12.新武器お披露目と不穏
申し訳ないですが更新頻度が落ちます。
少なくとも一章の間は3日に1回は更新できるはずです。これからもどうぞよろしくお願いします。
どんな武器を作ろうか。
武器を作るとは決めたもののあまりイメージがある訳では無い。それこそこの日のためにこの1年は魔石を貯金しながら考えてきたにも関わらずだ。
考えれば考えるだけ深みにハマり思考がループして結局何もない最初の状態に戻り後悔することを繰り返していた。
「どうしようかな……」
正直最初の頃は普通に剣に憧れていたけれど、「魔力剣」という攻撃手段を手しちゃったからなぁーというのが実情。
そしてある頃から考えが決まった。
″考えることを放棄しよう″と。
もちろんある程度の大枠だけは自らの意思で決める。
けれども、大枠だけを決めた後は異能任せ。つまり放り投げる。そこに一つだけこの世界のものでは無い武器という注文だけを付けさせてもらう。これだけの魔石を消費するのであれば少しくらいのお願いは聞いてくれてもいいと思うからね
正直結論の出ない不毛なことは自らの手に余らせるから手に負えないのである。放り投げてしまえば他人事!
そうと決まれば早速1年にわたるダンジョン探索の努力の結晶がやっと実を結ぼうとしていた。
まず一度周りを確認する。
どんな時でも油断が命取り。そのことを学んだ。
それがたとえ夜であろうと。
ダンジョン内で恐ろしいのが魔物であるのは自明の理ではあるが、それ以上に人間は恐ろしいものなのだ。
自己の利益のみを追求し、他人の迷惑、最悪のケースでは生死さえも問わない極悪非道な存在であるのだ。
その事はこの先一生忘れること無くこの胸に刻み込んでいる
安全の確保をした後にブラックボックスに溜め込まれた魔石をガラガラ出して、目の前に積み上げていく。
正直どれ位の量が入っているのかは知らないけれど、ちょこちょこ使っていたもの以外は全部投入したことは確実だし、その他に入っているものといえば食糧のみと記憶している。
ガラガラガラ
ガラガラガラ
あれっ?長いな。
ガラガラガラ
ガラガラガラ
まだあるの?
ガラガラガラ
ガラガラガラ
ガラ……
目の前に積み上げられた魔石のタワーは成長著しい自分の身長を軽々超えていた。どれだけ貯魔石してたんだよ……
気を取り直していこう!
少なすぎたら困るけど多すぎて困ることはないではないか。
そういうわけで行きます。
「これらの魔石を対価に武器召喚。条件として異世界のものであること、僕に合うものであること」
対価が足りないことはもちろんなくいつも通り対価となる魔石たちが光り輝きだす。
今までの等価交換でも十分に凄まじい閃光に包まれたけれども、今回はいつもとの比較にならないほどのまるでそこに光のブレスでも放たれたかのような輝きを見せた。
そして光が収まる頃には……
目の前の魔石の山はすべてが消え去り、その代わりに小さなL字型をした不思議な武器が地面に転がっていた。
白を貴重にして全体を染め上げられており、淵のところに沿ってアクセントとして金色が散りばめられている。
ゴツゴツしているようには見えず、戦闘に向いているようにはパッと見でいえば見えない。
正直見た目だけなら期待はずれ感が凄い。
もっとこう、目立つような、シンボルとなるような派手で強力な武器を予想していたけれどそれがまあコンパクトでスリムになっていて。
とにかく見た目だけでどうこう言っていても予想を裏切られて手のひら返しだってあるはずだからとりあえずは使ってみよう。
手のひら返ししてくれないと困るからね?
地面に横たわるその武器を手に取る。
L字型をしているけれども片側の方が少し長い作りになっているな。Lの折れ目のところには何を引っ掛けるのかはわからないけども四分位円くらいの可動するわっかが存在する。
長い方の先っぽから中身を覗いてみるとそこは筒状構造となっており中身は空洞であった。
と、中から1枚の紙が出てくる。
さすがに異世界の武器ともなればこの世界の人が使い方を知っている道理なんてあるはずがないのだから当然のことである。
「えーっと、使い方はと」
『①グリップを握りましょう』
隣にこの武器の図が載っているのでそれを参考にしてL字型の短い部分を持ち手として握る。
『②引き金へと指を添えましょう』
引き金とは?と思ったけどさすがの図ですぐにわかる。あのわっかだ。そこに指をかけてみると、なんかそれっぽい感じが出てきた気がするけど攻撃手段が全くわからない。謎だ。
『③魔力or弾を込めましょう』
弾は説明されているけどなんか怖そうだし今は持ってないし魔力を込めることにする。魔力はなんちゃって魔法を使う時と同様に魔力を集めるイメージをすると、それがその武器へと流れ出してくれて魔力が吸収され集まっていく。
『④あとは引き金を引くだけ!』
この説明書の一番怖いところは簡単にこんなことが書いてあるけれど、この後に起こる事象については何も書かれていない。何が起こるかわかったもんじゃないけれどやるしかない
一つ深呼吸をして手に力を込める。
そして、説明書に書かれている『ひきがね』とやらを勢いよく引いてみる。
ズドン
気づけば魔力が銃身から火の代わりに、魔力の残滓が煙の代わりにその場に漂っていた。魔力は火の代わりであるとともに弾の代わりでもあるのだが。
「WOW」
思わず漏れてしまう声はこの世に生まれて始めて出すようなものであった。
「ナニコレ……」
