↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結ぶと解く  作者: ながずぼん
第九章 浸透編
PR
161/254

第160話 泥棒と復帰

 パイセンから金を横領したアオイさんの店のボーイの話を聞いた。

 そいつはスマホゲームに課金するために金パクったらしい。


「まじで?そんなことで人生棒に振る?意味わかんねえ」


「いや、ガチャってすげえ金溶けるみたいっすよ。ほらYouTuberとかばんばん金使っていいやつ引くじゃないですか。あれの真似するとやばいらしいっす」


 そうなのかもしれないけれど、やっぱり意味がわからない。

 デジタルデータに課金がどうのこうのという話ではなくて、どこかで金を借りて返せず焦げたっていうのならまだしも、店の金ってただの泥棒じゃん。

 唐草模様の風呂敷持った空き巣の方がまだ泥棒として階級が高い気がする。


 そんなことを考えていたら腹がグーっと鳴った。

 さっき仕分けした賞味期限切れのポッキーを食っていいかパイセンに尋ねると「ゴミだからいいんじゃないっすか」と言って許可された。おれ、ゴミを食うんだ…

 とはいえ、なんとなく泥棒した気分になったので200円をデスクに置いておいた。

 ポリポリしてたらアヤママがダッシュ気味でやってきた。


「ハナちゃん!もう、来てるなら声掛けてよ!ユイちゃんに教えてもらってびっくりしちゃったわよ。クスメギさんも詳しく聞かされていなかったみたいだけど、大変なことが起きたんですって?無事で戻ってきてくれてよかったわ。怪我はない?」


「ああ、はい。すごく頼りになる人が付いてくれていたので大丈夫でした。移動中におしっこ我慢するのが大変だったぐらいで。あはは」


「じゃあ、お店が終わったらゆっくりお話聞かせてね!」


 ママは言うだけ言って去ってしまった。

 休みが長くなったことを謝ろうと思ってたのに言う暇がなかった。

 そのママと入れ替わるようにクスメギが裏にやってくる。


「おい!あんたさ、来てるなら声かけろよ!いっつもそうだよな!」


「はあ?おまえがこっちに来ると思って待ってたんだよ。おまえなにしてたの?」


「なにをって、付け回ししてたんだよ。あんなの素人の俺がボードでできるわけないだろ。人数少ないから様子を見て回りながら必死でやってたんだよ!正直ニホンマツ店長がないと無理だこれ…」


 確かに高速パズルゲームみたいなことしたもんな店長。涼しい顔でなんでもソツなくこなすこいつでも無理な仕事があって嬉しい。とちょっと思った。


 閉店になると洗い物がパイセンとクスメギによってどんどん運ばれてくる。

 洗い物をガシガシやっているとクスメギに送迎に行けないか尋ねられる。

 この後ママと一緒に店の会計をやるのだという。それを口実にイチャイチャする感じではなさそうだった。なんだか必死っぽい。なにかあったのかな?

 この店で働き始めて金勘定で必死になっているところを見たことがないけど。


「そういやさっきチャームのポッキー貰ったから200円デスクに置いておいた」


「はあ?その200円どう処理すんだよ。ただでさえ会計と領収書の額が違ってたりしてめちゃくちゃなのに謎の小銭を処理してる暇ねえよ。いらねえから持ってけ」


 確かに仕事の付き合いとかで来るお客さんは領収書がいる人といらないっていう人がいて、会計金額を超えるような領収書は切らないだろうけど、テーブルが4万円の会計だけど領収書は2万しか切ってないとかザラにある。おまけに4万の会計のうち1万はカードで3万は現金でみたいなことになると、もっとわけがわからなくなる。

 どんな理由でキッチリと会計を始めたのか知らないけれど巻き込まれたら大変だ。

 とっとと立ち去ったほうがいいと思い、残りの洗い物はパイセンに任せて送りに出ることにする。おれ今夜はお時給つかないし。


 ひとまず駐車場まで歩いて車を取ってくる。ナビはクスメギに貸したままだけど、いつもの4人ならなくても問題ない。オンナのコたちは車に乗り込んでくるときに、あれ?と一様に驚いていた。「あれ?クスメギじゃないんだ」という感じに。

 アメリカに行く前は割と車の中は賑やかだったけれど、きょうは静かだ。


 最初にユイさんを降ろした後で3人に「きょうはそんなに忙しかったの?」と声を掛けると「別にそうでもない」という。「なんか静かだね」と言うと「だってクスメギさん、話してると煩そうな顔するから」とユキさんが言い「コンビニに寄るのも嫌そうだし」とナオさん。最後に「賢い人といると疲れる」とメイさん。

 え、ちょっと待って。それっておれがバカってことにならない?


 ユキさんとナオさんを降ろしたらメイさんに「ニシダの様子はどう?」と訊ねると「新しい女を狙ってるみたいだよ」とのこと。ん?狙ってるのに悪い噂を流すのか?

 彼女について愚痴りたいんだろうなと思ったから、メイさんを降ろすときに明日の夜はコンビニに寄り道する約束をした。おれもどんな人か知りたいし。


 駐車場に車を停めて、店に向かって歩き始めると二往復目のニシダの車が裏に停まっていた。ちょうどカスミさんたちが車に乗り込むところのようで、運転席のニシダはすごいニコニコしている。わかりやすいなと思っていたら目が合ったので、聞こえるのか知らんけど「お疲れさまです」と言って頭を下げた。

 すると奴も少し警戒したような顔でハンドルを握ったまま頭を下げていた。


 店に戻ると、クスメギとアヤママの金勘定も済んでいたようでぐったりしていた。営業中も気を遣って、終わってから頭を使うんじゃすごく疲れていると思った。


「おれも帰ったばかりだし、疲れているなら今夜じゃなくてもいいですよ」


「ううん。私たちからも話があるから、ハナちゃんが大丈夫なら今夜がいいの」


 アヤママにそう言われ、もしかして時給減らされるのかなと思いつつ「じゃあ行きますか」と言って遅くまでやっている韓国料理屋に3人で向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。