謎の液体
アズキ島に向かった。今回も森での戦いだ。シクルが船を壊したお陰か、前回よりも減っている気がした。いつものように幹の陰に隠れながら、ガングを倒していく。今日は楽に帰れるかもしれない。シクルが思ったとき、大きなガングが現れた。ガタガタと音をたて動き、ゆっくり止まった。シクル達が玉を当てるがびくともしない。するとウィーンという音とともに、大きな銃口が現れた。10個ぐらいの穴があいているのが見える。攻撃に備え構えるがなにも起こらない。木の後ろから、他の部隊も顔をちらちらだしはじめた。何人かはそのガングに近づこうとしている。
「罠だ。逃げろ」
その声とともに、銃口が回りだし、たくさんの銃弾が不規則に飛び始めた。シクルはしゃがみ身を守る。ドンッという音がした。上を見ると弾が木を貫通し飛んできていた。そんな威力が..。唖然とした。ここも安全ではない。まわりには倒れてるニンゲンが数人いた。どうやら、リヨン達は巻き込まれてなさそうだ。なんとか倒さなければ。とんでくる弾の速さを見ると、どうにか避けれそうだった。船でやった方法はどうだろう。悩むよちはなかった。試すだけ試そう。体をのりだしガングに狙いを定め、大きい玉を2回発射した。その玉はしっかりとガングに当たる。しかし、銃口はそのまま形を保っていた。
「変形しない..」
ガングから視線をはずした。どうしよう。などと考えていると
「危ない」
と声が聞こえた。はっとしてガングに目を向けると、発射された弾がシクルにむかって飛んでいた。素早く木の裏に隠れ、しゃがんだ。はずだった。腕に何かかすったような感覚がした。腕を見ると服が破け、赤い液体が染み出ていた。反対側の手で触り、匂いを嗅ぐ。鉄のようなにおいがした。頭が真っ白になる。
「大丈夫?」
さっきと同じような声が聞こえた。見上げるとリゼがガングを気にしながら近寄ってきて、シクルの前にしゃがんだ。リゼはシクルの身体をじっと見た後、腕のところで止まった。
「これ」
シクルの腕をつかみ、赤い液体を触った。
「何も変化ない?」
「はい。少しヒリヒリしますが大丈夫です」
腕を動かしながら答えた。
「そう」
とだけ言い、リゼは布をだしシクルの腕に巻いた。そして武器を持ち、ガングの前にでて構えた。発射された玉は、倍ぐらいの大きさになり10個にわかれ、ガングの銃口の穴にはまった。リゼは再度、シクルのところにきて
「耳を塞いで」
と言った。シクルはわけも分からないまま、耳を塞ぐ。すると、ドンという大きい音とともに煙がたった。
少したつとリゼが立ち上がった。様子をうかがい
「いいよ。もう大丈夫」
シクルに声をかけた。シクルはゆっくりとガングの方に顔をだした。ガングがいたその場所には、破片が散らばっていた。すごい。シクルは関心した。リゼは満足そうにうなずく。
「ありがとうございます」
シクルはリゼにお礼を言った。
「いいのよ。もうちょっと私が早くむかえばこうならなかったのに。失敗だ」
まわりには、ニンゲンが数十人倒れていた。とても悔しそうだった。近くに倒れてたニンゲンを担ぎ、後方に歩きだした。シクルを向き、足を止める。
「そういえば、この液体のこと誰にも言わないで。あと明日、司令官室にきてね」
どうして?理由を聞こうとしたが、行ってしまった。
諦めて時間いっぱいまで、小さいガングを撃ち落とした。
交代時間になり、安全地帯に戻った。安全地帯には動かなくなったニンゲンが並べられていた。アサヒが先についていた。
「やあ、そっち大変だったらしいね」
情報がまわるのが速い。
「はい。少し擦りましたけど大丈夫です」
布に巻かれた腕を見せる。布のおかげで赤い液体がみえない。
「軽くてよかったね。戻ったら司令塔に行くといい。身体の調子を見てもらえる」
「はい。分かりました」
と言って微笑んだ。その笑顔で安心したのか、アサヒはほっとしたような顔をした。
施設につき、そのまま司令塔に向かった。エレベーターに乗り、9階に向かう。チンと音がして扉が開いた。まっすぐ進み、研究員がいるところに行った。研究室のドアを開け声をかけた。
「あの。腕を見ていただきたいんですけど」
すると、1匹の研究員がこちらに来た。
「見せてもらってもよいですか」
シクルはうなずき、布をはずした。それを見た研究員の顔が強張った。しかし、すぐに微笑み
「お待ちください」
と言って少し離れると、瓶と包帯持って戻ってきた。瓶を開け、透明な液体を腕にかけた。切れた部分を布でふさぎ、包帯で巻いた。
「これで大丈夫です」
「ありがとうございます」
お辞儀をして立ち去ろうとすると
「あの」
と引き留められた。シクルは立ち止まる。
「この傷のこと誰にも言わないでください。特殊なものなので、あまり知られたくないんです。機械の不備とかではないのでそこは安心してください。あと、今後何か異変があれば司令官を訪ねてください」
シクルはうなずいた。
「分かりました」
リゼも言っていた。特殊とはいえ、どうしてだろうと疑問になる。
「どうだった?」
部屋に戻ると、リヨンが声をかけてきた。
「大丈夫そうです」
「よかったね。今日はもう休みな」
と軽く背中を押し、休むように促した。シクルは言葉に甘えてベットに横になった。




