第27話 女戦士エルナ
「ありがとう!一緒にやろう!」
即答だ。オレはウィンドウの「はい」をクリックして承諾する。パーティメンバ一覧の中にエルナの表記が追加された。
何だかよくわからない強さを秘めた女戦士ではあるが、パーティを組めるのは幸運なことだろう。それに今のところオレの『ブーストLV2』の効果を最も活かしてくれるのは彼女のような戦士に違いない。
また生産職だからという理由で調合士や鍛冶を排除しようとする連中とは明らかに違うのがオレとしても好印象だ。
「ところで結局どんな薬なの?アレは」
エルナの表情は興味津々だ。
さっきは緊急事態だったこともあり、効果も説明せずにとにかく飲んでもらった。その結果が、直接的でないにしろ竜巻必殺技による殲滅だとしたら興味がわくのはごく自然なことだ。エルナだけでなくオレだって気になる。
「あぁえっとだな、オレもつい先ほど初めて《調合》したばかりで正確な効果を確認出来てないんだが、あれは一定時間ステータスを上昇させるバフアイテムだ」
「つまり、飲んだあと一時的に超パワーを出せるってこと?」
何か、エルナの表情がどんどん厨っぽく輝いていくのがわかる。なんとなくやり取りから若そうだとは思ったが、これは……JCかJKか。ゲーオタ女子の可能性も濃厚だ。
アバターの見た目がキリッとした女騎士風だからこそ、真逆かもしれない。
まあ、どうせゲーム内の付き合いだ。ゲーム内で可愛くて美しいならそれでいいじゃないかと思う。大体オレが人のことなど言えない。
「そう。効果時間はアイテムLVによって違っていて、使ったのは『ブーストLV2』って薬だ。というか、まだLV2のレシピしか持ってないからアレしか《調合》出来ないんだが」
「じゃあもしLV100とかあったら、いまの100倍……ちがう。50倍凄いってこと?!」
「いや、そんな都合のいい話はないだろ」
思わず苦笑してしまう。クリエラとは別の方向で天然さんだ。
「そっか。でもだいたい一回で1分くらいだね。スーパーになれるのは」
「そうだったか?まだストックがあるから確認してみよう」
オレはアイテムボックスからブーストLV2を取り出し、アイテム鑑定をかける。
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名称 :ブーストLV2
ランク:B
価格 :-
効能 :1分間、全ての身体ステータス値を2倍にする
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「確かに効果時間は1分だな。時間の感覚が正確だな」
「へへん!わたしの腹時計は完璧よ?」
うん。どや顔をしているが、エルナの例えが変だ。
いちいちツッコんでもそれはそれで面白そうだが、きっと話が進まないので今回はスルーしておこう。
「ていうか、身体ステータス値2倍ってすごくない?!」
「ああ、こいつはかなり使えるアイテムだ。『身体ステータス値』ってことは装備品による増強値に対しては変化しないってことだろうが、それでも十分大きい効果だな」
「おかげでわたし、一つスキル習得しちゃったし」
そう言いながら、ステータスを表示させ『これよこれ!』と言わんばかりに指し示している。
全然ステータスを隠す気がないのか、それだけ気を許してくれているのか……いや、会ったばかりで気を許すもなんもないだろう。前者かな?と思いつつ、せっかくなので見せてもらう。
エルナが指していたのは《旋風刃》という修練スキルだ。これが竜巻必殺技の正体か。
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名称 :旋風刃
効果 :片手剣装備時
自身の周囲に風属性の全体攻撃を発生させる。
威力はSTR値の1.5倍程度。
発動には戦闘開始以降初回30秒
2回目以降60秒のチャージが必要。
習得条件:片手剣による一撃必殺を1分間に50回行う。
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間違いない。最後に蜂を一掃したのは間違いなくこのスキルだ。
それにしてもなんてハードルの高い習得条件だろうと目を疑う。『ブーストLV2』がなかったら、エルナといえどゲット出来てないだろう。
他にも、修練スキルが一つ《剣撃》、固有スキルとして《パワースラッシュ》があるのが分かった。
恐らく戦士全員が保有しているだろうパワースラッシュはともかく、常にSTR値を増強する《剣撃》は間違いなく蜂無双を可能とさせていたスキルに違いない。
「強いな……てか、自分のステータスなんてそんなに簡単に見せていいのか?」
素直に疑問を口にするオレ。
「見せないよ?でもファクトはパーティメンバーだし、信頼してるし、何ができるかちゃんとわかってないと連携もできないかもしれないじゃん?!それより、ファクトのその薬こそ、ポンポン使ったらダメだよ?ちゃんととっておきにしなきゃ!」
だ、そうだ。予想していなかったが、まさかの信頼ゆえのステータス開示だったようだ。そして逆にアイテムの秘匿を依頼されてしまった。それじゃこのアイテム売れないじゃない……。オレの財産形成計画が崩壊していく。
「大丈夫、大丈夫!ファクトの薬の凄さはちゃんとわたしが分かってるから!」
オレの表情が若干曇ったことをどう解釈したのかわからないが、エルナからフォローが入る。
「まぁ……いいか。あといつ次にログインしてくるかわからないが、オレの仲間に鍛冶の猫がいるから、そいつもよろしくな」
