17歳
小さい頃からお笑いが好きだった。テレビでよく見かける人気芸人よりも、テレビにあまり出ないような、YouTubeで検索をかけないと見れないようなマニアックな芸人に面白みを感じていた。
お笑いに1番ハマっていた時期は高校生のとき。高校生なんて青春真っ盛りで、それなりに言い寄ってくる男子はいたけど、あたしは恋愛とかイケメンとかに一切興味を持てなかった。ただお笑いだけが好きで、唯一の心の支えだった。
イーストサカイは17歳のときの1番のお気に入りの芸人だった。彼は奇抜な格好をしながら世相を切るようなネタをする漫談師だった。あたしは彼のネタが大好きで彼に尊敬の眼差しを向けていた程だった。
高校2年の夏休み、あたしはどうしても尊敬するイーストサカイに会いたくなって、初めてお笑いの劇場に1人で足を運んだ。
当時、あたしは大阪でも田舎の方に住んでいたから劇場のある大阪の中心部に慣れない電車で行くのはかなり緊張したものだ。
生で見るイーストサカイの面白さは別格で、ネタを見終わった後、興奮冷めやらぬまま劇場を出た。
舞台終わりの劇場前には舞台に出ていた芸人たちがたくさん立っていた。
その中に、イーストサカイもいた。舞台に立っていたときとは一転、シンプルな白シャツを着た彼に胸が高鳴った。興奮していたあたしはなんの躊躇いもなく彼に近づいていった。
「あの、あたし、イーストサカイさんのファンなんです!」
今思えばそんなことを言われて彼も反応に困っただろう。
「おう、ありがとうな!これからも応援よろしくやで!」
彼がそうあたしに言った。ファンには誰にでもそう言っていただろうけど、あたしはまだ若くて馬鹿だった。彼のその言葉が本当に特別で美しい言葉に聞こえていた。
けれど、この頃のあたしはまさか自分が憧れのイーストサカイと同棲することになるなん
て思いもしていなかったことだろう。




