42章 エピローグ
俺は元の世界でまったりと暮らしていた。週休二日で残業もなく贅沢しなければ普通の暮らしが出来ていたのだ。なにせ自分が全く信用できないので生活費を浮かせるために一軒家を現金で買って生活費が掛からない様にしていた。俺に将来が有るとは思わないので自分の将来を担保にするローンは組んだことが無かった。欲しいものは金を貯めて買えば良いのだ。
そんなつつましやかな毎日を送っていたある日のこと。
ピンポーン!ピンポーン!
「はいはい、今行きます。」
田舎からたまに野菜や米が送られて来るので、てっきりそれかと思ったら。
「よう、おっさん!久しぶり。」
「おじ様、お元気でしたか?」
「はあ、何でお前らここにいるんだ?」
目の前にチチとヒメがいた。
「なんでえ、折角会いに来てやったのに、御挨拶だな!」
「そうですわ、もっとこう良いセリフを期待しておりましたのよ。」
「まあオッサンに良いセリフは無理だろうがな。」
「まあ、立ち話もなんだから、上がれよ。」
玄関口で美女二人と話していると目立つので家に入れて外から見えない様にする。田舎は周りの目が煩いのだ。最も何と言われても気にならないのだが。
「コーヒー飲むか?」
「おう、おっさんの作るものなら何でも良いぜ。」
「久しぶりですわね。」
100グラム3000円のブルマンをミルで引く。いい香りだがめんどくさく成ってチチにやらせる。
「おいチチ、これを回せ。ゆっくりだぞ。」
「おう、任せろ。」
「良い香りですわね。」
コーヒー豆はゆっくりひいて熱を持たせないようにする。機械で引いたヤツは不味い。最も大半の人間は不味さに気が付かない様だが、喫茶店でも俺より旨いコーヒーをいれる店は無かったので多分日本人はコーヒーの味が分からないのだろう。俺の入れたコーヒーを飲んだ友人たちは普通の店のコーヒーが泥水なのに気が付く様だが。
高い豆を使った時には水道水は使わない、味がぶれるからだ。特に良い水は阿蘇の白川水源の水がブルマンにとてもマッチする。凄く滑らかな感じになり光るような色になるのだ。当然自分の手で入れる。サイフォン等泥水製造機だから使わない。小学生の時に卒業したのだ。長年培ったカンで豆を蒸らす時間を見極めそれから一気に入れるのだ。
日本一旨いブルマンが飲みたければ俺の家に遊びに来ると良い、気が向いたら淹れよう。
「は~、なんだこれコーヒーなのに旨いじゃん。」
「凄く綺麗な色と香りですわね。」
「そりゃあ良かった、で、何でここに居るんだ?」
「そりゃあ、おっさんに会いに来たに決まってるだろ。」
「ノジャさんに頼んで、送って貰ったのですわおじ様。」
「やっぱり、ノジャか。」
でもやっぱりおかしい、あの日から既に半年たっているのだ。こいつらがおとなしくノジャに頼む訳ないのだ、送るならもっと早い時期にくるはずだ。
「おい、ノジャに何か頼まれなかったか?」
「そう言えば、何だか狩りをする機械が欲しいとか言ってましたわ。」
「はは、狩りするなら森に行けば良いのに変なやつだぜ。」
「ふ~ん。」
思い当たる事が有った、俺は暇つぶしに狩りをするゲームを出してノジャと協力プレイをしていたのだ。馬鹿みたいにハンマー持って突っ込んでゆくあいつを必死にサポートしていたのだ。
多分あいつは機械を壊したに違いない。それで新しい機械が欲しくなってこいつらをここに寄越したのだ。
「あいつまだあの国にいるのか?」
「いるどころじゃね~よ!」
「おじ様の家に勝手に住み着いていて迷惑ですわ!」
「そうか、まあ良い。それより美味い物食いに行くか?」
「行く!」
「勿論行きますわ。」
ノジャの目的が何であれ、俺は彼女達に会えてうれしかった。この世界の旨い物や面白い物を沢山食わせて見せてやりたかったのだ。
それからも彼女達はちょいちょい遊びに来るようになった。そして俺は少しだけ忙しくなったが凄く楽しくなった。サキュバス達もたまにやって来る様になったがチチやヒメには内緒だった。
異世界を救うのも悪くないなと思いだした。皆さんも異世界を救う機会が有れば是非救ってみてみたらどうだろう。少し人生が楽しくなるかも知れない。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
皆様のおかげで無事終われました。
次は孤児院の勇者Ⅱでお会いしましょう。




