赤色の叫び
………
……
…どのくらい経ったのでしょうか?
「いつまでそうしている?」
アノ場で私を叩きのめした『剣の男』がいます。
いつ来たのでしょう?
「オレが憎いか?」
どうなんでしょう?今の私にはもうわかりません。
とりあえず敵わないかなぁ、何をしても強い力の前では無力。
失くなった未来はもう手に入らないからどうでもいいです。
「起きろ」
急にヒヤッとしたものが頭にかけれら、こぼれてきた。
冷たいなぁ。
男が花瓶を持っていますーー頭から中身の水をかけられたようです。
男の手の平が視界に入ります。
痛いーー視界がブレた。
熱い?ほっぺたがジンジンします。
首もちょっと痛い。
「まだ寝ぼけているのか?」
そうみたい。なんだかボーッとするんです。
「死にたいのか?」
死?どうせ死にます。
「体に聞くか」
男の手が私の着ていた夜着を引き裂きます。
昔ご主人様にもされたコトある…ご主人様…
「抵抗してみせろ?さもなくばオマエを犯す」
!それはいや、ごしゅじんさまがいい。
男が私の体に触れてきます。
気持ち悪い
でも…だけど…い
私はどんどん脱がされていた
や…だけど…ーー力が入る抜ける。
嫌だ、諦めようかな、嫌、無駄。
「オレに股を開けさせられてイイのか?」
男の手が一気に私を開く
「あ!うああ……」
い…で…いやだいやだ!
嫌!
「諦めるのか?それならそれでかまわんが」
私の上に男がのしかかってくる。
ご主人様とは違う!ご主人様じゃなきゃ嫌!
「いやだ」
手が動いたーー払った勢いで男の顔に手があたる。
でもビクともしないーー平然とした顔。
「嫌だ嫌です。ご主人様以外は嫌です!」
男を睨む。
殺してやる。
「嫌か?」
睨み返される…でも負けない。
隙を突いて殺す。
「アンタなんか殺す!絶対嫌」
手刀を目にーー腕を捕まれ体を引っ繰り返される。
突き出そうとした私の手は、男にそのまま後ろ手にねじられた。
完璧に極められた、呆気無い程に。
嫌だ。
いやだ
嫌だ
殺す
おまえがいなければ!
「あああああ!」
全身に力を入れて振りほどこうとする。
「落ち着け!元からガキには興味はない。」
人の体まさぐっておいて何を〜。
抵抗すらできない、この嘘つき。
「成長中なんです!」
「成長するのを楽しみに待ってやる」
爆笑された。
「殺してやる!」
「エルトはオマエに生きて欲しいそうだ。」
「あな、あなたがご主人様を騙るな!あなたの言うことなんか信じられません!」
「それもそうだ。だが約束をした」
?どういうこと?ですか?ーー堂々とした態度に躊躇う。
「まぁ座れ!物騒な起こし方になったのはこの第三王子であるグレイの名において詫びよう」
私から離れるグレイ王子?
なんかスゴイ肩書で謝ってきました。でもソレあんまり関係無いですよ、むしろ価値が暴落するだけじゃ。
警戒は続けます、例え敵わないとわかっていても。
「安心しろ!オレがエルトと約束した!オマエを戦場に出さない!」
さっきから何を言ってるの?
「あ、あの場で研究者の味方をしたアンタなんか信じられるわけない!」
騙そうとしてるんだ、殺す。
私の体弄った、ヘンタイ、死ね!
「研究者の味方ではないぞ、かといって敵というわけでもないが。
オレは王家の勇者だ、ゆえにこの国の勇者を束ねる地位にある。
研究者は、オレがこの地位になる前から『勇者研究』をしてきた男だ。そのせいでエルトとオマエの村はアノ男の支配するものとなっていた。
が、だ!
今回エルトの処遇を国が決めたーーエルトの処刑だ、オレと研究者の意見だけが違った、ソレだけの関係だ。
だからヤツと一緒にアノ日お前らの前に現れたのだ。」
ショックを受けますーーご主人様を死刑だなんて。
国はご主人様を閉じ込めるばかりじゃなく殺すなんて。
勇者とはいえ、国という大きな存在のモノからしたら大したものじゃないのでしょうか?
グレイ…様が忌々しげに話します。
「オレも研究者のコトは好かん。だが国から救うには手を組むしかなかったのだ。エルトの身柄をヤツに任せるコトにはなったがな」
舌打ち。そして私を見ます。
「だがエルトと約束した。」
フッと息を吐いて笑う、ドコか優しげな眼差しで。
「アイツは昔からの知り合いでな、カリもある。だから返す!」
ほんとうに?
