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イルグラード(VR)  作者: だる8
第二章 この世界を冒険する!
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第35話 方針決め

 オレは、ベッドの上で目を覚ました。姿は……よし、ドワーフだ。

 電源スイッチをなんとなく押したのは失敗だったかと後悔もしたが、ちゃんとログイン出来ているなら問題ないだろう。何か問題があるならどうせあとからイズダテが何か言ってくるはずだ。


 ベッドから起こしたオレは周りの景色を見る。

 うん、アカシアの街だ。ちゃんと拠点移動した場所でログアウト出来ているらしい。


『お帰りなさいませ。ファクト様』


 アリスが笑顔を見せて挨拶をする。実に心地よい限りだ。


『ファクト様、ガドル様よりメッセージを受け取っております。読み上げても宜しいでしょうか?』

「あぁ、頼む」


 (ガドル)からのメッセージか。ちゃんとオレの伝言も届いていたようで良かった。


『読み上げます。


 ファクトさん。

 レベル上げのアドバイスとパーティの連絡ありがとう!

 アカシアの街の場所はよくわからねぇので、オラはとりあえずモルトで鍛冶してるだ。

 レベルもしっかりあげとくだよ。


 以上です』


 おぉ。精力的にやってそうで嬉しい。

 ていうか、(ガドル)の方言をそのまま読み上げるアリスが可愛い。良い感じだ。


『どうしました?』

「いや、なんでもない。気にするな」

『……?はい』


 怪訝そうな表情のアリス。ま、オレとしてもここはこれ以上踏み込むつもりはない。


 フレンド通信リストを確認すると……(ガドル)の状態を確認する。

 ……うん。現在もプレイ中のようだ。ちなみに通信リストで分かるのは(ガドル)のログイン状態と職業、LVだ。LVは……なんと9にまで上がっている。完全に抜かされていた。

 リストからは場所まで分からないが、メッセージから察するにきっと、モルトの鍛冶ギルド辺りでせっせと生産でレベル上げをしているのだろう。


 オレはガドルにフレンド回線を繋いだ。


『ガドル?元気か?』

『……お!おぉ!ファクトのアニ……じゃなくてファクトさん!お久しぶりだ』


 うん。通常運転のようだ。アニキと言いかけて訂正しているあたり(ガドル)らしい。


『キッチリLV上がってるじゃないか。しっかり抜かされてしまってるし』

『いやいや、ファクトさんと比べてオラの方がプレイヤースキルが足らないから、LVは高いくらいじゃないと釣り合わないだよ』


 (ガドル)の謙遜発言が聞こえてくる。

 そう言ってくれているが、あまり離れてしまってはオレが足手まといになってしまうので、負けずにオレもLVを上げておかなくては。

 実際に(ガドル)、エルナ、オレの三人の中では、オレが一番低い状態だ。もう少し上げておいた方がいいだろう。それにエルナのLV11との差も、彼女がINしてくる前に少しでも差を詰めておきたい。


『今もモルトにいるのか?』

『そうだよ。でもそろそろ必要素材に限界があるだ。次のステップのために『魔岩鉱』っていう素材が欲しいだが、モルト付近では採取出来ないだよ』

『それはどこで採れる?』

『知らないだ』

『……』


 うむ。この件は終了。


 オレだって『魔岩鉱』なる素材がどこで採れるかなんて知らない。

 それに、オレはオレで『銃』を手に入れるクエストのために『アイアンインゴット』や『クロムインゴット』が必要だ。当面、クロスボウで戦う前提ではあるが明らかに強そうな『銃』はやはり手に入れたい。


『ガドル『アイアンインゴット』ってどこにあるか知ってるか?』

『作れるだ……鉄鉱石があれば』


 おぉ。コレは有用な情報だ。鉄鉱石集めて(ガドル)に作って貰えばいい。

 (ガドル)が仲間で本当に良かった。


『じゃあ『クロムインゴット』はどうだ?』

『作れないだよ。材料も分からないだ』


 まぁ……仕方ない。レシピがなけりゃ作りようもないし、必要な材料も分からないのだろう。


『聞いてばかりで悪いが『ブロンズインゴット』はどうだ?』

『作れるだ。でも売ってるだよ?』

『売ってるのか?』


 スタンダードボルト調合に必要な『ブロンズインゴット』は、どうやら売ってるらしい。


『いくら?』

『1個100Gだ』


 高いな……というのが素直な感想だ。

 スタンダードボルトを1つ調合するのに『ブロンズインゴット』が1個必要だ。購入前提でいくと『鳥の羽』の材料費を考慮し、1発100G以上になる。タダ同然で撃ちまくっていた『ウッドボルト』のことを考えると、かなり財布に痛い。


『やはり高いだか?『銅鉱石』があれば作れるだよ』

『そうだな、それをお願いしたいな。ってブロンズインゴットのレシピも覚えているのか?そんなにレシピを持ってるのか。どこで?』


 同じ生産職なのに、ガドルは生産レシピを沢山持ってやしないか?どうやって手に入れてるのだろうか?

