11話 司祭
気づけば、もう11章ですか。自分でもここまで書けるとは思っていませんでした。
これもひとえにつたない作品に評価を下さった人のおかげです。あの評価が無かったらここまで書けなかったと思います。ブックマークを下さった方にも深い感謝を送ります。「ありがとうございます。」背中を押してもらってもう少し頑張ります。
やる気はあるのですが、才能が無いので上手い文章が書けなくてごめんなさい。主人公同様破壊は得意なのですが、創造は苦手です。
3か月の前期教育を終えこれから後期の教育日程に入ろうとしていた所でシスターが言った。
「司祭様がお会いになりたいそうなのですが、宜しいでしょうか?」
「司祭様が俺に一体何の用なんだ?」
孤児院に俺が住んでるのがまずいのか?いい大人が美少女に囲まれているのは確かに体裁が悪い。俺でもそう思うだろう、「お巡りさん、コイツです!」の典型的なパターンであるな~。等と考えていたが違うらしい。
「初めましてピッピさん、この孤児院をやってます。カトリーヌ教会司祭、グローブです。」
50歳位の小柄な人だった。汚れてはいないがとても質素な服装だった。金に無縁な人らしい、しかし瞳には強い意志と人の良さが同居した不思議な雰囲気のある人だった。
「こんにちは司祭様、この孤児院に命を救われたピッピといいます。」
本名を名乗ろうかとも思ったが今更なのでやめておく。せめてカッコ良いハンドルネームにすれば良かったのかな~、等と思ってしまった。この世界で有名になる気が全くなかったので何時ものゲーム時に主人公につける名前にしたのだ。名前入力がめんどくさいから最初はーあああーとか使ってたが、あんまりなのでこれにしたのだ。意味なんてない。
「所で、私にどの様なご用件がおありでしょうか?」
「実はここの教育というもので使っている教科書と言うものをシスターに見せて貰ったのです。私達カトリーヌ教会で行っている教育よりも格段に優れているので、ぜひやり方をお教えいただきたくて参りました。この優れたやり方を全ての孤児院で行いたいたいのです。」
早い話が、俺の作った教育システムをカトリーヌ教会の教育に使いたいと言う話だ。
「分りました、どうぞお使い下さい。孤児達が読み・書き・計算が出来る様になれば、良い待遇で仕事に就けるかもしれません。」
そういって俺はパソコンからプリントした。俺の作った教科書の原本をファイルに入れて司祭様に渡してやった。
「ありがとうございます。これで子供達に優れた教育が行えます。・・・所でいか程お支払いすれば宜しいでしょうか?」
人の良い司祭様は俺に金を払う気の様であったが、俺は断った。十分に金は持ってるし、司祭の方が余程金に困っている様だったからだ。
「金はいりませんし、これを作ったのは司祭様だと言う事にして下さい。もしこれで儲かる事が有れば、孤児院の食費にでもして下さい。」
兎に角目立ちたくない俺はそう言った。それに司祭ならば悪党に目を付けられてもバックに教会が付いているので安心だ。
ただし、原本は一組しか渡さない。この原本を手書きで書き写す事によってシスター達の仕事と給金を確保するためである。また教員候補の人間に写本させる事により暗記させる意味もあった。
「なんと寛大で考え深いお方だ、その若さでこの考え!あなたこそ賢者に違いない!」
金を取らなかった事と手柄を惜しみなく与えたので司祭様は感動したようだ。立ち上がって興奮していた。
「でもね司祭様、俺は本当はあんたより歳取ってるんだよ。偉くなったり目立ったりすると面倒事が増える事はあんたより良くしってるんだよ。下っ端が一番楽なんだよごめんね。」
等と思ったが口には出さなかった。たまに空気を読むこともあるオッサンであった。
「その変わりにお願いが一つ有るのですが、宜しいでしょうか?」
「何でも言って下さい。私に出来ることであれば何だってしましょう!」
「実は孤児院の子供達に屋台をさせたいのです。」
「どういう事ですか?」
俺は孤児一人一人に個性が有る事、戦える者は冒険者に成れる様に指導していること、戦いが苦手な者には商売人になれる様に読み・書き・計算を教えている事を話した。そして将来の仕事に就いた時の練習と孤児院自体の収入の為に屋台をして資金と経験を積みたい事を司祭に話した。
「素晴らしい考えです。国中の教会で支援出来る様に話してみます!こうしてはいられない今すぐ大司祭様の所にいかねば!」
司祭様は興奮していた。慢性的な資金不足が解消されるかもしれない大チャンスなのだ。上手く行けば大勢の孤児が救えるかもしれないから当然だ。直ぐに上司に会いに行こうとする司祭様を止めてちょっと話をすることにした。
「司祭様、チョット待ってください。」
「おお、これは失礼。年甲斐もなく興奮してしまった様です。」
「屋台で販売する物を試食していただけませんか?それと適正な値段を付けていただきたいのです。」
「彼女達が売る食べ物ですか?」
そうして俺は、彼女達にハンバーガーとポトフを作らせて、司祭様に振舞った。
「美味い!どちらも凄く美味い!これなら貴族相手でも売れますよ。」
「貴族相手に売る気はありませんよ、教会の前で庶民相手に売る気なのです。」
「ふむ、庶民ではこれに500ゴールド出すのが精一杯だと思いますよ。貴族なら1000ゴールドでも買うでしょうね。」
多くの屋台を出して大勢の孤児に仕事を与えたかったので、値段は両方500ゴールドにする事にした。
始めは戦闘が苦手な兎耳ちゃんと牛ちゃんの為に考えた商売だが、どうせなら教会を利用して多くの孤児を救う事にしたのだ。そして、商売が苦手な者達の仕事も色々考え始めていた。
その後も色々な話をしていて分かったことは、司祭様はこの街の教会のトップであるが、教会全体では下っ端であること、この街の孤児院に30人の孤児が住んでいる事、孤児院に入れない孤児が大勢いる事等を聞いた。
「最後に一つ伺いますが、なぜここは女の子ばかりなのでしょう?」
「孤児も男の子は力仕事が出来るので、親戚等に引き取られる事が多いのです、女の子は力仕事が出来る様になるまで時間がかかるので、食わせる金が惜しいのが現状ですね。」
「それと、ここの子達が人族で無い事も、当然気づいてますよね?言いにくい事ですが、孤児の中でも差別が有るのですよ。人族とそれ以外でね、彼女達が孤児院に住みにくくなったのでここに分院を作ったのです。」
厳しいがこれが現実だ、自分以外の種族を敵視するのは生物として当然の反応なのでしょうがない、ならば住み分けるだけだ。それが一番上手くいくのは歴史が証明している。
「では司祭様、人族以外の孤児は俺が引き受けましょう。」
そう言って、話し合いは終わった。この世界を救うのは無理だが自分の周りの者位なら救えるはずだと思い俺は司祭様にそういった。もしかしたら、司祭様の情熱が俺にそういわせたのかも知れない。




