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孤児院の勇者  作者: ピッピ
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24章 正義の雷鳴

何だかサブタイトルが無駄にカッコ良い様な気が・・・・


 俺は朝から屋台で飯を食ったり、風向きを調べたり、日光の角度や何かを調べながらウロウロしてメモを取っている。そして昼前には鍛冶屋に行ってオセロやカードが教会の許可を受けたので増産と販売価格なんかの打ち合わせだ、それから昼飯を食べて大司祭様の所に行き、屋台の新しいレシピの指導や教育システムの試験問題作成などをすます。それからレビンと晩御飯を食べて夜の町を偵察したりする生活を1週間程やった。物凄く疲れたので貴族に復讐するのは辞めて帰りたくなった。

 だが、俺と子供達の安全の為に派手に反撃する必要が有るのだ、面白がって石を投げて来る馬鹿どもに噛みついてやるのだ。石を投げると嚙みつかれると分かれば、幾ら馬鹿でも石を投げる前に考えるだろうと思っての行動だ。

 今回仕掛けてきた貴族の代表だけを狙うならとても簡単なのだ、俺の攻撃を防御出来る人間はこの世界にはいないからな。でも今回はこの貴族だけではなく、この国の多くの人間に俺の賢者としての力を見せておこうとと思った。言うならば抑止力だな。

 そこで、聖騎士や教会の協力を得て、この街中に色んな噂をばら撒いたのだ。


 「教会反対派が賢者を襲ったらしい。」

 「教会反対派はならず者を雇って悪事を働くらしい」

 「ならず者の元締めは伯爵らしい」

 「伯爵は賢者の怒りが怖くて震えているらしい」

 「賢者の怒りをかった人間には天罰が下るらしい」


 等々、黒幕の貴族が悪人で、賢者は正義の怒りの代弁者である。と言う噂を意図的に流したわけだ。こういうのも教会の協力が有ったので非常に楽に行えた、特に貴族は反教会なので教会の人間に嫌われているのが今回裏目に出たわけだ。

 面子だけで生きている無能な人間なので、今回の黒幕の伯爵は人前に出てきて自分が賢者を恐れていない事を民衆や貴族達に見せなくてはならなくなった。そうしないと自分が取るに足らない臆病者というレッテルを張られて貴族の世界では2度と相手にされなくなるのだ。まあ、こういうからめ手を使って1週間程たった頃。


 「だんな、明後日に伯爵が動くぜ。」

 「そうか。」


 レビンと晩飯を食ってると、突然レビンが小声で言った。


 「中央公園で、弁明を大々的に行うらしい。」


 明後日、街の中心にある公園に姿を現し、自分は健在であるこ事と賢者を恐れていない事、また自分の賢者は邪悪で自分たちの方が正しいのだと言う演説を行うらしい。


 「なあ、だんな。あんたの計算通りだな。」

 「まあな。」

 「でさ、何か名前無いのかよ?」

 「はあ、名前ってなんだよ?」

 「こんだけ上手く行ったんだから、作戦の名前位有った方がいいだろ?大体部下や仲間に説明しにくいんだよ。」

 「そうだなぁ、カッコイイ名前を付けるか?」

 「いや、あんたには期待してね~から、あんた名前に興味ね~だろ。」


 最近毎晩一緒に飯食ってるせいか、レビンが俺の性格を理解しだしたのだ。しかし、俺はやろうと思えば幾らでもカッコイイ名前位は思いつくのである、伊達に何万冊も本を読んでいないのだ。


 「ふ、賢者を見損なって貰っては困るな。」

 「はいはい。」

 「本日只今を持って本作戦は、正義の雷鳴作戦とする。」

 「お~、何か普通にカッコ良いじゃん。」


 こうして、作戦名が無事決まった俺達は、作戦名が決まったお祝いにレビンの案内でとっておきの店に突撃するのであった。しかし、その店は魔族サキュバスの店であり、その店の4天王のサキュバスとの1対4の死闘や、サキュバスの女王との1対1の一晩中の戦い等は、今回の件とは関係ないので省く事にする。因みに一緒に行ったレビンはあっという間に4天王の一人に倒されてしまった。

