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IL FALCO NERO 〜黒い隼〜  作者: 新駒直胤
ゴミどもの宴
10/28

野良猫兄弟

ふと、この頃の空模様を見ていると、蒼く果てしない空を、彼が飛んでいるような幻想に駆られる

 眼前の無法な新参者、グラマンF4Fワイルドキャット(野良猫)に鉛玉の制裁を加えんとする一式戦(ファルコ)

 ファルコが機関砲の引き金に手をかけた刹那、右方から何者かがファルコに襲い掛かって来た。


機織り戦法(サッチウィーブ)かッ‼︎」


 しまった、と言うようにファルコは思わず絶叫した。

 機織り戦法(サッチウィーブ)とは、二機一組の空戦機動(マニューバ)で、一機が囮となり、もう一機が横に回り込んで攻撃する、機織りのような機動で敵にトドメを刺す戦法のことである。F4Fのような、旋回性能が低い戦闘機が、一式戦のような旋回性能抜群の戦闘機と戦うための最も効果的な戦法の一つである。

 ファルコの横から突撃して来たF4Fの機関砲がバリバリと火を噴いた。

 幸い、ギリギリ一式戦には当たらなかった。しかし、分が悪くなった。


「畜生、2対1かよ」


 右方から襲い掛かって来たF4Fは、ファルコの後方を横切って、遠くの方で斜めに上方宙返り(シャンデル)して反転した。


「なるほど、手前らあの野良猫兄弟ワイルドキャット・ブラザーズか」


 よく見ると、二機のF4Fの尾翼には、同じ「片目を開けた猫(尚、左右逆)」の絵が施されていた。

 この二機一組のF4Fの操縦士は、先の帝政ルートヴィヒラントとガリア共和国の戦争に於いて、ガリア方の航空義勇兵として、少なくない数のルートヴィヒラントの撃墜王(エクスペルテン)を墜とした、航空傭兵ワイルドキャット・ブラザーズのジョセフ・ボンズとジョナサン・ボンズその人である。

 先の戦争、ガリアは、領土の三分の一を失うほどの大敗を喫したが、彼らは敗戦の二ヶ月前に、契約切れを理由に故郷(くに)に帰っている。そのため、国際協約上、彼らは終戦時には非戦闘員となっていたため、罪も賠償金も糞も何もなく、支払われた莫大な俸給は彼らの手元に残った。ガリアの首都・ルテティアの一等地の邸宅を買えるほどの金額である。

 そのクセに、何故こんな一攫千金を夢見るクズどもの溜まり場のような所にいるのか。ファルコはただそれだけが疑問だった。



 しかし、今はそんなことをゆっくり熟考している場合ではない。

 反転して来たF4Fの放った銃弾が、数発ほど機体に当たった。幸い、戦闘に差し障りない程度だったが、次喰らえば危うい。燃料も心許なく、短期決戦で行くしかない。

 さっきまで追い回してた方は大丈夫。急反転して来ても届かない。


 さて、もう十分だろう。十分当てただろう。満足だろう。

 じゃあ墜とすぞ。


 ファルコは、反転し、再びこちらに突撃せんとするF4F(ジョセフ)に対し、旋回して機首を上げ、降下してくる相手に真正面から撃ち合う姿勢を見せた。

 そこだけ見れば、勇ましい、叙事詩の騎士の一騎討ち(ジョスト)の様であった。

 両雄徐々に接近する。

 しかし、突如ファルコは機体を背面降下させ、縦のUターン、スプリットSの機動に移った。

 F4F(ジョセフ)はそれに対応出来ず、そのまま降下して行った。

 ヤツ(賞金首)は何がしたかったんだ?

 機体を持ち直し、消えた黒い一式戦(賞金首)を捜そうとすると、突如、銃弾の雨が降りかかった。


 何てこった(ブラッディ・シット)


 野郎いつの間にか、必殺の位置を取ってやがった!

 畜生、何がなんだか。消えたと思ったら、あんな所に!

 あれがアレッサンドロ海最強の男、あれがファルコ・ネーロ(黒い隼)かッ‼︎


 機体上方から銃撃を受けたF4F(ジョセフ)は、エンジンに集中砲火を浴び、為すすべなく、黒い煙を噴いて下の小島の方に墜ちて行った。

 残るは一機、(ジョナサン)のみである。

毎度お粗末様で御座います

こんなに簡単に機銃が当たるとは思いやせんが、絵面やら何やら的に、そうせざるを得なかったんでさ

サッチウィーブもこんな簡単に躱せるたぁ、思いやせんし

御都合主義ってのは良いもんでござぁすな

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