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第22話 禅問答

第22話 禅問答


「ここに入りたければ娘を差し出せ、ブツブツブツ…」

 鬼はつぶやいていた。

「娘を差し出すとどうなるんだい」

「ここに入ることができるんだ」

「入ると何か良いことがあるのか」

「おまえらは、どれかの扉を選ばなければならない。この扉に入りたければ、娘を差し出すのだ」

 幸四郎はしばし考えた後、今度は僧侶に質問をした。

「ライターはこの中にあるってのは本当かい」

「ライターはこの中じゃ、ブツブツブツ…」

 僧侶はつぶやいている。

「それは俺の落とした青いライターなのか」

「ああ。青いライターが欲しくば、この扉を入るしかない。じゃが、おぬしにわしを倒せるかな」

 仙人を通り越して、古代人らしき風貌の者に幸四郎は質問した。

「こいつらの言うことを聞くなとは、こいつらが嘘を言っているということか」

「こいつらの言うことを聞くな、ブツブツブツ…」

 古代人は同じ言葉を繰り返すだけである。

 最後に、幸四郎は仙人に質問をした。

「隣の坊さんは嘘をついているのか」

「ああ、大嘘つきだ。信じてはいかん」

 考え込む幸四郎に、春菜がささやいた。

「わかったの、幸四郎」

「ああ、二人には絞り込めたな」

「私も二人は消せたわ」

「残るはどちらかということだな」

「ええ。私はどちらかといえば、古代人が怪しいと思うんだけど」

「何だって。春菜の消した二人ってのは」

「何言ってるの。鬼と僧侶は違うでしょ」

「なぜだい」

「だって、幸四郎の持っていたライターは赤色だったじゃない。僧侶は違うでしょ。鬼が正しければ、古代人の言っていることが嘘になるでしょ。古代人が正しければ、鬼が言っていることは嘘よ。どちらかは嘘をついているってことね」

「最後のメッセージは目先の目的にとらわれるなと何かを犠牲にしろだろ」

 幸四郎は、春菜をみつめた。

「変な目で見ないでよ。今、私を犠牲にしようって思ったでしょ」

「そんなことないさ。春菜を犠牲にするぐらいなら、ライターを犠牲にするさ」

「ああ、良かった。それより、幸四郎の絞り込んだ二人っていうのは誰なの」

「僧侶はライターの色を知らなかったから違うだろ。つまり、嘘をついていた。仙人は坊主は嘘つきと言っているからつじつまがあう。古代人はこいつらの言うことを聞くなって言っているから、仙人の言っていることも嘘だっていってるんだろう。つまり、古代人が正しいことを言っているなら、仙人は嘘つきとなり僧侶は嘘つきではないということになるんだけど、僧侶はライターの色を知らない嘘つきなんだ。だから、古代人は嘘つきということになるんじゃないかな」

「なんだか、ややこしいわね。すると、残るは鬼と仙人ということなの」

「でも、春菜の言うように古代人が嘘つきということになれば、鬼は正しいことを言っていることになってしまう。仙人も正しいことを言っている。これでは、どちらの扉が正解かわからないなあ」

「ちょっと待って!鬼と仙人は二人とも正しいことを言っているんじゃないのかしら」

「それじゃあ、どちらに進んでいるかわからないだろ」

「そんなことないわよ」

 どうやら、春菜はあることに気付いたようである。



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