がる。
ギシィと踏みつけた床が唸り、寝室のドアのノブを捻るとキイィ・・・と耳障りな高めの音をたてる。
やっぱりそろそろ潮時なんだろうな。
まだ陽が昇りたてで他の高い建物が陽を遮断しているのか、廊下は若干薄暗い。
かと言って何も見えないかと言ったらそうでもないし、ゆっくりと音を立てないようにミルの部屋に向かう。
あ、その前に予備布団っと。
「ふう」
収納から持ってきた布団を小脇に抱えてミルの部屋の前に着き、一段落。
よし、開けるぞ。
ドアノブに手をかけ、捻るとここもまた耳障りな音を上げる。
何処も一緒か。
ドアを押し、ミルの部屋へと・・・。
「んなっ・・・!」
今の状況を詳しく説明しよう。
先ず初めに何やらとてもいい香りがした。柑橘系の、何処か柔らかめな、お花でも咲いているかのような心地のいい香りがした。
そして次。
ベッドに二人が寝ている事はいい。当然だ。
だが何故だろう。二人とも衣服がはだけ、何やらとてもいかがわしい気分になってくる。
おまけに二人向き合い、互いに指をくわえてるのは何かの幼児退行プレイの一種なのだろうか。
両者ねこのように体を丸め、雪月と言えばミルを母猫と言わんばかりに胸のあたりでくーすかと小さな寝息を立てている。
その表情はとても魅力的で二人まとめて守ってあげたくなるような・・・って!
いかんいかん。本来の目的を忘れていた。
先ずこの布団をここにおいて、ゆっくり、ゆっくり布団をはがさないと。
幸い深くかぶっていなかったため、起こさずにはぎとれそうだ。
そぉーっと、そぉー・・・。
「・・・まだあさじゃにゃい・・・の・・・」
「ふわ~い!?」
やばっ、驚いて変な声が出てっ・・・。
「・・・すぅ・・・」
「・・・はぁ」
危ない、セーフだ。
ミルは寝返りを打ち、尚も寝続ける。
今のうちに・・・。
何とか布団を交換することに成功し、なんか圧縮できる袋で俺とミルの布団を圧縮して、持ち運びがしやすいようにする。
今のうちに洗濯に行こう。
今開いてるのは・・・あの店か。
これまたそぉーっと外まで出る。
目的地まで朝の空気を感じ、誰もいない新鮮な街を眺める。
いいな、人目を気にせず歩けるのは。
少し鼻歌でも歌って少し優雅に歩こうか。
・・・もう少しでここともお別れか。
んなこと言っても大した思い入れもないし、むしろ俺にとっての敵しかいないこの街に未練なんてもんは何一つないけどな。
きっと新しいところでも色々起きる・・・てか巻き込まれるんだろうな。
もう慣れっこだけど、出来ることなら慣れたくなかったよ。ほんと。
なんて憎まれ口叩いてる間に目的地についていたらしい。
ちゃんと中には明かりもついてるしのぼりも出てる。
「すみません、布団洗いたいんですが」
ガラス扉を開け、少し大きめの声を出す。
「はいただい・・・あっ・・・シュウさん・・・っ」
反応したかに奥から出てきた娘は俺を見るや否や顔を赤らめ緊張し始めた。
「ん・・・?どう、しました?」
多分年上だろうお姉さんは口元を軽く隠し、半身がちにちらちらみてくる。
「あの?」
そういえばなんで名前知ってんのかな。まあ悪目立ち、という意味では有名だけど。
「私、シュウさんの戦ってる姿見て、そのぉ・・・。惚れ、ちゃって///」
ぷしゅーっと湯気が出そうな赤さの顔を両手で隠し、もじもじするお姉さん。
・・・なんだって?




