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第147話 捕獲

路地の奥で、先ほど声を発した女が数歩外へ出た。ふくよかで白い太腿の一部が先に影から現れ、体の大半はまだ影の中に残っている。


彼女は路地の入口にいるモーフェイに気づいた。「あなたね。あれの相手をしてきなさい。子猫は私が守る」


モーフェイは影の中の人物を見た。「俺を知っているのか?」


相手は答えず、街路に倒れた怪物へ顎をしゃくった。「先にあれを始末しなさい。まだ死んでいない」


三人は大型ネズミ犬モンスターへ目を向けた。


タックシャの呼吸が一気に速くなった。彼女は急いで近づき、そのそばにしゃがみ込む。拘束具を取り出す指先が小刻みに震えていた。


「生きてる……よかった、よかった! 今のうちに拘束しなきゃ!」


拘束具を半分ほど固定したところで、大型ネズミ犬モンスターの固く閉じていた目が突然開いた。


モーフェイは異変に気づき、慌てて叫んだ。「危ない!」


垂れ下がっていたネズミの頭が勢いよく跳ね上がり、細長い門歯がタックシャへ噛みつく。


モーフェイは腕の中のプロトタイプ1号を、ネズミ犬モンスターの顔へ投げつけた。


プロトタイプ1号が正面からぶつかる。ゼリーのような体がモンスターの両目を覆い、タックシャへ向かっていた門歯の軌道を横へそらした。タックシャはその隙に身をひねって転がった。


大型ネズミ犬モンスターが激しく身をひねり、頭を振り回す。プロトタイプ1号が振り落とされた直後、固定されていなかった鋼板の一枚が跳ね落ち、モンスターを締めつけた。そのあと尾の一撃が飛び、プロトタイプ1号をモーフェイの足元へ叩き戻す。


モーフェイは急いでプロトタイプ1号を拾い上げ、引っかかった鋼板を外そうとした。だが、積層鋼板の内側が露出し、内側へ狭まる逆向きの牙が何列も並んでいるのが目に入った。

これ……キミミの「安全拘束具」と、設計がそっくりじゃないか!?


「チチチチチ!」

大型ネズミ犬モンスターが怒り狂って三人へ突進した。


「下がれ! あと一発しか撃てない!」

ロックは慌てて杖を掲げ、一本の雷光をネズミ犬モンスターへ放った。


しかしネズミ犬モンスターは突然向きを変え、雷光は前方の石板で炸裂した。


大型ネズミ犬モンスターは狭い路地を飛び出し、来た道をたどって先ほどの通りへ走り戻った。


「追うぞ!」タックシャが起き上がり、真っ先に追いかけていった。


---


ブラザーフッドと警備隊がようやく数匹の小型ネズミ犬モンスターを制圧したところへ、大型ネズミ犬モンスターが横から人だかりへ突っ込んだ。


ブラザーフッドの二人が正面から立ちはだかった。しかし相手は頭を低くし、二人の間を強引に突き破った。反対側から警備隊員が穴を埋め、槍と盾で再び向きを変えさせる。


バーニーが仲間を率いて前方から押し寄せた。最も近くにいた数人が同時に踏み込む。大型ネズミ犬モンスターは二度続けて向きを変えたが、包囲を抜けられず、喉の奥から乾いたかすれ声を漏らした。


