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イルグラード(VR)  作者: だる8
第二章 この世界を冒険する!
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第59話 パーティプレイ

 モルトを出たオレ達はひとまず《あやかしの森》へと向かう。

 と、いうのもオレが知ってるルーテリアへの道は《あやかしの森》経由のルートだけだからだ。普通に平原を抜けて向かう道を知っているならそれを選択してもいいのだが、いかんせん知らないものはどうしようもない。

 分かってるのは、モルトから見て北の方角にルーテリアがあると言うことだけ。そしてモルトから北へ真っ直ぐに向かうと《あやかしの森》にぶつかるのだから、あながち間違っているルートとも言えないはず……と信じている。


 あとは、オレ、エルナ、(ガドル)の三名でパーティを組んで行動するのが初なので、戦闘連携などを確認しつつ進むことが出来る。完全に後付け理由だが、実際にやってみるのは良いことだと思う。


「それにしても……ウチのパーティは移動が遅くないだか?」


 (ガドル)がボソリと疑問を投げかけた。

 実に正しい指摘だ。理由はオレとエルナの行動のせいで間違いない。


 視界に採取出来る素材アイテムが見つかればフラフラとそちらに歩いて取得するのがオレ。オレの手伝いと称して同じようにアイテムが落ちているのを見つけては拾いに行くが、ついでに魔物(モンスター)を見つけて戦闘してくるのがエルナ。


 こんな調子で寄り道の度に時間を使うので、オレ達のパーティ全体進行はとても遅いのだ。


 が、まあ今は移動を急いでるわけでもないし、素材がたまっていくのは調合士として重要なファクターであるし、特に問題があるわけじゃないとオレは思う。最初のうち「それはどうなんだ」と言っていた(ガドル)だったが、鍛冶素材を見つけてからはむしろオレ達以上に積極的な採取行動を始めたため、ますますオレ達の進行は遅れていった。


 とりあえず楽しめているのでいいのではないだろうか。

 オレは相変わらず採集しつつ《調合》も行っているので、《あやかしの森》に着く頃にはLVが一つ上がっていた。


 辺りが完全に暗くなる頃、オレ達はやっと《あやかしの森》にたどり着いた。通常、移動に必要な時間の三倍以上がこの時点で掛かっている。

 オレ達以外のプレイヤーが混ざっていたら発狂しそうな遅さだろうが、素材と調合品で懐がパンパンになっているオレ達はホクホクである。


 さてここからは素材集めより戦闘がメインになる。

 何度も確認するが《あやかしの森》はこれでもダンジョン扱いである。


 知ってる限りで出現する魔物(モンスター)は、小邪妖(コボルト)小鬼(ゴブリン)の他にホーンラビットなどの雑魚のほか、あのキラービーが出現する。ダンジョンボスが女王蜂(クイーンビー)である以上、《あやかしの森》に出現する魔物(モンスター)の強さとしてはキラービーが頂点であるはずなので、それを基準に対策をすることにする。

 ここのところオレがクロスボウの狙撃で弱点をついて撃ち落とすことが出来ているためにキラービー自体大きな脅威ではなくなっているが、クロスボウが無ければ今でもそれなりに厄介な魔物(モンスター)であることに変わりはない。

 小鬼(ゴブリン)達とキラービーを比較した時の強さは、雲泥の差がある。キラービーは《あやかしの森》の頂点であるという事実に間違いはなさそうだ。


 とにかくここで戦闘モードに入っておくのは悪いことではない。改めてパーティ内の役割を簡単に確認するなら……

 盾役の前衛が(ガドル)

 同じく前衛で主力となるのがエルナ。

 そしてオレが後衛の支援部隊だ。


 といっても、オレにはクロスボウがあるので遠隔火力はそれなりにある。また近接でもハンティングダガーの特殊効果のお陰でそれなりに戦えるだろう。

 専門のヒーラーがいるならオレはもう少し前に出て中衛を務めるのだろうが、いないので結果的に後衛だ。オレ達三人で陣形を組むならこれが一番良いという状況だ。


 ただ、オレ達のパーティの真価はそれで留まらない。


 ここへ『ブーストLV2』によるドーピングを使った状態こそが、オレ達の本気モードだ。

 身体能力値を2倍にしてくれるオレのドーピングアイテムは、装備で高めた値に影響を及ぼさないものの、オレ達の能力を飛躍的に強化してくれる。


 本気モードのオレ達のステータスをちゃんと確認したことはなかったが、身体能力を倍にすることで計算上では(ガドル)の活力(VIT)は96まで上昇する。戦士のエルナに至ってはもともと身体値のVITが高いため、若干100を超えるところまで強化される。すると(ガドル)をやや超える堅さになるし、攻撃力も半端ない。

 正直なところ、ドーピング状態ではオレのステータスが最も心許ない。

 とりあえず敏捷(AGL)がパーティ内で最も高くなるので、オレは頑張って逃げ……回避しまくるようにしようと思う。


 とまあ戦闘モードとなったオレ達ではあるが、《あやかしの森》の魔物(モンスター)は良く知っているうえ危険度もあまりないことから、道を知っているオレが先頭に立つことになる。

