第91話 取材
予選後、学校には取材依頼が大量に来ていた。
まぁ元々数人の取材は来ていた。
中学でも結果を残していたアヤネだったので昔から馴染みで声をかけてくれる人はいた。
なので今回も、その人にだけ許可を出して他はお断りした。
ちなみに取材に関しては何を言うか不安すぎて俺がいつも同席している。
「いやぁ…なんかずっと目をかけてた子が結果だしてくれてなんか嬉しいわ」
「新川さんはずっとアヤネ追ってましたもんね」
「逆に他の人が追ってないのが不思議な位よ」
まぁそれも当然で追われるには追われるだけの理由が必要になる。
親がその分野の第一人者だったり、幼少期から凄い結果を出していたりしなければ中学から目をかけられることはほとんどない。
「新川さんが珍しいだけだと思いますけどね」
「まぁでも私の目に狂いはなかったってわけよ」
ちなみに今回はリレーメンバー全員取材することになっているが…先に俺と打ち合わせという感じで2人で話している。
「それで何か頼みがあるとか」
「ええっとまず、取材は新川さんしか受けないって通達を出そうと思ってます」
「それは光栄ですね」
「ほんとは…インターハイ後に出そうと思ってたんですけどね」
「早めに出したら出したでなんか言われそうですもんね」
自意識過剰と言われるのを避けて通達していなかったので今回は、色々な所から申し込みがあった。
さすがに未成年という事もあって無断で取材という手段を取ってくる所はいなかったが、一応今後の為に通達しておこうと思う。
「個人の方で記録出してたらもっとやばかったわよ」
「でしょうねぇ…」
今回は団体出したレコードということでこれくらいで済んだが個人だったらもっとやばかった気がする。
「この調子だとインターハイは優勝しそうですねぇ」
「まぁレコードってことはそういう事になりますよね」
同一距離を走るのだからレコード記録を出したという事は、同じタイムを出せば全国で一番速いということである。
「アヤネちゃんは個人の方も優勝しそうよね」
「まぁ優勝は目指してますけど、絶対ではないですから」
まぁ普通に優勝するとは思うが…そうなったら余計取材が増えそうである。
という軽い打ち合わせを終えてから4人を呼び取材を開始する。
アヤネはそれなりに経験があるのですらすらと答えていた。
まぁ元々物怖じしない性格なのでこんなものである。
他3人はさすがに緊張していたが…。
「全部ハヤトくんのおかげです。指導のおかげで2週間でタイム3秒も縮まったので!」
と先輩がポロリ…。
「それはすごいわねぇ…一体どんな指導を?」
と俺に質問が飛んでくるが…。
「企業秘密です」
と誤魔化しておいた。
納得した顔はしていなかったが、恐らくこのまま優勝したら突っ込んでくるつもりだろう。
準備しとかないと…。
そんなこんなで取材も終わりグラウンドに向かう途中…。
「そういえば小町とデートに行くんですって?」
とサヤ先輩に肩を捕まれ問い詰められる。
「えっ…なんで知ってるんです!?」
「ふーん、ああいうのが良いんだ?」
「違いますよ、半ば強引に決められたんです」
「でも受けたってことは満更でもないんでしょ」
まぁ本当に嫌な相手であれば相手にしないのだが…まぁこれでも青少年興味がない訳では無い。
そこまで嫌悪感を抱いていない相手であればちょっと遊びに行くくらいは付き合ってもいいと思っている。
まぁ年下すぎて恋愛感情を持てるかどうかは別問題ではあるが…。
「じゃあ私ともデートしなさい、小町の後で我慢するから」
こうなってくると断るのが難しい。
夏の大会までにはそれなりに期間があり部活があるからといって断るには難しい。
「練習はいいんです?」
「今は、昼夜を問わずの練習は流行らないでしょ?」
そういう事である。
強豪校はどうかしらないが、うちはそこまでがっつり部活動はない。
そもそも先生が付き合えない日も多いのでそれに伴う休みも結構ある。
「わかりました…いいですよ。ただ小町先輩にも言いましたけどデートプランはお任せするのでそっちで決めてください。そういう経験はないので」
「うわっ怠慢…」
「同じ反応しないでくださいよ…嫌ならいいですよーだ」
「ああ、わかったわよ…私も経験ないのに…」
「なんか言いました?」
後半が聞き取れなかった。
「なんでもないわ、じゃあまた連絡するわ」
という訳でサヤ先輩ともデートが確定してしまった。
好意を持ってくれているのは嬉しいが…どうしても恋愛感情かと言われると疑問が過るのだ…。
そんなこんなで部活をこなしてから帰宅して部屋で色々しているとノックされた。
「どうぞー」
というとエルナが入ってきた。
先日から色々あったので少し警戒する。
一体今度は何を言われるのか…。
「ええっと…あれから色々やって…私の知識がかなり欠如していたのがわかりました…」
「あんなので申し訳ないです、他に漫画とかあればよかったんですけど」
「いえ!とても素晴らしかったです!特に…」
と俺が気に入っていた往年の名作を褒められて少しうれしくなってしまった。
「気に入ってもらえてよかったです、その感想が言いたかった感じです?」
わざわざ訪ねてくるのでなにかあったかと思ったが…。
「あっええっと…やった事を踏まえてお願いがありまして…」
「はい?」
「デートいきませんか!嫌じゃないっていってくれたので段階をちゃんと踏みたくて…」
とんでもない告白だった。
それはそういうことなのだろうか…。
「ええっと…それは」
「あっえっと…まだその好きって気持ちがよくわからなくて…そこから勉強出来ればと…」
なるほどお試し的な…勘違いする所だった。
「俺で協力出来る事なら協力しますよ」
という事でエルナともデートすることになった。
さすがにここまで来ると顔がにやけてしまう。
まぁ部屋でにやけている分には問題ないだろうと思っていたのだが…。
部屋にアヤネが入ってくる。
「ここ教えて~」
どうやら宿題で詰まったようだ。
「ここはなぁ」
と教えていると…。
「ねぇ?なんかあった?ちょっと声が上擦ってる気がする」
「別に…そんなことはないが?」
妹にデートする報告するのもどうかと思い隠す。
「ほんとに~?」
と訝しい顔を向けられる。
「ほらわかったならさっさと戻れ戻れ」
と部屋を追い出す。
変な所というか普通に鋭いからバレそう…まぁバレたらバレたか。
別に誰かと付き合ってる訳では無いし罪悪感を感じる必要もない。
人生初デートに少しワクワクしてる自分に戸惑いながらもそこい小町先輩から連絡が来て今週の日曜日にデートすることになった。