口から少量の黒煙が噴き出し、最も近くにいた数人の顔へ正面からかぶさった。


煙にむせた者たちは顔をそむけて咳き込み、腕を上げて鼻と口を覆った。閉じかけていた隊列が半拍遅れ、その側面に隙間が生じる。


数匹の小型ネズミ犬モンスターが隙をつかみ、道端に沿って包囲の外へ駆け抜けた。大型ネズミ犬モンスターも頭を低くし、開いたばかりの隙間へ突っ込む。


モーフェイたち三人が到着したとき、ちょうど相手が隙間へまっすぐ突進するところだった。


「早く止めろ! 逃げるぞ!」


大型ネズミ犬モンスターが通りから出ようとした瞬間、その周囲で灰青色の光線が一気に展開し、またたく間に半透明の光球へまとまった。

相手が光球の内壁へ頭から激突する。球面が外側へ膨らみ、さらに相手を球心へ押し戻した。


反対側にはグレッグが立ち、手にした装置が低い振動音を響かせていた。


目の下に濃い隈を二つつくった彼は、モーフェイを見ると、顎をわずかに上げただけだった。

「報告書がこんなに大きいなんて、聞いていない」


大型ネズミ犬モンスターが向きを変え、反対側へ突っ込んだ。灰青色の光球が激しく揺れ、表面に幾重もの波紋が広がる。


グレッグは歯を食いしばって装置を高く掲げた。「早く囲め! 光球は長くもたない!」


モーフェイはプロトタイプ1号にまだ引っかかっている破損した拘束具を見下ろし、それからタックシャへ振り向いた。


「その針矢を貸してくれ。新しい捕獲道具を作る」


タックシャは少し迷ったが、やがて麻痺針矢を数本抜き出し、モーフェイへ渡した。


モーフェイはプロトタイプ1号から拘束具を外し、続けてそれらを投料口へ放り込んだ。


【投入素材を検出:「破損した拘束具」「麻痺針矢」×3。】


【解析完了。三つの錬成経路を観測:】


1. 【安全モード】「ガブガブダーツ」(消費 8 EP):鉄製の挟みを備え、命中した対象へ食らいつくダーツ。

2. 【フラックスモード】「綱引き拘束ロープ」(消費 37 EP):命中すると拘束を展開し、もう一端も縛りつける。

3. 【カオスモード】「封禁ダーツ」(消費 79 EP):命中した対象のあらゆる動きを止める。


今のEPは五十ちょっとしかない。やはりフラックスを選ぶのが無難だ。システム、2!


【宿主は選択肢 2 を選択しました。】


【37 EPを支払い、錬成開始!】


モーフェイの前で赤い光が明滅し、橙色の火花が次々と弾けた。光が収束すると、真新しい拘束ロープがモーフェイの手に落ちてきた。


【錬成完了!】


【おめでとうございます:「綱引き拘束ロープ」(通常級)を獲得しました。】

【アイテム効果:命中すると拘束を展開し、麻痺効果を放つ。もう一端も縛りつけられ、対象が遠ざかるほど拘束は強くなる。】

【備考:走れば走るほどきつくなり、もう一端を持つ人もどんどん疲れる。】


モーフェイは片手でロープの末端を握り、もう一方の手で、積層鋼板と麻痺針矢からなる先端部を持ち上げた。


大型ネズミ犬モンスターが再び光球の内壁へ激突する。球面が深くへこみ、灰青色の亀裂が衝突箇所から急速に広がった。球面が勢いよく跳ね返り、相手をよろめかせる。続いて光球全体が亀裂に沿って崩れ、灰青色の光点となって散った。


「今だ!」


積層鋼板でできた先端部が空気を切って飛び出す。大型ネズミ犬モンスターへ近づいた瞬間、鋼板が左右へ勢いよく開き、内側へ狭まる逆向きの牙を何列も露出させた。獣罠のように相手の後肢へ食らいつく。


鋼板が噛み合うのと同時に、麻痺針矢が肉へ食い込み、数本の拘束帯も先端部から跳ね開いて、胴体と四肢を締めつけた。


同じ瞬間、モーフェイの手にある末端からも拘束帯が跳ね開き、腰腹と腕へ絡みついた。大型ネズミ犬モンスターが前へ身を引くと、拘束ロープが一気に張りつめ、モーフェイの体全体が半歩前へ引きずられた。


「副作用まで公平すぎるだろ!」


バーニーの機械仕掛けの右腕が横からモーフェイの拘束帯をつかみ、別のブラザーフッドの一人がすぐ後ろから彼を引き止めた。


「つかめ!」バーニーが怒鳴った。


近くにいた者たちが次々と手を貸し、何本もの腕がモーフェイ側をつかんだ。大型ネズミ犬モンスターはなおも外へ突進している。一歩進むたび、両端の拘束帯が同時に内側へ締まった。針矢を受けた後肢も痙攣し始め、足を下ろすたびに踏み込みが不安定になっていく。


大型ネズミ犬モンスターはさらに数度もがいたが、ついに支えきれなくなった。人だかりからまだ距離のある場所で、細長い門歯が空しく激しく噛み合い、続いて体全体が石畳へ叩きつけられた。


四肢は完全に力を失い、二度と持ち上がらなかった。


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