第8話 出会い
何かがパチパチと鳴っているのを聞き、目が覚める。
はっと身体を起こして辺りを見渡す。
全裸のままではあったのだが、何か布のような物をかけられていてとりあえず局部が丸見えという自体は防げたようだ。
下にも何かゴザのようなものが敷いてあった。
眼の前の焚き火の近くで何やら鍋のような物をかき回している先ほどの女性がいた。
「%$#$%$%”」
こちらに気付いたようで先ほどの女性がこちらに向かってくる。
「$%”#”%$%”」
何かを言っているようだが残念ながら俺の知っている言語ではないようだ…。
こちらが首を傾げていると…何かに気付いたようにハッとしたと思うと指の先が光、その指を額に当てられた。
「これでどう?言葉わかる?」
「あっ、えーっとはい。理解できます」
「そう、よかった。身体は大丈夫?痛い所とか」
「いえ、大丈夫です。助けて頂いてありがとうございます」
俺はそういって頭を下げた。
気づけば川に落ちる前についてた擦り傷なども消えていた。
「あなた、もしかして…あっちょっと待っててね」
そう言って女性はまた鍋の元に戻った。
「もうすぐ出来るから、出来たら話を聞かせて頂戴。その外陰は着てていいから」
俺は、頭を下げる。
どうやら助かったようだが…一体ここはどこなのだろうか…。
周囲は、どうやら川辺のようで石が転がっている場所に木が倒しておかれており簡易なキャンプ地のようになっている。
「そんなに心配しなくても、この周辺には誰もいないわ」
俺がキョロキョロとしているのを見て周囲の警戒をしてると思われたようだ。
「すみません…」
「そう、心配しなくても大丈夫よ…さて出来たわ。さぁご飯にしましょう」
女性はこちらに歩いてくる。
「大丈夫?立てる?」
「は、はい。大丈夫です」
「じゃあこっちに来て座って」
疲労感はあったが、足などには特に問題はなかった。
外陰を羽織ったまま焚き火の側の倒木に腰掛ける。
女性は、鍋の中身を器に移しそれをこちらへと差し出す。
「はい、ゆっくり食べて」
一緒に木で出来たスプーンのような物を渡される。
「ありがとうございます」
どうやら根菜や木の実などを入れて作ったスープのようだ
口に運んでみると素朴な味わいで悪くはないのだが…どうしても普段の生活で食べてるものと比べると味が寂しい。
しかし、せっかく用意して頂いて物に文句をつける訳にはいかないのでゆっくりと口に運ぶ。
「どう?」
「ありがとうございます、美味しいです」
「そう、よかった」
あちらもスープを口に運ぶ。
ひとしきり食べた所で女性が口を開いた。
「それで、まずは名前を聞かせてもらってもいいかしら」
「し、えっと…ハヤトです」
「ハヤトね、私の名前はエルナ。よろしくね」
一瞬フルネームを名乗りそうになったがここがどういう場所かわからない以上、フルネームを名乗るのは変な誤解を生むと思い、名前だけを伝えた。
「ハヤト、担当直入に聞くけどあなたは何者?」
「えーっと…」
下手な解答は、最悪の場合敵対ルートだ。
腰にはナイフのような物を下げているし、恐らくバッグの近くにはあるのは弓矢だ。
敵対すれば確実に死ぬ。
「あなたの話を聞いた上で、理解の範囲を超えずに伝える虚実と嘘偽りのない真実…どちらを希望されますか?」
「へぇ…あながちただの脱走奴隷かとも思っていたのだけど違うようね…いいわ。まずはあなたの質問に答えましょうか」
こちらを値踏みするような視線を向けながらエルナは答えた。
「まずここはどこですか?」
「ここはルーヴェンス王国の南の大森林よ…ちなみに一番近くの人族の里は歩いて3日かかる位置」
かなりの秘境だったようだ。
そう考えるとすぐに彼女に会えたのは幸運と言わざるを得ない。
「日本、もしくはアメリカという国に心当たりは?」
「ないわね、そんな国名は聞いたことがないわ」
秘境過ぎて知らないという可能性にかけて2つの国名を上げたが知らない…。
ここまで来ると…あれの可能性が非常に高い。
「あの空に浮かぶ天体の名前は?」
頭上の夜空には、満天の星が輝いていたが一際大きく、そして見たことのない天体。
「あれは冥星、冥界への入口と呼ばれている物よ」
これで確定した。
ここは…。
「ありがとうございました、今の質問で大体俺がどういう状況なのか理解出来ました…それを踏まえてどちらをご希望しますか?」
嘘を混じえある程度、理解が出来るレベルで話すか…もしくは…
「包み隠さない真実を希望するわ。私が理解が出来なかったとしても真実を語るというのなら私はそれを信じてあげる」
どうやら、真実をご所望のようだ。
ならば…俺の予想をそのまま伝えるしかない。
「私は…この世界とは別の世界から来ました。異世界人です」
向こうはこちらの言葉を理解してくれたのか、それとも…理解出来ない事で固まっているのか…。
エルナは静かに口を開いた。




