第71話 王立錬金術学院院長
王立錬金術学院の使者二人は、非の打ちどころのない礼儀作法でモーフェイを精巧な巨大真鍮の鳥籠へと「案内」し、中の座席へ座らせた。
その鳥籠の内部は、外から見るよりずっと広かった。中にはいくつもの座席があり、深紅のビロードの座布団が敷かれ、肘掛けには複雑な紋様が彫り込まれている。
モーフェイがこれは何をするものなのかと疑問に思っていると、一人の使者が袖からルーンの刻まれた秘鍵を取り出し、操作台の凹部へそっと差し込んだ。
澄んだ機械の噛み合う音とともに、鳥籠内部のルーン回路が順に点灯し、蛍のような淡い光を瞬かせた。
「出発」使者は低く宣言し、すぐにレバーを引き下ろした。
轟──!!
足元のエーテルエンジンが、低く力強い咆哮を上げた。強大なエーテル流が鳥籠の底部に集まり、肉眼でも見える淡い青色の推力波紋へと変わる。
モーフェイは軽い耳鳴りと浮遊感を覚えた。この重たい真鍮の巨器は、見えない巨人の手に支えられた凧のように、安定したまま素早く地面を離れ、空へ向かってまっすぐ舞い上がった。
これは……飛行魔導具か? モーフェイは慌てて全知の視界で確認した。
【籠型飛行魔導具(改造版)】
【状態:運転中。】
【成分:真鍮 65%、エーテルエンジン 20%……】
全知の視界の中では、魔力で作動する浮揚符灯がシステムによって「失効」と表示されていた。その代わり、台座には荒々しいエンジンが据えられ、落ち着きのない轟音を響かせながら淡い青色のエーテル流を噴き出している。
やっぱり、このご時世、魔導具もエーテル食いに切り替わってるんだな。モーフェイは顎を撫で、鳥籠艇が安定して上昇する推力を感じ取った。
鳥籠艇は素早く高度を上げた。下城区の密集した荒れた屋根は次第に斑点のようになり、まるで苔むしたぼろ布のように見えた。
続いて、鳥籠艇は空中でわずかに前へ傾いた。推力波紋は垂直噴射から一気に後方噴射へ切り替わり、上城区へ向かって疾走する。
しばらくすると、眼下の景色は上城区の整然と並ぶ尖塔、広く清潔な街路、そして陽光を受けて輝く瑠璃瓦へと変わっていった。
遮るもののない陽射しがモーフェイの顔に降り注ぎ、彼は思わず目を細めた。
モーフェイの胸に、ふと強烈な思いが芽生えた。そろそろ自分用の移動手段を用意すべきだ。いつまでも二本の足で走り回るのは、さすがにどうかしている。
およそ三十分飛んだ後、鳥籠艇は壮麗な建築群の前に静かに着陸した。
使者はモーフェイを王立錬金術学院の正門へ案内した。モーフェイがこの場所に正々堂々と正門から入るのは、これが初めてだった。以前、深夜に忍び込んだときのみじめな姿を思い返すと、今の扱いはまさに天地の差である。
高くそびえる白い大理石の柱が両側に並び、巨人の衛兵のように立っていた。さまざまな姿の学生や学者が広場を行き交う。彼らの歩みは落ち着いており、その顔には知識階級だけが持つ独特の傲気があった。
いくつもの廊下と螺旋階段を抜けた後、使者は精緻な浮き彫りの施された重厚な木扉の前で足を止めた。
「アルバート院長が中でお待ちです。どうぞお入りください」
モーフェイは深く息を吸い、木扉を押し開けた。目に入ったのは広く明るい執務室だった。
執務机の奥には、背の高い痩せた老人が座っていた。胸まで届く銀白の長い髭をたくわえ、半月形の眼鏡を鼻先に掛け、深紫の地に金糸の刺繍が入った大きな礼服姿は、背筋が伸び、知恵に満ちて見えた。
「掛けたまえ」アルバート院長は瞬きをし、親しげな微笑を浮かべて向かいの革椅子を指した。その声には高位者らしい威圧感が少しもなく、まるで人のいい隣家の祖父のようだった。
モーフェイは言われた通りに座り、配達箱を足元に置いて、さりげなくこの大人物を観察した。
「緊張しなくていい」アルバート院長は椅子の背にもたれ、十本の指を組んで机の上に置いた。「私はただ、古い友人として、ニコラスの弟子が最近どう過ごしているか見てみたかっただけだ」
古い友人? モーフェイの胸が跳ねた。おかしいぞ。あのじじい、院長の友人がいるなんて一度も言ってなかった。
「あの方は慌ただしく出て行かれまして、残した厄介事も少なくありませんから」モーフェイは慎重に、どちらにも取れる答えを返した。
アルバート院長はうなずいた。眼鏡の奥の視線には、どこか見透かすような力があった。「では、君は自分の師匠について、どれほど知っているのかな?」
「だいたい、フライドチキンが大好きで、借りた金を返さない人だってことくらいですね」モーフェイは即座に問い返した。「もしかして院長閣下は、今あの人がどこで借金取りから隠れているかご存じなんですか?」
「面白い」アルバート院長は小さく笑った。語る速度は相変わらずゆっくりだった。
そのとき、配達箱の中のプロトタイプ1号が箱の壁を一度押した。モーフェイは表情を変えずに手を伸ばし、箱の蓋を押さえた。
アルバート院長の視線は箱の上で半秒ほど止まり、それからモーフェイの顔へ戻った。
「……それで、院長が俺を呼んだのは、何か用があるからですか?」レンズの奥の目に見つめられ、モーフェイは背筋がぞわりとした。
「ニコラスは去る前に、学院に一つ物を残していった」院長は机の奥からゆっくり歩み出た。「時が来たら、それを君に渡すよう言い残してね」
「……いつです?」
「今かもしれない」
「それで、何を残したんですか?」
「分からない。彼はただ、時が来れば、それを見た君には自然と分かると言っただけだ」院長は扉へ向かった。
「……その物はどこに?」
「彼が当時使っていた研究室だ」院長はすでに扉のそばまで来ており、促すように手を差し出した。「ついて来たまえ」
あの、毎日ぼろ工房にこもり、ビーカーでコーヒーを淹れ、数万金貨の借金を残して逃げたずぼらなじじいが、王立錬金術学院の中に自分専用の研究室を持っていた?
モーフェイの衝撃は、あの借用書を初めて見たときに少しも劣らなかった。
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二人は前後に並び、複雑な銘文の彫られた透かし彫りの長廊下を歩いていった。
プロトタイプ1号は配達箱の中でますます激しく動いていた。蓋を押すだけではない。体全体がかすかに震えており、何か不安にさせるもの、あるいは興奮させるものを嗅ぎ取ったかのようだった。モーフェイは蓋を押さえ続けるしかなく、この小さなやつはいったい何にそこまで反応しているのかと内心で考えた。
院長の足取りは落ち着いていて、急ぎも遅れもしない。陽光が透かし彫りの窓格子からこぼれ、床を明暗の帯へと切り分けていた。
モーフェイはうつむいて歩きながらも、頭の中では考えが絶えず渦巻いていた。この院長との会話、どうしてこんなに既視感があるんだ?
長廊下が曲がると、その先には人気のない小さな建物があった。二人は螺旋階段を上って二階へ行き、最奥にある重厚な木扉の前で足を止めた。
目の前の光景を見たモーフェイは、思わず目元を引きつらせた。「この中には邪神でも封じてあるんですか?」




