第86話 鉱石採集
オレと猫が暗い採石場で、地面に這いつくばるように鉱石系素材の採集を始めてから、小一時間が経った。辺りは少しずつ明るくなり始めている。どれだけ採集していたかを考えるとちょっと怖い。考えないようにしよう。
この場所での素材採集を始めてから、オレたちは周囲を気にすることなくとにかく地面に転がっている素材を採取しまくった。
たまにゴブリンの襲撃を受けたりもしたが、基本的に身体を縮めて採集していたためか最初のゴブリン射撃手以降、大勢の敵に襲われることはなかった。別に敵に見つからないようにしていたわけではなく、『素材のために』していたことが結果的に安定の採集時間を過ごすことが出来た要因になっていたようだ。僥倖である。
ちなみに入手できた石は様々だが《採石場》だけに、最も入手できたのは『小石』だ。
別に採石場でなくても入手できるが、木製弾矢の主要素材なので大量にあっても困らない。が、せっかく出張ってきているのに『小石』が取れたところであまり嬉しくないのが本音である。
小石以外に取れたのは『銅鉱石』と『鉄鉱石』。これに尽きる。むしろ鉱石のために《ノスド採石場》があると言ってもいいほどだ。
この二種類と小石の他にはほとんど何も採取出来ていない。
一つだけ猫が『聖銀鉱』なるものを採取したが、それ以外はからっきしである。暗闇だったこともあり、あまり奥に行かないようにしていたせいかもしれない。それにしても猫のやつクリティカルヒットすぎるだろ。
とはいえ猫自身、まだ聖銀の精錬、加工、鍛冶は出来ないようなので、現時点では宝の持ち腐れ感が強い。売るのか?と聞いたら取っておくそうなので、いずれこの聖銀鉱を材料として、鍛冶で何か作ってくれるに違いないと期待するオレ。
そして『銅鉱石』と『鉄鉱石』に関しては、猫が《鍛冶》のスキルを使って精錬できるため、必要数が集まり次第で精錬してインゴットにしていった。
おかげで猫のLVも一つ上がって12になり、オレ達の手元には大量のブロンズインゴットとアイアンインゴットが出来上がった。これについてはおたがいに使用する素材なので単純に山分けすることにする。
ちなみにオレとしては小石もわけようと提案したのだが、『要らないだ』とあっさり言われてしまったので、結局オレが回収することになった。
ま、調合レシピのあるオレでなければ小石などタダのゴミだろう。タダでもらえるなら良かったということにしておく。
「そろそろ明るくなってきただな。地べたに座ってなくても素材が見え始めただど」
そう言いながら猫が立ち上がった。
周囲の明るさから言って、早朝4時過ぎ5時手前といった雰囲気だ。まあこれなら猫が言う通り普通にしてても素材は見える。オレも猫に同調してゆっくりと立ち上がった。
……が、よく見えるのは素材だけではなくオレ達もだったようだ。
立ち上がって間もなく、ピシュッと空気を切る音がすると、飛んできた矢がまたもオレの身体を掠めていった。ゴブリン射撃手である。深夜の再来か。
「待つだ!敵はゴブリン射撃手だけじゃないど?」
「うん?」
猫が指した方を見たオレの目に飛び込んできたのは、上空から飛来する鳥の群れだった。……しかも大型か??少なくともアカシアの付近で狩った鳥の魔物と比べて遙かにデカい!間違いなく格上の魔物である。
「……ちょっと待て。アレもしかして全部魔物なのか?」
少なく見積もっても10羽以上はいそうだ。強さも分からない相手を猫と二人だけで果たして勝てるか?という話である。せめてエルナがいたら……なんてことを考えてみるも、そんなに時間は無い。
「逃げるぞっ!」
オレは猫と共に、《ノスド採石場》の入り口方面へと一目散に逃げ出した。
明るくなってみて分かることがある。
敵の数や種類、強さなどもその一つではあるが、思っていたより《ノスド採石場》の奥に入り込んでいたようだ。入り口と思われる場所が遙か遠くに感じられる。だが敵の追手は止まらない。