 オレはやっと四つ持っているだけだ。調合士は『レシピ板』で入手するしかないからだが……。


『インゴット系のレシピはLVで覚えるだよ。『ブロンズインゴット』は最初から覚えてただが』


 なるほどと納得する。

 それならむしろ、調合士のオレより生産行為でLVが上げやすそうだ。


『『銅鉱石』は、どこで?』

『売ってるだ。……30Gで』


 うん。買っちゃダメだな。オレは即断する。

 『銅鉱石』何個で『ブロンズインゴット』を精製出来るのかわからないが、鍛冶だから出来る生産回しだ。『ブロンズインゴット』を作成して、売るかギルドクエストで金に換えることが出来るからこそ買っても大丈夫なだけだろう。


 ボルトとして使用するためには、『銅鉱石』は採取で入手するしかない。


『『銅鉱石』はどこで採れる?』

『知らないだ』


 即答だった。要するに(ガドル)は全て購入で済ませているということだろう。


『分かった。今すぐじゃないが、少ししたらモルトに向かう。モルトで合流できたら、一緒にアカシアに行こう』

『了解だよ』


 (ガドル)との通信が終了した。


 そこでオレは当面の目標……というか、方針を決めた。

 高優先度として、LV上げ。それから(ガドル)との合流。

 中優先度として、『鳥の羽』『銅鉱石』『鉄鉱石』の入手手段の調査と入手。

 『クロムインゴット』の入手と『魔岩鉱』の調査に関しては、優先度を上げたいところだが今のところ正直全く検討もつかない。


 オレはアリスの方を向いた。


「アリス教えてくれ。『銅鉱石』『鉄鉱石』、それに『鳥の羽』の採取手段を知ってたら教えて欲しい」

『鉱石関連は、主に西の山岳地帯付近で採取出来ます。ダンジョンもありますので攻略を進めると同時に入手できると思います。『鳥の羽』に関してですが、この辺ですと湖岸沿いに南下したあたりでエンカウントする鳥系の魔物から入手出来ます』

「おぉ。具体的な情報ありがとう」


 オレの『ありがとう』に対して、アリスがにっこり笑う。

 さて、どちらに向かうか……だ。


 エルナはアカシアでINすることになる。

 ガドルはモルトで鍛冶中だ。

 『鳥の羽』はアカシア近くの魔物を倒すとドロップで入手出来そうだ。

 『銅鉱石』『鉄鉱石』の入手のためには西の山岳地帯に行く必要がある。と、いうことは道中モルトに立ち寄ってガドルを拾い、そのまま向かえばいい……が、恐らくアカシアからはかなり離れてしまうので、山岳地帯に向かうならエルナと合流してからの方がいいかもしれない。

 エルナが一緒なら戦闘面の不安もかなり解消される。


 アリスの案内にあった『鳥系魔物』が、オレ一人で討伐できる強さであると確定しているなら、行動方針に迷いはないのだが……。


「そうだアリス。『魔岩鉱』って素材がどこで採れるか教えて欲しい」

『申し訳ありません、ファクト様。その情報は開示されておりません』


 アリスの表情が少し沈んでしまう。

 オレのために役に立ちたいという気持ちが見えるのが、とても好ましい。抱きしめて押し倒してしまいたい……自重だ。自重しよう。


「大丈夫。ダメもとで聞いた。ありがとう」

『そうですか?それなら良いのですが』


 冷静を繕ってそう言うので精一杯である。


 とりあえず強さは分からないが、今は鳥に突撃する……もしくはLVあげだ。

 それならば、横着なオレは素材を採集して、LV上げをしながら鳥討伐である。……対象となる内容が変わっただけで、やってることは今までとさして変わらない。


 方針は決まった。鳥退治だ。

 オレはアリスに外出を告げて、街へと繰り出した。


====================

名前:ガドル

性別:男

種族:猫の獣人

--------------------

職業:鍛冶

LV: 9

腕力:20+5(STR+50%)

活力:22+22(VIT+70%)

敏捷:10+1(AGL+70%)

器用:37

魔力: 5

運 :21

--------------------

武器:アイアンハンマー(STR+10):スタン効果10%

盾 :バックラー(VIT+8)

頭 :ヘッドギア(VIT+4)

胴 :チェーンメイル(VIT+10)

下肢:レザートラウザ(VIT+4)

足 :グリーヴ(VIT+6)

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