第1章 裏切り
指令室、冷たいモニターの光がローラの顔を照らしていた。スクリーンにはララとレオンが談話室で並んで座り、笑い合って話している姿が映っている。ローラは目を細め、表情がゆっくりと硬くなっていく。映像が停止し、赤みがかった色に褪せ、音楽は重くゆっくりとした調べへと変わった——過去の記憶が今、語られようとしていた。
さかのぼること多年前、クリザードの王宮の玉座の間。炎のシャンデリアが稲妻の紋章の掲げられた旗を照らしていた。アレスは先代のクリザード王の前にひざまずいた。
「アレス」老いた王は言った。「お前にしか果たせぬ使命がある」
「承っております、陛下」
「惑星エックスピアへ潜入せよ」王は命じた。「この変装技術を使え——髪を緑に染め、新しい名を名乗る。故郷を離れ学ぶために来た誠実な者として振る舞うのだ。そこに着けば十八歳ということになる。そして慣習に従い、許嫁と対面することになる——ローラだ」
アレスは眉をひそめた。
「エックスピアの女ですか?」
「そうだ」王はうなずいた。「面倒だが必要だ。お前が成り代わる男には既に許嫁がいた。その男の家族は皆、私が始末した。その地位はお前のものだ。真の目的——ロード・ヴァーロンを生け捕りにするか、あるいは始末することだ」
アレスは命令を受け入れた。だがその瞳の色は、もはや忠誠だけではなかった。
場面は次々と移り変わる。エックスピアの浮かぶ街灯に照らされた通り。アレスとローラの結婚式。彼はG26番惑星の戦争で亡くなった両親という偽りの過去を語った。夜になると彼はエックスピアの計画、情報、生活パターンを一つ一つ記録し、秘密裏にクリザードへ報告を送り続けていた。
だが時が経つにつれ、その報告は次第に少なくなり……やがて完全に途絶えた。
柔らかな明かりの灯る寝室。アレスは生まれたばかりの息子を腕に抱いていた。その瞬間、時間が止まったかのようだった。彼は赤ん坊の耳の裏に小さな器具を埋め込んだ——すると息子の髪の色が緑色に変わった。アレスは安堵のため息をついた。まるで、自分が最も望んでいたものを手に入れたかのように。
数年後、クリザードの王宮。王は机を叩き、怒りをぶつけていた。
「アレスから連絡が途絶えた!彼を連れ戻せ。任務を遂行しないのなら……彼も処刑する」
エックスピアの自宅。アレスが暗い表情でローラの前に現れた。
「逃げなければならない。彼らが皆を殺しに来る」
ローラは顔を上げ、冷ややかに答えた。
「私は決して民を裏切りません。女神ララの前で誓ったのですから」
その瞬間、仮面が剥がれ落ちた。アレスの瞳が真紅に輝き、膨大なエネルギーが爆発的に噴き出し、壁を砕いた。ローラは黄金の光の盾を展開し、幼い娘をかばった。
彼が彼女たちに手を上げようとしたその時、一人の少年が間に立った——八歳のリーだった。彼の爪はすでに赤く輝いていた。
「母さんと妹に近づくな!」リーは叫び、父の胸を切り裂いた。
アレスは動きを止めた。涙が頬を伝う前に、彼は闇の中へと消えていった。少年の瞳は、父と同じ紅に輝いていた。
再びクリザードの玉座の間へ。アレスは王の前にひざまずいていた——だがそれは忠誠ではなかった。
「この玉座に挑む、この愚か者め」彼は低く唸った。
王は立ち上がり、激怒した。背後には五大元素の評議会が見守っていた——水、火、土、風、雷、それぞれの座に紋章が刻まれている。
「諸君!」アレスは声を張り上げた。「新しき王の誕生を見届けよ!この男は私を最高司令官の地位に就け、ただ利用していただけだ!私と共に、我々は再びこの宇宙の覇者となる!」
兵士たちは歓声を上げ、一人の評議員が笑みを浮かべた。
「やってみろ、弟よ。その覚悟があるのならな」
王宮中央の決闘場、炎が周囲を囲んでいる。二人が中央で向き合った。王が先に襲いかかった——だがアレスの赤い力によって宙に浮いたまま動けなくなった。
「お前はいつからその力を……」王は蒼白になり、息を詰まらせた。
アレスは近づき、その胸を手で貫いた。王の体が倒れると、軍全体がひざまずいた。アレスはそこに立ったまま、血の滴る腕を上げ、燃え盛る心臓を手のひらに握りしめていた。
エックスピア最高裁判決廷。暗い石の壁に未来的な配線が絡み合い、重々しいざわめきが広間に響いている。中央には鎖につながれたローラが立ち、無数の判事や評議員たちの視線を一身に受けていた。
ローラの目は泣き腫らしていた。彼女は深呼吸し、震える声で語った。
「知らなかったのです……アレスがクリザードの人間だなんて。私は彼を愛していました。私にとっては、彼がすべてだった」