目の前の男は信じられないケド、ご主人様のコトだと言われるとグラつきます。
約束って本物なんですか?
私のために…私なんかのために。
ご主人様が残した約束が本当であって欲しい…だからすがりたい。
「ごしゅじんさま」
あなたはツラクないですか?大丈夫ですか?ーーボタボタと涙がこぼれます。
信じていいんですか?
ホントに?
「落ち着けと言っているだろう!〜〜〜って無理か、やり過ぎた、悪かった、衣服を整えさせよう。…胸も揉んで悪かったな」
最後の方は小声でしたが、会話に合わせたのか扉が開き女性が入ってきました。
「最悪だ!サイテーのヘンタイだ」
「…演技だ」
「うっそだーこぉんな幼気な子に思わずサカッちゃったんでしょー」
「殺すぞ!ヴァイオレッタ!そもそも扉の向こうにオマエを控えさせておいたのに本気でヤレルか!」
妙に陽気な女性が入ってきました。
「やあ!アタシの名前はヴァイオレッタ!お嬢様やっと目が覚めたね。アタシがお世話してたんだよ〜?覚えてる?」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
気圧されます。
お世話されていたのよく覚えてません、ごめんなさい。
「ごめんねぇ〜メイちゃん。でももう3日も魂抜けてたんだよ?わかる?」
そうなんですか…ご主人様とお別れてしてからもうそんなに?
最初に目が冷めて泣き叫んだトコロまでしかわかりません。
「だからこのヘンタイ王子が心配して…でも不器用だから強引にいってみようというコトになって?なったんだよ」
「オマエ…最悪襲うフリしろって言ったのは、オマエ」
「ごめんね?」
グレイ様が怖い感じから、ちょっと間抜けに見える。
と言いますか、このおねえさんちょっと圧倒されます。
というかあんな目にあってるんだけど…私流されてる?
お二人の感じだと、グレイ様は本当に私のコトを犯す気はなかった、と言ってもイイのかもしれません。
釈然としませんけど。
どうせ八方塞がりですから…信じるしかない。
「そもそも本気でオマエを犯そうとしてたら、抵抗なんぞできんぞ」
言い訳をしてきました。
…確かにそうかもしれもない、どこかそういう気遣いはあった気がする。
それに私程度にこんな小芝居を打つ必要もない。
「あの…さっきの言葉本当なんですか?」
「?ああ、もちろん本当だ。
エルトはオマエを愛し、生きて欲しいと願っている。だからオレはオマエを戦場出さない。」
グレイ様は照れくさそうにもう一度仰ってくれた。
信じちゃいますよ?
言葉は届かないケド、あなたが私のために約束してくれたというなら…ご主人様。
生きますよ、どうなるかわからないケド…あなたが生きろと仰ってくれたと信じるから。
私も愛してます、ご主人様。
生きて欲しいです、ご主人様も。
涙がにじみます。
外は雨上がりの夕焼けみたいです。
部屋中が照らされ、私もグレイ様もヴァイオレッタさんも赤いです。
夕焼けは過ぎ去った時を懐かしいと思う赤色なんでしょうか。
あの日の夕暮れーーご主人様を信じた日を思い出します、今日もまた信じます。
生きてみようと、ずっと愛していようと思います。
「私は貴方の下でどうすればいいのでしょうか?」
タダで・・生かしてもらう価値なんて私にはない。
「風呂行くよ!おいで?」
ヴィオレッタさんに抱きしめられる。
「嫌」
なんか反射的に応えてしまいました。
「許さない!アタシがキレイキレイにしてあげる〜」
「もっと嫌です」
お風呂には入りたいですよ、一緒に入るのは嫌ですけど。
引きずられます...やめて。
グレイ王子の顔が見えます。
なんだかさっきと違って優しそうに見えます。
…私やっぱり騙されてない?
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この後、このようなコトがあったかもしれません。
読んで頂きありがとうございました。
グレイ王子は3話?『14歳の誕生日前日』に出た人です。
なんとなく書いただけなのに再登場しました、予想外。
ちなみにファイルが消えたので書き換えたのですが、
最初は「戦場のメイド」というサブタイトルで戦場に出されてました。
今後共頑張りますのでよろしくお願いいたします。