「鍛冶!もしかしてわたしの剣も作ってくれるのかなっ?!……って猫?」
「あぁ、オレは猫って呼んでるが、猫の獣人のガドルってやつだ。本人は虎だと言ってるが……ま、見りゃ分かる。材料とレシピさえあれば装備品くらい作ってくれるんじゃないか?本人に聞いてみないとわからんが」
『人に紹介するのに猫はないだろ?』とツッコミが本人から入りそうだが、ついいつもの調子で言ってしまった。反省はしていない。
「会うのが楽しみだぁ!」
一方でエルナはハイテンションだ。
わかっていたことだが、エルナに生産職に対しての偏見はない。生産職を通常のプレイヤーとして受け入れてくれるのが単純に嬉しいと感じる。猫のやつにも早く会わせてやりたいとこだ。
とその時、オレに緊張感が走った。
頭の中でピピピピッ!というあのイヤなアラート音が鳴り響く。そう、《虫の知らせ》だ
「エルナッ!敵だっ!」
オレの声と表情を見てエルナのスイッチも入ったようだ。腰に差したブロードソードを引き抜いて構える。
直後、あの嫌な……オレの大嫌いな羽音が大きな黒い影とともに頭上から降ってきた。
「上だっ!」
オレとエルナが同時に上を見上げる。
明るかったこの広場が暗くかげるほどの大きな蜂が上空でホバリングしている。
「デカい!キラービーじゃないっ!」
「ファクトッ!薬っ!それからキラービーもいるわっ!」
目を凝らすと確かにエルナの言う通り、デカい蜂の周辺にキラービーらしき蜂もチラホラ確認できた。あまりにボス蜂がでかいのでそちらに意識を取られてしまった。反省すべき点だ。ともあれすぐにアイテムボックスからブーストLV2を3つ、回復薬小を2つ取り出してエルナに渡す。いまある手持ちの丁度半分だ。
「デカブツは任せたっ!キラービーは出来るだけこっちで足止めするっ!」
「わかった!3分ね!」
丁度、オレ達の準備が整うのを待っていたかのようなタイミングで蜂達を引き連れたボス蜂が広場へと降り立った。
これよりボス戦、開始だ。
今のオレ達にどれだけのことが出来るか……全力をぶつけて倒してやろうと、そう思った。
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名前:ファクト
性別:男
種族:ドワーフ
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職業:調合士
LV: 5
腕力:14+ 6(STR+50%)
活力:17+13(VIT+70%)
敏捷:14+ 5(AGL70%)
器用:30+ 1(DEX+50%)
魔力: 5
運 : 7
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武器:ハンティングダガー(STR+12):即死効果50%
盾 :
サブ:クロスボウ(STR+10):命中精度80%UP:調合士装備時
弾 :ウッドボルト(STR+5)
頭 :レザーヘッドギア(VIT+2)
手 :レザーグラブ(DEX+2)
胴 :ハードレザージャケット(VIT+12):毒無効
下肢:レザートラウザ(VIT+4)
足 :ハードレザーブーツ(AGL+10):移動速度20%UP
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所持金:
490G
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固有スキル
調合
アイテム鑑定:調合士
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修練スキル
虫の知らせ
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レシピ
回復薬小
ウッドボルト
ブーストLV2
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受注クエスト
回復薬小の納品(束)
新作武器の材料調達
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名前:エルナ
性別:女
種族:人間
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職業:戦士
LV:10
腕力:43+15(STR+100%)
活力:40+25(VIT+100%)
敏捷:12+ 5(AGL+50%)
器用:24+ 1(DEX+30%)
魔力: 5
運 : 9
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武器:ブロードソード(STR+15)
盾 :ライトバックラー(VIT+5/AGL+2)
頭 :サークレット(VIT+1)
手 :レザーグラブ(DEX+2)
胴 :ブレストプレート(VIT+15)
下肢:レザートラウザ(VIT+4)
足 :レザーブーツ(AGL+8)
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固有スキル
パワースラッシュ
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修練スキル
剣撃
旋風刃
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