13話 寺子屋
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屋台が軌道に乗りそうなので今度は教育だ、これはマリア達シスターに頑張ってもらうつもりだ。これによってシスターの地位向上を目指すのだ。だから教育関係の質問は一切受け付けない、
洋半紙に俺が作ったテキスト書き写す作業にシスターが4人やって来たのだが、この世界のペンとインクは品質が悪すぎて作業がはかどらないのだ、ペンが洋半紙に引っかかり、インクがにじむのだ。業を煮やした俺は彼女達にボールペンを渡した。一本300円の2色シャープペン付のやつだ。因みに書き心地の良さで俺は仕事ではパイロットの奴を使っていた。
「凄い!何でも書ける!」
「うわー赤い色も付いてる!」
「インク付けなくてもドンドン書けるわ!」
彼女達に偉く喜ばれたが、それは魔道具なので他人には見せない様に言い聞かせた。そして俺は自分の考えの甘さを思い知った。翌日司祭がやって来てボールペンについて色々聞くのだ。絶対彼女達が司祭に話したのに違いない。
「いや~今日も良い天気ですね。絶好の写本日和です。」
この調子で全然関係ないふりをして、孤児院に延々居座るので俺は根負けしてボールペンを差し出した。俺がプライベートで使っている高いボールペンだ因みに1本1000円の金属製の奴だ。書き心地は変わらないが金属製なので見た目が全然違う因みにこれもパイロットだ。
「なんと!私にも下さるのでしょうか!ああ神よ感謝いたします。」
凄く喜んで神に感謝の祈りをささげていた。まあ、一応俺は女神に送られてここに来たから間違いじゃないかもしれないな~とか考えていた。
そして次の日写本をしていたシスターに、秘密をバラしたら今度は魔道具が爆発すると言って脅したら、一人が泣き出した。何でも教会に帰って写本をしていたら司祭様にボールペンを見られたのだという。それからボールペンについて色々聞かれたので仕方なく話したそうだ。変な物にこだわるオヤジだったのだ。
また1週間して、写本とシスター達の基礎教育が終わってホットしていたら、又、毎日司祭が愚痴をこぼしにやって来た。はっきり聞かないと毎日やって来るのではっきり困ってる原因を話してくれと言ったら話づらそうにポツポツ語りだした。
ボールペンを貰ってのが嬉しくて枢機卿の所に遊びに行った時に2色使ってサインを書いて見せたら、枢機卿が物凄く興味を持ってしまったらしい。それで、枢機卿が毎日教会に来るので教会に居づらくなって此処に来てると言う訳だ。早い話自分のボールペンが取られそうだから何とかしてくれって事だった。
「あんた達は子供か?」
はっきり言って馬鹿馬鹿しい。相手が司祭じゃなければ怒っている所だ。
「でもあれでサインすると凄く綺麗で見栄えが良いのです。」
しょんぼりしている司祭に、枢機卿に渡す様にドイツ製のボールペンを渡した。銀色の本体に金色のクリップが付いてる高い奴だ。
「司祭、今度だけですよ!次からは金取りますからね!」
それはそれは喜んで司祭は自分の教会に帰って行った。
屋台も孤児院学校も軌道に乗って来た、又、新しい孤児が4人程入って来たので。のんびり育てていた。今度も獣人の子供で、犬族2人と猫族とダークエルフ族らしい。犬族と猫族は同じ耳に見えるがチョット違うそうだ、ダークエルフは直ぐ分かった、耳が尖ってて少し長いのだ、そして少し肌が黒かった。
彼女達にも専用のベットを与えここでのルールを教えていく。ここの仕事も出来る範囲でやらせる様にした。また屋台の仕込みも手伝わせる。これで何とか兎耳ちゃんと牛ちゃんの負担が減ってくれた。
彼女達には将来、屋台や冒険者、商売人等何になりたいか少しづつ考えておくようにと、最初に言っておいた。大きくなっていきなり孤児院から放り出すのは無理があるからだ。そして、どんな職業に就くとしても基礎体力は必要なので、ダンジョンに潜って20階層は突破出来る様に、パワーレベリングを始めた。これも俺がやらなくても引率にチチとヒメが居れば十分だ。
ヒメもチチも毎日21階層から30階層まで行って魔石稼ぎしているので凄く強くなってる。すでにオーガと一対一なら力負けしないそうだ。銃は危なくなった時だけ使うのだそうだ。
そういわれて見てみればチチは俺と変わらない身長になってるし、ヒメも俺より少し低い位まで背が伸びていた。お前ら成長速すぎだろう!
そうこうしてたら又司祭がやって来た、今度は青い顔をしている、おい今度は何が有った?あれからたったの1ヶ月だぞ!
「今度はいったいどうされたのですか?司祭様?」
言葉は丁寧だが目が笑っていない俺を見て司祭は言いにくそうに言った。
「実は枢機卿と国王様が・・・・」
話はこうだ、枢機卿が国王にボールペンを使って見せたら、国王が欲しがってる。そして、枢機卿は絶対ボールペンを渡したく無いので渡さない。そしたら国王が怒っている。とまあこういう事になってるそうだ。そして、原因が自分に有るので困ってるって話だ。
「このままでは、国と教会が敵対関係になってしまいます。おまけに、国王が欲しがる魔道具に貴族達も興味を持ちだして、今国の上流階級ではボールペンの話が主流になってます。」
よくまあボールペン位でこんなに盛り上がるもんだな、この国の上流階級。まさか国王や貴族まで巻き込む事態になるとは思わなかったが、枢機卿は国王に会う程の権力者なんだなとか思っていた。丁度良いので、利用できるものは何でも利用できる事にする。以前からしてた権限の集中による、地位向上作戦である。
「では司祭様、国王専用の高級ボールペンを100万ゴールドで用意します。また上位貴族向けのボールペンを1本10万ゴールドで用意します。ただし。毎週1本だけです。」
「ありがとう、これで枢機卿も救われます!、でも毎週1本なのは少なくないですか?」
「少ない事で、希少価値が生まれ持ってる者のステータスが上がるのですよ。そして、自分が次に選ばれるために貴族はこちらに気を遣う様になるはずです。」
「成るほどそんな深い考えがおありでしたか、流石、賢者様だ。」
うん?今、賢者とか言ったよな、なんで俺がそんな面倒なものになってんだ。あれか、教育とかをやってるせいか?
「ハハハ、自分はそんな偉い者じゃありませんよ。」
「流石は賢者様、謙譲の美徳を持ってらっしゃる。」
うん、何度も困った所を助けたせいで俺は司祭の中で賢者になってる。司祭の中だけで留まってくれれば良いが、枢機卿や国王に話が行きそうで嫌だな。
「それでは、ボールペンを渡す窓口はグローブ司祭にお願いします。それと、賢者の件は誰にも言わないで下さいよ。」
「はいそれは勿論!善行は隠れてする事に意義があるのですよね。賢者様!」
そう言ってウインクする司祭を見て俺は不安になった。
まあ司祭関係以外は順調に行ってるので良い感じだ、やっと落ち着て生活できそだ。
そう、これがフラグである。次回怒りのガンバトル!




