新たな誕生
シャカー
カプセルの扉が開く。中からでてきたのは人型の機械。すべすべな肌色の体に長髪が頭からたれている。生活、訓練をしていくことで学び、戦闘に活かすことができる人工知能を搭載した人型の機械。それをニンゲンといった。
ニンゲンがでてくると、研究員が服を渡した。ニンゲンは服を受け取り着替えた。言葉が話せないのか、無言のままだ。
「司令官。No285はいります」
研究員が言うと、どうぞと声が聞こえた。研究員に背中をそっと押されると、ニンゲンは中に入っていった。
「座って」
司令官は椅子を持ってきて、慣れた手つきで座らせた。目の前には手型の機械が置いてある。向かいに司令官も座り、ニンゲンをじっとみた。そこから視線をずらし悩んだ後
「あなたの名前は、シクルね。そこに手を当てて」
と書類になにかを書きながら言った。シクルと名付けられたニンゲンは手型の機械に手を当てた。感情、言葉、世界、指名...いろんな情報が体の中に入ってきた。吐きそうなのを頑張って抑えた。
「あなたの部隊は、桔梗隊よ。この施設にいきなさい」
と地図とUSBを渡された。
「ありがとうございます」
お辞儀をしてシクルは部屋をでた。
施設はこの司令塔からすぐそこだった。歩きながら街を見る。ここは動物たちが暮らす、ジャワナ国。山と海に囲まれた大きな国である。研究員や街の生き物も動物だ。たまにニンゲンの姿もみえる。楽しそうに生活しているのが見ていてわかった。
目的の施設に入った。広い空間の正面には受付があり、その周りには長椅子が置いてある。受付でUSBを渡した。受付係であろうクマは、そのUSBを受け取り、パソコンにさした。
「了解しました。こちらです」
先に行くクマについて行った。廊下を歩いて行くと、しだいにニンゲンがちらちら現れた。シクルとは顔つきや体格が違っている。
桔梗と書かれたドアの前につくと、お辞儀をしてもとの道に戻っていってしまった。ノックをしてドアを開ける。部屋には大きいソファーやテレビがあり、壁には3つのドアがあった。ソファーにはニンゲンが3人座っていた。ここはリビングといったところだろう。部隊は4人で構成される。4人1組で生活をし、任務や敵の殲滅にあたる。兵士といったところだ。
「後輩が来たよ。ジャン」
高身長のニンゲンが、ジャンといわれる短髪のニンゲンに言った。
「シクルです。よろしくお願いします」
と一礼した。
「ようこそ桔梗隊へ。私はここの隊長をしているリヨンだ」
と言って、高身長のニンゲンが手をさしだした。シクルも手をのばし握手した。
「俺はジャン。よろしくな」
リヨンの後ろで手をひらひらさせながら言った。
「私はアサヒ。よろしく」
と髪を一束にまとめた子が立ってお辞儀をした。
「さっそくなんだが、シクルの武器を決めたい。こっちに来てくれ」
リヨンが左のドアを開けて中に入った。シクルも続いて入る。そこは武器倉庫のようだ。たくさんの武器が保管されており、試し撃ちができる的も壁に取り付けてある。部隊には、前衛、狙撃が必要だ。
「僕とあさひが前衛。ジャンが狙撃なんだ。シクルには狙撃をやってもらいたんだが、いいかな」
特にやりたいと思っているものはなかったので、頷いた。狙撃でもたくさんの武器がある。大砲、バズーカ、拳銃など片っ端から試していった。その結果、手持ちの大砲になった。追尾機能もついている。玉はニンゲンの中で作られる、マナというものを使っている。武器にマナを込めると、玉は実体化し、剣は鞘に刃物が生える。
専用のケースに武器をしまっていると
「今日はゆっくりしなさい。就寝部屋はでて正面の部屋だ。名前の書いてあるベッドを使うといい」
とリヨンが声をかけた。
「はい」
シクルはそう言って、武器部屋をでた。休んでも良かったが街を見たくなったので、施設をでた。動物たちが幸せそうな顔をして歩いているのを見て嬉しくなった。平和そうに見えるが、戦争をしている国でもある。ここから少し離れた小さな島で、ガルグ国と戦争をしている。ガング国は機械の国で、ロボットたちが住んでいる。戦闘専用のロボットをガングといった。事の発端は160年前、ガルグ国がジャナワ国を乗っ取ろうとして侵略してきたのがきっかけである。昔は弓や槍で追い返せていたが、近年は技術が発展してきたため、ガルグ国は力をつけ再度侵略をしようとしている。そのため、国境である島で戦いが続いている。機械には機械をと、ガングたちと戦うために作ったのが、ニンゲンだった。
シクルはこの平和の景色を見ながら、ここに住む動物たちを守ろう。そう決心した。
施設に戻り、就寝部屋に入った。二段ベッドになっていて、カーテンがついていた。シクルと書いてあるベットに入った。枕元には棚があり、本や筆、練習用の服が置いてあった。あくびをしてカーテンを閉め、横になった。