魔力の弾丸がぶち当たったクリスタルの壁は今までの攻撃のように着弾してその部分がえぐれていくような生ぬるいものではなく、どこまで深くめり込んでいるのかはわからないが、同心円状に壁全体にひび割れの波紋が広がっていっていた。
1度手に握るものを見る。
もう1度壁を見る。
「ナニコレイセカイコワイ」
たっぷりと現実を逃避した後にもう1度添えられていた白い紙に目を移す。
『この武器の名前は魔導銃。大切にお使い下さい。実弾も等価交換で手に入れることが可能ですのでお見知りおき下さい。』
今までに見たことのない武器のフォームに最初はちょこーっとだけこれ本当に大丈夫かな?なんて思っていたけど問題なかった。逆にこの世界で知っているどんな武器よりも強力であるような気さえして返って問題なのかもしれない。
「っっっって、え〜〜!」
取扱説明書に書かれる説明をもう一度読み直す。
やっぱり本当の性能が気になって気になって少しうわの空気味で読んでいたことがわかる。こんなことさえ見落としていたのだから。
「黒魔石と白魔石の混合武器!?」
よく良みてみれば表面は白い。それもただの白さではない。
少しだけ武器自体が金色に淡く輝いているような印象を受ける。
それこそが白魔石の特徴。
金に輝くこの武器にあしらわれた装飾はこの金色に淡く輝く白色とマッチしており、それと同時に白魔石自体の微小な発光の存在を緩和させこの武器の希少性を隠蔽する役割としても備えられていた。
エリアスは黒魔石は主に武器などで使用される部分がすべての需要を占めるため見たことは無かったが白魔石なら見たことがある。
この世界での白魔石とは希少で綺麗なものであるとはされているのだが、性能についてはクズ扱いされていた。
研究は今でも続けられているが成果が上がったという報告はまだない。
国での現状はこうであった。
この魔石が研究のゴミとしてクズにされた後に新たな可能性が発見された場合に備えてこの魔石を宝石のような扱いをさせて売った。もちろん希少なものなのでそれなりに値がはるように価格調整を行いこれを持っていることがステータスと言わんばかりの状態にしたのだ。
もしいつか。
この白魔石の本当の価値に気づいた時にそこから取り戻せるように。お金を多少多く払えば快く買取についても受け入れてもらえるだろうと。互いにウィンウィンな関係を作り上げようとしていたのだ。
黒魔石は魔力を吸収する性質を持つ。また、白魔石は魔力を放出する性質を持つ。そこまではわかっているのだが、魔力を放出するなんて無駄でしかないこと。普通にそう思われていた。
そして白魔石と黒魔石はとても相性が悪く互いに構造同士が反応試合互いの性質を相殺してしまい使えたもんではないと言われていた。
そうしてエリアスの持つ魔道銃を見てみよう。
外観には贅沢にもすべての部分に白魔石を利用されており、所々に美しい彫刻で紋様を作り上げられておりとても美しい。だが黒魔石は見当たらない。
それもそのはず黒魔石は中心部分に少量だけ埋まっているのだから。少量だからといって侮ってはいけない。
エリアスが白魔石へ魔力を流せば内部へと伝わりすぐそこで放出される。そしてそれはまるまる黒魔石へ吸い上げられていくという天才的なまでの魔力ロスの少なさで稼働できる武器となっている。
それどころか、白魔石の性質により放出された魔力の強さが増大するため規格外の威力を創造するという異次元の威力をこの世界で一足先に再現されているのだ。
黒魔石と白魔石の共存こそがこの武器のミソであるがどうして可能となっているのかという言葉には答えられない。
異世界産。
その言葉が全ての謎を納得させるとともに謎を深めていくのだ。
「うげっ、この武器国宝よりもやばいやつなのでは……」
何よりもここまでの武器には対価が釣り合っていないとは思うのだがどうやらここまでの交換比率を見極めているうちに気づいたことがあるのだが、異能である等価交換ではどうやら殆どが素材の価値と対比して決まることとなっているらしい。作る過程、製法の貴重さなどは度外視されはしないが普通に手に入れるよりも格段に少ないコストで手に入れられていると思われる。
だがこれこそが自分の武器だ。
だから自分が強くなるためには遠慮なく使わせてもらう。
とにかくだ。
ずっと魔力剣や収束という強くはあれどリスクと戦いづらさが目立った武器だったために正直助かっている。
えっ? 魔力剣って強いじゃないかって思ったそこのあなた。
自分の才能は自分が一番知っているのである。
どうやら剣の才能は自分には高いレベルでは備わっていないことはほぼ確実的だ。ここまでの敵ならやれないこともないが、技術が必要とされるほどの強敵には恐らくだが通じないであろう自信さえ不名誉だが持っている。
これからはこの武器でもっと討伐数をを稼いでいこう。
まだ見ぬ敵やいつかまた仲間に会う時のために少しでも強くなって、守ることの出来るくらいに強くなって。
神の戯れに付き合うのは癪ではあるが、神の戯れだからこそのこの力。人間の戯れなどに縛られる規模ではないはずなのである。
だからこそ。
自分は引き金を引き、残像でレーザーのように見えてしまうくらいの速度を持った魔力弾を撃ちながら敵を殲滅して更に、さらに奥へと進んでいく。
そして24階層に入ってすぐにその声を聞いた。
グボグククッッッ ギャギャギャギャ
「んっっっ、、、、だ、れ、ん〜〜、たす……、て」
艶めかしくも残酷な現実を伝える声が。