 もちろん敵が現れたならすぐに(ガドル)と入れ替わって、打ち合わせた陣形での戦闘訓練に突入する予定だ。当然訓練も兼ねている。


 だが、正直なところ《あやかしの森》の小邪妖(コボルト)小鬼(ゴブリン)などの雑魚魔物(モンスター)では弱すぎて練習にもならなかった。

 一番火力の低い(ガドル)であっても、数回攻撃を当てるだけで倒せてしまう。

 ちょっと前のオレ達……オレと(ガドル)のことを考えたら強くなっているのは当たり前であるが、上位種ゴブリンをたまたま倒せた時のことが若干懐かしい。


「ねえねえ、相談なんだけど私を先頭にしてみない?私もいろいろやってみたい!」

「いいんでねえ……」

「ダメだ」


 無謀にもエルナが《あやかしの森》を先導すると言い始めた。

 エルナの方向音痴っぷりを知らない(ガドル)が反射的に賛成しそうになったので、オレは慌てて止める。


「なんでよ?」

「《あやかしの森(ここ)》だけはダメだ。《あやかしの森》で遭難した前科があるだろ?しかもルーテリア方面の道をエルナは知らないじゃないか」

「そうかな?だって北に行けばいいんでしょ?こっちよね!」


 と、南へ歩き出すエルナ。


「そっちは南だど」


 早いツッコミの(ガドル)


「わ、わかってるわよ!ネタよ?ネタ」

「やっぱり先導はリーダー(ファクト)にお願いするだ」


 エルナの必死?の弁解は(ガドル)には通用しなかった。

 オレ達は今まさに手のひらからこぼれ落ちそうになっていた「ルーテリアに到着できる権利」を守り切ったのだ。死守である。


「エルナ。苦手なことを無理にやらなくていいんだ。オレ達はパーティなんだから、お互いの長所を出し合って結果が出せればそれでいいんだ」

「そお?でも私も活躍したいんだけど……」


 そうか。大体分かった。

 《あやかしの森》の敵が弱くなりすぎてしまったために、ガドルだけで戦闘が終わってしまうので、パーティへの貢献……つまり活躍出来ている気がしないんだろう。


「ここは確かに敵が弱く感じてしまってるが、ほら(キラービー)が出始めたら(ガドル)だけで対処は出来ないだろ?必ずエルナの力が必要になる」

「……わかった。そっちで頑張る!」


 分かってくれたようで何よりだ。

 実際、数の多いキラービーに出くわしたら、今のオレ達が負けることはないにせよ、エルナがいないだけで対処はかなり面倒なことになりそうだ。


 オレ達はさらに《あやかしの森》の奥に進み、オレがかつてランスロット達のパーティと遭遇した広場に到着した辺りからキラービーが出現しだした。

 魔物(モンスター)特性上、軽くて素早く、一撃に特殊攻撃があるような魔物(モンスター)は、(ガドル)と非常に相性が悪い。ここで前面に立つのはエルナだ。ここさえ押さえておけば、戦闘に問題はない。

 時々ドロップする蜂蜜をありがたく回収しながら、オレ達はルーテリア方面の《あやかしの森》へと足を踏み入れた。


 ここからはオレも知らない道が続く。

 出現するモンスターはあまり変わり映えしないが、迷路の構造は完全に初めて見るため何度か道を間違えて行き止まりにぶち当たる。


 ルーテリア方面の森に足を踏み入れてからしばらく時間を使ってしまったが、やっと視界の先に開けた場所が見えてきた。若干明るめの光も差し込んでいる。

 イルグラード時間の夜になったばかりの頃に《あやかしの森》に入ったことを考えると、どうも半日近く《あやかしの森》を徘徊していたようだ。総ログイン時間を考えるとそろそろ身体も一時的な限界を迎える頃かも知れない。

 ルーテリアに着いたら少しトイレ休憩を取ろう。そんなことを考えていた矢先……


「危ないっ!」


 エルナの声を聞いたオレは反射的にハンティングダガーで防御態勢を取った。が、そんなことはお構いなしに強い衝撃を受けたオレの身体は宙に舞い、立木に叩きつけられた。


「ぐは……」


 一瞬だが身動きが出来ない感覚に囚われる。息が出来ない……ことはないのだが、それに近い感覚だ。すぐに(ガドル)とエルナがオレを守るように間に入ってくる。


鬼霊(オーガー)だわ!」

「どうしてこんなところにいるだ?」


 エルナと(ガドル)の言葉は、オレの耳にしっかりと聞こえていた。



==========================

名前:ファクト

性別:男

種族:ドワーフ

称号:クイーンビーバスター

==========================

職業:調合士

LV:10

腕力:26 (20+ 6(STR+50%))

活力:39 (23+15(VIT+70%)+1)

敏捷:36 (26+10(AGL+70%))

器用:43 (40+ 2(DEX+50%)+1)

魔力:12

運 :15

―――――――――――――――――――――

武器:ハンティングダガー(STR+12) :即死効果50%

盾 :

サブ:クロスボウ(STR+10) :命中精度80%UP:調合士装備時

弾 :ウッドボルト(STR+5)

頭 :ハードレザーバンド(VIT+4) :VIT値+1

手 :ハードレザーリスト(DEX+4) :DEX値+1

胴 :ハードレザージャケット(VIT+12) :毒無効

下肢:ハードレザートラウザ(VIT+5/AGL+4) :クリティカル回避5%

足 :ハードレザーブーツ(AGL+10) :移動速度20%UP

―――――――――――――――――――――

所持金:

 1,540G

―――――――――――――――――――――

固有スキル

 調合

 アイテム鑑定:調合士

―――――――――――――――――――――

修練スキル

 虫の知らせ

 必中

 短刀術

―――――――――――――――――――――

レシピ

 回復薬小

 毒消し薬

 麻痺治療薬

 木片

 ウッドボルト

 スタンダードボルト

 ブーストLV2

―――――――――――――――――――――

受注クエスト

 回復薬小の納品(束)350G/10個

 毒消し薬の納品(束)250G/10個

 麻痺治療薬の納品(束)300G/10個

 新作武器の材料調達

―――――――――――――――――――――


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