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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第9章 真の力と覚悟

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第072話 廃墟へ

あれから5日が経った。


訓練は毎日続いた。朝から夕方まで、連携パターンを繰り返し練習した。


最初はぎこちなかった動きも、少しずつ滑らかになっていく。


完璧ではない。


だが、形にはなった。


7日目の夜、ユイは全員を集めた。


「明日、王都北部の廃墟へ向かいます」


全員が静かに頷く。


「馬車で3日かかります」


「馬車は、私たちで手配しました」


リリアが補足した。


「2頭立てよ。荷物も十分に積めるわ」


「御者は交代制で。全員が引きます」


翌朝。


8名は王都の北門に集合した。


手配した馬車が、すでに待っている。


武器、防具、回復薬、食料を積み込む。


全員が馬車に乗り込んだ。


最初の御者はカイルとハンスだ。


2人が手綱を引く。


馬車が動き出し、王都の街並みがゆっくりと遠ざかっていく。


馬車の中は狭い。6名が座ると、膝が触れ合うほどだった。


リリアが地図を広げる。


「北部の廃墟は、古い戦場跡よ」


「昔、大きな戦いがあった場所らしいわ」


アイリスが興味深そうに覗き込む。


「どんな戦い?」


「詳しくは分からないの。記録がほとんど残ってない」


セリスが不安そうに言った。


「記録が残ってない場所に、幻モンスターがいるんですか?」


「はい」


ユイは頷く。


「ですが、偵察です。戦うつもりはありません」


馬車は北へ進む。


街道は整備されているが、揺れは大きい。


午後、御者が交代する。


次はリリアとアイリスだ。


1日目の夜は、街道沿いの宿に泊まった。


2日目。


御者はセリスとエルザに交代する。


景色が変わっていく。森が深くなり、人の気配が薄れていく。


2日目の夜は、野営だった。


焚き火を囲み、全員で食事を取る。


セイラが口を開いた。


「幻モンスターは、どうやって現れる?」


ユイは少し考えた。


どこまで話すべきか。


「幻モンスターは、条件を満たした者の前にだけ現れます」


「条件?」


「はい」


ユイは頷く。


「強さではありません。行動、選択、精神状態です」


ハンスが低い声で尋ねる。


「具体的には?」


「場所、精神状態、発言」


ユイは慎重に言葉を選んだ。


「私が知っているカオスナイトの情報では」


「可能性の話ですが」


ユイは全員を見渡す。


「秩序が崩壊した場所で」


「世界への強い絶望や、秩序そのものを否定する感情を持つ者がいると」


「現れる可能性があります」


リリアが尋ねた。


「否定、ですか?」


「はい」


ユイは頷く。


「例えば、正義なんて存在しない、とか」


「秩序は無意味だ、とか」


「そうした発言や感情が、引き金になる可能性があります」


焚き火の音だけが響いた。


セイラが眉をひそめる。


「発言だけで?」


「可能性として、です」


ユイは繰り返す。


「確証はありません」


「ですが、不用意な発言は避けてください」


カイルが小さく呟いた。


「……怖いですね」


「だから、気をつけてください」


ユイは真剣な目で全員を見る。


「廃墟では、私の指示に従ってください」


「特に、世界や秩序を否定するような発言は、絶対にしないでください」


全員が黙って頷いた。


焚き火が、静かに燃え続けている。


3日目。


御者はユイとセイラに交代する。


馬車は深い森の中を進んだ。


街道は狭くなり、木々が鬱蒼と茂っている。


空気が重い。


普通の魔物の気配すら感じられない。


異様だった。


「近いです」


ユイが言う。


やがて、森が開けた。


そこに、廃墟があった。


古い石造りの建物が崩れ、武器や防具が地面に散乱している。


戦場の跡だ。


馬車を止める。


「ここからは徒歩です」


全員が馬車を降りた。


馬を木に繋ぐ。


廃墟が、目の前に広がっている。


ユイは深く息を吸った。


前世で一度、この場所に来たことがある。


あの時は一人だった。


今は違う。


8名がいる。


「行きましょう」


ユイが先頭を歩き出す。


全員が後に続いた。


廃墟の中へ入る。


足音が、石畳に響く。


静かだ。


風もない。


森も、息を潜めたように静まり返っている。


ユイは警戒を強めた。


「近いです」


「絶対に、不用意な発言をしないでください」


全員が頷く。


廃墟の奥へ進む。


古い剣が地面に突き刺さり、盾が割れて転がっている。


戦いの痕跡が、そこかしこに残っていた。


セイラが立ち止まる。


廃墟を見渡す。


崩れた建物。散乱した武器。


かつて、ここで何があったのか。


セイラが小さく呟いた。


「正義なんて、最初から存在しなかったのかもな」


その瞬間。


殺気が走った。


全員が、一斉に振り向く。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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