29章 転機
今俺は大司祭の所に来ている、そして横には何故か眼鏡を掛けた美人秘書を連れている最近俺の見せたドラマを研究してハイヒールまで履いているから驚きだ。何だかブラウスからブラジャーが透けていたり、タイトスカートにパンティーのラインだ見えているのは多分気のせいだ。間違いない。
「おい、女神すげ~悪そうな顔してるぞ。」
「あら、そんな事ありませんわ。」
善良な女神にしようとしてたのに、段々邪神の様になって来ているのは俺が邪悪なせいなのか?
「大司祭様、子供達を引き取りに参りました。」
「おお、勇者様。子供達の用意は出来ておりますぞ。それとオセロ等の売上金です。」
「何時も有難うございます。」
「随分美しい女性をお連れですね。流石は勇者様だ。」
「あ、こいつ女神です。」
「はあ!」
「おい、変身辞めて良いぞ。」
「ふふ、リミットブレイク!」
何のアニメを見たのかしれないが、最近女神が中二病にかかって一々無意味な台詞とポーズをとるので俺はうんざりしていた。こいつが成長したら思い出して恥ずかしい思いをするんだろう。その時は大笑いしてやろうと思う。
頭の上に円盤を載せて、背中から純白の羽をはやして後光のさす姿で宙に浮いている姿をみて、大司祭は見事な土下座をして祈りだした。
「ありがたや、ありがたや。」
「ほほほほ・・苦しゅうない、楽にしてたもれ」
「司祭様、話が進まないから普通にして下さい。」
「女神様ももう良いから、元の姿に戻ってね。」
子供のころから神を信じて聖職者にまでなったんだから、神に並々ならぬ感情が有るのだろうが妄信は良くないな~なんて思ってた。俺はひねくれてるからしょうがない。その後翌日に10人の子供を俺の町に連れて行く様に話が決まった。
「面白かったのう。勇者よ。」
「あんたも、趣味わるいな。自分の信者で遊ぶなよ。」
「良いではないか、喜んでおったぞ。」
「確かに喜んでたな。凄い派手だったからな。」
「もう一度やりたいのう、勇者よ」
こっちをチラチラ見ながら期待した目で女神が言うのでしょうがなく次は枢機卿を驚かせに行く事になった。超絶美人の秘書が期待した目でねだるのだからしょうがない、断るのは無理だ。
「え~と、こちらが女神様です。」
「フハハハハハ~、変身!」
「どわ~!!!!!!!」
変身するたびに派手になっていくのは、女の化粧と同じなのだろうか?等と俺は哲学的に考えていた。
「わはは~、楽しかったの勇者!」
「はあ、それは良うございました。」
枢機卿を驚かせて満足したのか、女神はその後、俺の秘書のふりを大人しくやっていた。美人だと言われれる度に鼻の穴を膨らませて胸をはるのがチョット可愛かった。
子供達は軽トラ2台で運んで帰った、女神に運転を教えたら直ぐに覚えたのだ。やはり神は存在自体がチートらしい。こういう感じで1週間に10人の孤児達を女神と受け取り、サキュバス達に情報を貰う生活を続けていたら。枢機卿経由で俺の町に教会を作る計画が有るらしい。
「勇者殿、そちらの町に教会を作りたいのだが良いかね?」
「良いよ。」
元々、孤児達は教会の施設育ちだし。町の住民に女神までいるのだから今更教会が出来た所で俺達に対する影響はないだろう、と思っていたら。影響は大ありだった。
「勇者殿の町・エルドラド・が神聖都市に認定されたよ。わっはっは!」
「神聖都市?」
神聖都市は教会が認定した都市の事で、この国では大変な権威のある事であるそうだ。それに伴って、町までの石畳の道が教会主導で行われる事になった。また、大掛かりな教会が建設されることになり大量の資材や人が俺の町にやってくるそうだ。
「沢山、人や物資が来ても、こちらは全部で60人位しか居ないから、対応できないんだが。」
「何、道が出来るまでには1年位かかるのだから、その間に準備すると良い。それに、治安維持には聖騎士等を使うと良い。勿論教会の神父・シスターも全面的に協力するつもりだ。」
つまり、1年で町の基礎を作れって事だな、大勢を相手に商売するチャンスでもあり。自分の領地に名所が出来る事でもあるわけだ。
最も枢機卿は女神の為に色々とやってるのだろう。女神が住んでいる所が人外魔境じゃ、聞こえが悪いから。少しでも女神が快適に過ごせるように色々やってるのだろう。
俺の周りは色々賑やかになってきたが、ハッキリ言って孤児たちの自立の目途は全く立っていなかった。ブルドーザー等を使っていたせいで、大規模農園は出来た。それにチチが面白がって整地したので何も建っていないが、街を建設出来る程の土地も出来上がった。
農業を主体として生きていける基盤は出来つつあったが、獣人は半数が農業に向いていないので農業だけでの生活は難しかったのだ。
悩んでいても仕方ないので、夜ヒメやチチ達に意見を聞いてみた。
「この町は農業で生活出来る様になったが、この後はどうすれば良いと思う?」
「それだけ出来れば充分だろ。」
「子供達が、成人になるまで教育と食事が出れば充分だと思いますわ。」
「えっ、そんなもんで良いの?」
「それ以上って、死ぬまで子供の面倒見る気ですの?」
どうやら俺は過保護になっていた様だ、一人前になるまで食わせるだけが平均的庶民の生活で、それにプラスして十分な教育と戦闘訓練を受けている此処の子供達は貴族の子供並みに贅沢らしい。それに何でもかんでも俺が決めるのも変だし、自分の将来の職業は自分で決めさせるべきだ。ついでに学校教育に料理や工作などを追加して将来、食べ物屋や工房を開きたい者向けのカリキュラムも充実させるようにしようと思った。今でいう専門学校みたいなもんだ。
そして、半年位で街に居た獣人孤児300人程を集め終わった、思っていたより少ないのは元々獣人が人間の10分の1位しか居ないせいだった。思ったより少ないので今度は国中からも集める事にした。これには教会が大変役に立ってくれる事だろう。
いまの町の獣人孤児達が1年もしたら、新しい仲間の面倒を見れるようになるだろうから多分大丈夫だ。
そんな感じで悩みながらの町作りの毎日だった。
「どうしました、勇者殿?何か悩み事でもおありですか?」
「やあ、枢機卿様、毎日悩んでますよ。甘すぎると子供たちに良くないし、厳しすぎるのも良くないし。どの位が良いのかさっぱりわかりませんよ。」
「料理と同じですよ、砂糖を入れすぎると甘くて食べられないし、塩を入れすぎると辛くて食べられないですしね。そこら辺のサジ加減が難しいのですよ。」
「そうですね。それが出来たら賢者でしょうね。」
自分ではさっぱり分からないので色んな人の意見を聞いてみているが、皆それぞれの考え方がありこれが1番正しいというのは無いようだった。仕方ないので悩みながらやっていく事にした。




