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IL FALCO NERO 〜黒い隼〜  作者: 新駒直胤
ゴミどもの宴
15/28

晩夏の激闘

かつて彼は「鷲」と呼ばれ、「星」として崇められた。

神は残酷だ。

彼の命を戦いで落とさせなかったのだから。

彼にヴァルハラへの切符を与えなかったのだから。

 晩夏のアレッサンドロ海の上空、語り草になるほどの激しいドッグファイトが繰り広げられていたことは、当時、おそらく知る人ぞ知る程度であっただろう。

 方や王立空軍の撃墜王(エース)、カーネ・アッラッビアート。方やアレッサンドロ海最強の賞金稼ぎ、ファルコ・ネーロ。双方名の知れた空戦の達人(エクスペルテン)同士の決闘は熾烈を極めた。

 片方が尻を取ると、もう片方が繊細かつ芸術的な機動で逆転する。取り返された方もまた、熟練の軽業師の芸の如き機動で逆転する。

 逆転に次ぐ逆転の連続。第三者の視点で観れば、ただ仲良くグルグル輪を描いているようにしか観えなかったであろう。

 そう観えるのも無理はない。個人的見解ではあるが、尻の取り合い(ドッグファイト)というものは、単純に言えば円運動。その円運動中に、上下左右の動きを加えたものが戦闘機動(マニューバ)なのである。

 ファルコとカーネの、筆舌に尽くし難いその空戦では、壮絶な読み合い、技という技の応酬が、零コンマ単位で繰り広げられていた。


「っそッたれッッ‼︎」


 ファルコは方向舵を巧みに操り、機体を滑らせた。カーネの放った一撃必殺、20ミリ機関砲(モーターカノン)弾が空を切る。と同時に、ファルコはキ43の鋭利な機動性を活かしたバレルロールでカーネの背後を取ろうとするが、カーネはインメルマンターンで避け、距離をとった。

 ファルコはすぐさま旋回し、カーネを追おうとするが、カーネは既に向き直っており、カーネが上をとった状態で正面から撃ち合うような形となった。

 よし、これならば。ファルコはこの状況を絶好の好機と見た。何故ならば、彼はこのような状況で使える戦闘機動を得手とする戦闘機動の一つとしていたからだ。

 好戦的なカーネならば、かなりの確率で引っかかるだろう。

 両雄の距離はどんどん縮まる。

 カーネはモーターカノンの準備を、ファルコは逆転の準備を。

 そして、両雄交錯するまでもう間がない、というところで、ファルコは突如、スプリットSで反転した。

 カーネはそれを追おうとするが、降下していたせいで、余計に速度が出てしまい、いつものような旋回が出来ない。

 しかしそれでも強引に旋回させようとした刹那、カーネの野生の勘が、それを猛烈に拒んだ。

 慌ててカーネは旋回を止め、そのままその場から離脱し、スピードで距離を稼ぎ、遠くで上昇する方向に転換した。

 この判断は、この決闘中、最も賢明な判断だった。

 もし、ファルコがとった機動に引っかかっていたら、カーネはファルコの目の前に躍り出てしまい、逃げたとしても背後を取られきっているので、どのみち撃墜は免れなかったであろう。

 ファルコの目論見は失敗に終わったのだ。

 ファルコは小さく鋭く「畜生」と悔しがると、全速でカーネを追いかけた。遠くのカーネを見ると、ぐんぐん高度を上げている。急がねば…………いや、待てよ?

 少しの間の後、ファルコは何かを思いついたらしい。

 それは妙案とも、トチ狂ったとも言えた。

 カーネは上昇したのに対し、ファルコはそのまま低空を飛び続けたのだ。

 莫迦だ。完全に莫迦だ。イッてしまった。このまま低空を行き続ければ、Bf109が急降下して来て、取り返しのつかないことになるのは目に見えている。

 しかしファルコはそのまま行き続けた。おそらく、カーネはその様子に驚くと同時に、しめしめと思っていただろう。

 急降下攻撃を行うのに十分な高度まで達したカーネは、よく狙いを定め、背面降下に移り、鷲の如くファルコに襲い掛かった。

 もしこの場にギャラリーがいれば、誰もが「撃墜必須」と思ったことであろう。そして、誰もの予想が外れ、驚愕したことであろう。


 敵機直上、急降下。

 この状況を待っていたかの如く、ファルコは自動空戦フラップとエンジンを全開にし、機体を錐揉みさせながら急上昇させた。

 エンジンが悲痛な叫びをあげる。されど機体は上がり続ける。

 カーネはかなり驚愕したことであろう。まさか急降下中に敵と顔を合わせるようなことになるとは、と。

 信じられない機動で、ファルコはぐんぐんカーネに詰め寄った。

 距離はどんどん縮まる。五百、四百、三百、二百…………。とうとうぶつかりそうなぐらいにまで接近した。

 そして一連射。

 機首の12.7ミリ機関砲二門が火を噴く。

 意表を突かれたカーネは、急降下していたこともあって、十分に回避機動を取れなかった。幸い、致命傷には至らなかったが、機体に何発か喰らったようだ。

 喰らいはしたが、まだ全然飛べる。カーネは力一杯操縦桿を引き、海面スレスレで機体を起こした。

 さほど高くない上空を見上げると、無茶な機動をしたせいか、キ43は少しフラついていた。


「痛いのはお互い様ってワケか」


 カーネは済ました顔をしていたが、実際は体中冷や汗で濡れ濡れ。

 本当に幸いなことに、燃料以外何も異常はない。

 空戦の神様には感謝する。こんなタフな相手とヤりあったのは、通算して三人目だ。一人は『前の世界』でやっと出会えた程度だったけど、『この世界』では二人も、いとも簡単に出会えた。嬉しいなァ、嬉しいなァ。嗚呼、血が騒ぐ。かつて「鷲」と呼ばれた頃の血が騒ぐ。ヤらなきゃ収まらない。

 行くぞ、いざ‼︎

 カーネの駆るBf109F-4は、ファルコが駆るキ43が待つところまで、ぐんぐんと昇って行った。

今回、一切の見直しを行っておりません!

考証もあんまりやってません!

ほとんど脊髄反射で書いた、虫の文章です!

てかバレルロール好きだなオイ!

燕返し描写クソじゃねぇか!

じゃあ、また次回!

サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ

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