首席司令官は最前列から心配そうに彼女を見つめていた。
ローラは家族の記録、思い出の記憶、証拠となる品々を提示した。エックスピアの者たちは心を読むことができる——彼女が真実を語っていることが確認されると、広間は静まり返り、衛兵たちが静かに退いていった。
ホログラムのパネルに検査結果が映し出された。
リー:クリザードの血統、純血
ララ:エックスピアの血統、純血
衛兵の一人が冷たい声で告げた。
「この男児は処分する。法の定めだ」
ローラは飛び上がり、涙が激しく流れ落ちた。
「いや!この子は私の子供よ!彼には触れないで!」
その時、ロード・ヴァーロンが玉座から立ち上がった。ただ一目で、場中が静まり返った。
「クリザードの血といえど、この地で流すことはならない」彼は宣言した。「それは我らが女神ララが遺した誓いである」
驚きのささやきが広がる中、彼は続けた。
「そなたが結婚した男……今やクリザードの王となった」
ローラは立ち尽くし、目を見開いた。評議員たちは不安そうに顔を見合わせた。
クリザード王宮の謁見室。ヴァーロンは玉座の前まで進み出た。アレスは威厳ある鎧を身に纏い、遠くを見つめるように彼を見下ろしている。
「破られた同盟の件で来た」ヴァーロンは言った。
「任務は完了したまで」アレスは冷ややかに笑った。「だが私はお前の居場所を常に把握していた。エックスピアを滅ぼさなかったのは……ただローラと我が子たちのためだ。彼らを引き渡せ。さもなくば、お前の世界ごと消し去る」
瞳が紅く輝き、部屋の空気が凍りついた。
「私はリムをも崇拝しない。ララをも崇拝しない。この宇宙すべての新たな神となるのだ」
ヴァーロンは冷静に応じた。
「ローラはエックスピアを守るために去った。そしてリーは……これから育てられる。いずれ、彼がお前の後を継ぐ日が来るやもしれぬ」
アレスはしばらく沈黙し、深く息を吐いて認めた。
「私がまだエックスピアを滅ぼしていない理由はただ一つ……私のローラのためだ」
時は流れ——場面は駆け巡る。リーはヴァーロンのもとで成長し、戦い方を学び、父であるアレスへの憎しみを植え付けられていった。同時にローラは組織の中枢を担い、ララはその才能を誰よりも輝かせる少女へと成長した。
司令官の息子が遠征から帰還する時、慣習により彼とララの結婚が決められていた。だが予言者がレオンとリーに告げた未来は……すべての計画を根底から覆すものだった。
その後、監視室でローラはモニター越しに談笑するララとレオンの姿を見ていた。彼女は険しい表情で部屋を出、二人のもとへ向かった。
「ララ」冷ややかな声で呼びかける。「司令官の息子が明日到着する。結婚の準備はすべて整った。それからレオン……お前も式に参列するように」
レオンは意図を理解し、わずかに笑みを浮かべて立ち上がり、静かに立ち去った。
「母さん」ララは悲しそうに言う。「あの方とは結婚したくないって、何度も言ったでしょう」
「ついてきなさい」ローラは冷たく言い放つ。「花嫁衣装を選ぶのよ」
「ほっといて!」ララは抑えきれない怒りを込めて叫び、瞬間転移の術でその場から消え去った。
空間が弾けるような音が響き、そして静寂が訪れた。ララは去った。
ローラはその場に立ち尽くした。浮かぶ照明の冷たい光が、エックスピア最高機動司令官としての凛々しい制服を照らしている。表向きは誰もが彼女を揺るぎない女傑と仰ぎ、どれほどの危機にも動じない強き指導者と見ている。だが今、誰もいない暗い回廊で、その強靭な心が音を立てて崩れかけていた。
彼女は二歩ほど後ずさり、冷たい石と金属の壁に背中を預けた。胸が締め付けられる。息を整えようと深呼吸するが、喉のつかりは取れない——そして熱い涙が一粒、頬を伝い落ち、青白い光の下できらめいた。
「ほっといて」——娘の傷ついた声がまだ耳に響いている。
ローラは目を閉じ、闇色の手袋の甲で涙をぬぐった。ララは自分のことを、冷たく、頭ごなしに押しつけ、慣習と政略結婚にとらわれた母親だと思っている。ララは知らない——ローラが本当の愛を知り、その愛がすべてを焼き尽くすのを目の当たりにしたことを。
この宇宙で、誰よりも愛の代償を知っているのは、他ならぬローラ自身なのだ。
十七年前、彼女は軍服も組織の責任も負わず、ただ希望に満ちた一人の娘だった。生涯を誓った男と幸せになれると信じていた——その男がすべてを偽っていたことを知るその夜までは。炎が家を包み、真実が彼女の世界を粉々に砕いたあの夜から、彼女は強くなるしかなかった。