 そして死闘の後、身も心も賢者に浄化されたサキュバス達は賢者に誠心誠意尽くす事になった。賢者は大喜びで有ったが、チチとヒメにばれると怖いので黙っていた。

 そしてこのサキュバスの情報収集能力を使い、賢者は、街の有力者や貴族達の裏情報を大量に集めて行くのである。


 そして作戦決行当日。晴れ渡った素晴らしく良い天気の朝だった。サキュバス達に優しく起こされた俺は朝飯を食べてサキュバス達に見送ってもらい、上機嫌で定位置についていた。

 ここは貴族が演説をする公園から1000ヤード離れた建物の陰だ。射撃に影響を与える風向きや風の強さ等はこの1週間同じ時間に歩いて調査済みだ。また、日光も俺の背中側、貴族は俺を見る場合は見えづらくなる様に位置取りしている。まあ、射撃の基本だ。


 公園をよく見る為に高倍率の望遠鏡を見てみる。バレットに付けている10倍のスコープは視界が狭いので監視や観察には使えないのだ。

 貴族の周りにうじゃうじゃ護衛がいた。自分の私兵達に自分を守らせてる様だ。50人程の兵士の中にその貴族はいた。でっぷりと太った奴かと思ったら、ごく普通の体型の普通の感じの貴族だ。高価そうな服とカツラを被ってるらしい長い銀髪が印象的だった。何やら壇上で自分の正当性を大声で言っている。


 話が終わりに近づいてきている様なので、俺はゆっくりとバレットを構え今度は10倍のスコープをのぞき込む。集中力をどんどん高めていく、呼吸と心臓の動きで照準はゆっくり動いている。呼吸を止めても心臓が動いているので1000ヤード先の照準は結構揺れる。そしてこの揺らぎと風向・距離・弾道を計算して射撃する。つまり経験で撃つか右脳による超計算を行うか二つにひとつだ。ゆえに超1流は極めて少ない。

 広場に取り付けてあるマイクから貴族のアジ演説が聴こえてくる。最終局面の様だ。もうすぐ撃つ時間だ。更に集中する。もう、周りの音は聞こえない。


 「であるから!賢者等は悪魔の生まれ変わりであり、粛清しなくてはならないのだ!」


 貴族が俺の悪口を言い終わった様だ。ゆっくりと引き金を絞る。


 ドオ~ん!


 壇上の貴族の頭が爆発した、あたりは一面真っ赤な霧に覆われた。そう、血液が霧状になり周りにまき散らされたのだ、護衛の兵隊たちもいきなりの出来事に呆然としている。少し遅れてバレットの轟音が公園に届く、ゴロゴロと雷鳴に似たデカイ音だった。公園は大混乱だ。


 「賢者だ!賢者様の怒りの鉄槌だ!」


 「貴族に天罰が下ったぞ!」


 「民衆の敵に雷が落ちたのだ!」


 「皆聞け、正義の雷鳴が聴こえる!」


 俺の仕込んだサクラが仕事をしているようだ。貴族殺しをうやむやにするために自然現象を利用することにしたのだ。皆が混乱してる隙に洗脳するのだ。


 バレットをアイテムボックスにしまい、俺はのんびりと街はずれにやって来た。そこに5人の子供を待たせてあるのだ。


 「賢者様、おはようございます。」

 「うん、おはよう。朝ご飯は食べたか?忘れ物は無いか?」


 そう、この日は俺の町に孤児達5人を連れて帰る日なのだ、年長者5人を連れて帰って、育成して早めに受け入体制を作りたいのだ。とにかく人出不足が深刻だ。

 5人を連れてのんびり歩いてゆく。軽トラを召喚して帰ろうと思ってるがここらは人目が有るのでもう少し離れてからやる事にする。


 「賢者様、さっきの大きい音は何ですか?」


 「ゴロゴロ鳴ってたヤツの事か?」


 「そうです。」


 「あれは、正義の雷鳴って言うらしいぞ。」


 「へ~正義か、スゲー」


 「ほら、これやるよ。雷が鳴った時に落ちて来たヤツだ。」


 俺は50口径の空薬莢を子供に渡した。キラキラして綺麗な真鍮を気に入った様だった。いつまでも手に握りしめていた。



 




 


 

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