第94話 二つの道
『薬師』……調合士の派生上位職。
調合士の基本能力に加え、以下の能力が追加される。
・薬効強化:薬師が使用したアイテムの効果が強化される。※アイテム自体の性能は変化しない。
薬効アイテム ⇒約2倍
通常アイテム ⇒約1.5倍
魔導系アイテム ⇒補正無し
・上位調合:保有レシピと無関係に下位薬効アイテムから上位薬効アイテムを調合できる。※一部制限あり
・レシピ化:薬師
:薬効アイテムに限り、アイテムを分解することでレシピを習得できる。
『魔導技師』……調合士の派生上位職。
調合士の基本能力に加え、以下の能力が追加される。
・魔導強化:魔導技師が使用した魔導系アイテムの効果が強化される。※アイテム自体の性能は変化しない。
薬効アイテム ⇒補正無し
通常アイテム ⇒約1.2倍
魔導系アイテム ⇒約1.5倍
・簡略調合:魔導系アイテムの素材必要数を節約することが出来る。※但し簡略調合したアイテムは分解できない
・付与調合:魔導系アイテムを消費し、一時的に装備品に効果を付与する調合を行うことが出来る。
オレがクリエバから受けた上位職についての説明はこんなところだ。
一度クラスチェンジをするとLV15に到達するまで再変更は出来ないようなので、どちらを選ぶかは慎重に考えなくてはいけないようだ。
ちなみに今のオレは、『情報を得る』ことが出来ただけでクラスチェンジ資格を取得できたわけではない。るー坊の『キラサカスコ討伐』のように、ちゃんと何かしらのクエスト的な条件をクリアする必要がある。
ま、それは後でじっくり考えればいい。オレ自身の成長方向をどちらにするか?を先に考えたい。
「話を聞いた限りじゃ、要するに回復支援系に向かうか、攻撃支援系に向かうかのどちらかってことだよな」
『そうだねぇ……まだ誰もどちらも選んでないからぁ、どっち選んでも第一人者だけどねっ!』
そりゃそうだろう。てか、ギルドで確認出来ている調合士が3名しかいない上にその全員がオレより後発なんだから、選べているわけがない。
改めてオレはクリエラによる2職の特徴差を確認してみる。
ぱっと見の印象だけなら、明らかに優遇されているのは『薬師』だ。《レシピ化》であったり、《上位調合》だったりすぐに役に立つであろう能力が満載だ。
『自分で使用する』ことが条件だが、回復系アイテム効果が強化されるのも大きい。
ちなみに虎の子の『ブーストLV2』がどのカテゴリに当てはまるのかを聞いたところ、クリエラによれば通常アイテムになるそうだ。。ということは『薬師』で使用するとさらに今以上にドーピング効果が得られるというわけだ。
もちろん『魔導技師』を選んだとしても、『薬師』ほどではないが『ブーストLV2』から今以上の効果を得られることには変わりない。違いは『薬師』に比べると少し効果が抑えられているというくらいだ。
「悩ましいな」
情報を前に思わず唸ってしまう。
どちらを選んだとしても、今より弱くなることは無い。それは間違いない。あとは、どちらがより今後のオレ達に合っているか?そしてオレがやりたいか?である。
オレ達パーティに、今スグに必要な能力と考えるなら間違いなく『薬師』だろう。完全攻撃型のエルナ、盾の猫。この二人を活かすなら『薬師』一択だろう。だが、じゃあ『魔導技師』としての力が本当に不要か?と言われるとわからない。
火力がエルナの物理攻撃であるがゆえに、オレ達パーティには魔法しか通らないあるいは通りにくい敵に非常に弱いという、まだはっきりと顕在化していない弱点がある。
『魔導技師』は、恐らくこの弱点を高確率で補うことが出来る気がする。
そして本当の意味で悩む理由が他にもある。ここまで想定出来るこれらのメリットはそれぞれ前者は白魔法使い、後者は黒魔法使いが仲間に入った時点で解消されてしまう程度の利点だということである。
要するに、この情報だけではどちらを選ぶかの決定的な決め手にはなりえないということだ。
『なんか悩んでるみたいだけどぉ、どっちも今はまだなれないし、どっち選んでも強くなれるし役に立つから考えなくていいんじゃないの?』
「そうなんだろうけど、こういうのは悩む楽しみってのがあるんだ」
『ならいいけどっ!結局やりたいことをやったらいいんだと思うよっ!』
全くもってクリエラの言う通りだ。
どっち選んでも結局大きな影響がないなら、自分のやりたいと思う方をやったらいいってだけだ。今すぐには決められないが、必要となったその時のそのタイミングで決めればいいだろう。
「そしたら……クリエラ、それぞれのクラスチェンジ条件を教えて欲しいんだが」
『クリエバだよ!』
クリエバがプイっと横を向いた。
中身は同じだし、どうせ一文字違いなだけなんだから、いっちゃん最初の『クリエラ』で何がいけないんだ……と思わずため息をついてしまう。実際、街ごとに同じ相手を一文字違いで呼び分けるとか、どう考えても面倒くさいだけだろうに。
そんなに街ごとに呼び方を変えて欲しけりゃ、全然違う名前にすりゃいいのにと思う。
『響きに愛着があるんだよっ!』
オレの独り言のような呟きを聞いていたようだ。
だったらいっそのこと全部同じ名前にすりゃいいだろうに。
『むむっ……でも、ボク達は違うキャラっていうていだし』
「それなら違うキャラらしく性格とか物腰とか変えてみたらいいだろ?そしたら違う名前で呼んだ方がしっくりきそうだが?」
『えぇ~!街の分全てキャラ作りなんて無理無理。そんな面倒なことやってられないよ』
今度はクリエラ側の『面倒くさい』発言が飛び出した。
本当にこいつAIか?現実のスタッフの誰かが性格のモデルになってんじゃないか?
『そんなことないよ~?ちゃんと違う性格に……あっ』
……墓穴掘ったぞ。さすがクリエラだ。オレの独り言に勝手に誤爆しやがった。
要するにこういうことか。
イチからAIのそれぞれのキャラに対して個別に性格を構築するのは流石に大変だから、まずは実際に現存しているスタッフの性格をトレースしてAI人格の基礎を作る。そしてそのままじゃ問題だから、少しいじってオリジナルキャラにしてるってことなんだろうな。
『内緒……なんだけど』
「別に誰にも言いやしないよ。言うメリットも特にないしな」
『ガーン!』
なんだ。『ガーン!』とか素で言ったぞ。
エルナと似たような性格の部分もあるのかな?……ま、面白いからこれはこれでいいか。
「まあいい。えっと……クリエバ。改めて聞くけど、教えてくれた『薬師』と『魔導技師』へのクラスチェンジ条件を教えて欲しいんだが」
『ん!ちゃんとボクの名を呼んだね?!それじゃあ教えてあげようかなっ!』
クリエバは、にかっと満面の笑みで答えた。
ごめんなさい。昨日UPしたつもりで失敗してました。
時々やらかしてますね……ごめんなさい。てことで昨日UPしたつもりの分を投稿します。




