↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第25章 余韻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
213/214

第214話 変わる世界

王都のギルドに帰還したとき、戦い始まった。


「大型魔物討伐ですね」


ギルド職員が記録を取る。その口調は公式で、詮索がない。書類仕事の最後の確認という態度。それはユイには好都合だった。


「ああ」


ユイが簡潔に答えた。


「討伐対象の名前は?」


「不明」


ユイが答える。その返答は、建前だ。幻モンスターの名前を言えば、世界が動揺する。だから言わない。言わない方が、世界のためだ。


職員は了承した。彼の目には好奇心が無く、単純に業務を進めているだけだ。


「報酬についてですが……」


職員が続ける。通常は次の段階だ。討伐報酬を受け取り、ランクが上昇する。それが冒険者の道だ。


「受け取らない」


ユイが言った。


職員は驚いた。討伐報酬を受け取らない。あり得ない判断だ。だが、ユイは迷わない。報酬を受け取れば、注目される。今は、注目されるのは都合が悪い。


「わかりました。記録に残します。大型魔物討伐、完了。受け取り人:クロウフォール、ブレイズウォール、ラスティ」


職員が書き込む。その過程は、すべて公式だ。だが、公式だからこそ、秘密は秘密にはならない。どの業界にも、情報を追う者がいる。


ユイはそのことを知っていた。秘密は、秘密ではない。知る者は知っている。だが、知らない者は知らない。その微妙な線引きが、世界を保つ。


帰路でのことだ。ユイはカイルと並んで歩いていた。


「ユイ様、次は、何が起きるんだろう」


カイルが呟いた。帰還直後、盾役のリーダーは呟く。その言葉には、期待と不安が混在していた。


ユイは答えられなかった。その答えは、もう決まっていたから。


前世での知識。残り14体の幻モンスター。ザインの計画。世界の変化。すべてが、未来に向かって動き始めていた。


だが、今この瞬間、その答えを言うべきではない。言えば、恐怖が広がる。不安が深まる。だから、ユイは黙った。


「分かりません」


ユイが短く返答した。


カイルはそれで納得した。盾役は、リーダーの返答に疑問を持たない。信頼とは、そういうものだ。


その夜、クロウフォールの拠点に到着した。全員が、深い疲労を抱えて。だが、誰も倒れていない。誰も死んでいない。それだけで十分だった。


ユイは窓から外を見た。月が静かに輝いていた。その光の中で、王都は変わり始めていた。あるいは、もう変わっているのかもしれない。気づかないだけで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。