ゴブリン射撃手の群れは特に追いかけてくる気配はなかったが、上空の鳥の魔物がヤバい。既にこちらをロックオンしているようで追い詰め方にも余裕がある。頭を使わずに逃げるだけでは、迷路の奥に追い立てられてしまいそうな感覚すらある。
結局、オレ達は鳥の魔物から逃げることが出来なかった。ドーピング?とっくに使ってるさ。
ゴブリンの群れは振り切ることが出来たが、鳥の魔物から逃げることが出来なかった。その事実が現在の実力差を如実に物語っており、オレ達は採石場の隅にある袋小路に追い詰められている。
「やるしかない!」
「わかっただ!」
オレは貫通弾矢をクロスボウにセットする。弾矢の数が心許ないが、目の前のこの鳥たちが木製弾矢で何とかなる相手には見えなかった。
猫も愛用の大盾を構えて万全の体制である。真正面からのぶつかり合いなら、もしかしたら猫の防御力に分があるかもしれないが、相手は鳥だ。自由自在に飛び回りながら攻撃されたら全てを防ぐことは出来ないだろう。
『キュエエエエエエェェェェェ!』
奇妙な鳴き声を合図に鳥の魔物達が一斉に空から襲いかかってきた。
鳥の魔物達は『追い詰めた』と完全にこちらを舐めて掛かっているのだろう。オレがクロスボウを構えたところで避ける素振りすら見せない。舐めて掛かってきてくれるんなら、ありがたくその恩恵に預かろうと思う。オレは鳥の魔物達が出来るだけ重なる瞬間を待つ。
オレ達に到達した最初の一羽が、猫の持つ大盾に真正面から飛び込んで来た。やはり舐められている。
「負けないだ!!」
猫は、飛び込んで来た鳥の魔物のタイミングに合わせて大盾を押し出した。
『ギュエェ!』
鳥の魔物達にとって、猫の盾は予想以上の堅固さだったようだ。
くちばしがひん曲がりそうな衝撃を受けて弾かれた先頭の一羽が、悲鳴を上げて空中で身もだえする。すると、その様子を見た後続の魔物達が一斉に突撃体勢を解除し、戸惑っている。意外にも知能が高いようだ。だが……
「その躊躇が、命取りだ!」
オレが構えたクロスボウの照準は、空中で動きを止めた五羽の頭部が重なる瞬間を捉えていた。
『『『ギュヒェイエォァ!!』』』
クロスボウから放たれた貫通弾矢は、五羽の頭部を貫通した上でついでにその後ろにいた一羽の羽根を貫くと、よく分からない悲鳴を上げた五羽と、羽根を打ち抜かれた一羽が地面に墜落した。すぐに距離を詰めたオレは墜落しただけの一羽にハンティングダガーでトドメを刺した。
一瞬の攻防で群れの一角が崩れた魔物達が騒然とする。
まだ、戦いは始まったばかり。大変なのは、ここからである。
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名前:ガドル
性別:男
種族:猫の獣人
称号:鍛冶マイスター:シルバー
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職業:鍛冶
LV:12
腕力:30 (24+6(STR+50%))
活力:74 (28+43(VIT+70%)+3)
敏捷: 7 (14-7 (AGL+70%))
器用:44
魔力:10
運 :27
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武器:アイアンハンマー(STR+10) :スタン効果10%
盾 :スクトゥム(VIT+30/AGL-10)
頭 :アイアンヘッドギア(VIT+6) :VIT値+1
手 :パワーグラブ (STR+2/VIT+4)
胴 :チェーンメイル(VIT+10)
下肢:レザートラウザ(VIT+4)
足 :アイアングリーヴ(VIT+7) :VIT値+2
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固有スキル
《鍛冶[シルバー]:付与効果小》
《装備鑑定:鍛冶》
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修練スキル
《鉄壁》
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