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Darkness -under the tree-  作者: 一倉弓乃
25/26

25 箱

「日が落ちると寒いな。マントを持ってくるんだった。」

「…タンクトップじゃね…。」

 陽介の家までは電車ですぐだ。駅の改札を出ながら、菊は時計を見た。

「…エリアトーキオはおもちゃの国みたいだな、なんでもこぢんまりつくってあって。」

「ドーム以前の建物が沢山残っているらしいですから…。」

「…電車、細すぎだよ。」

「僕もそう思います。」

 …おりしも、夕方のラッシュアワーであった。箱など抱えた春季は、ほかの乗客みなにイヤな顔をされた。

 2人は混雑する駅から足早に遠ざかり、住宅地へ入った。

「…挨拶がおくれたけど、随分斎が迷惑をかけたらしいな。それに助けてもらったみたいで、有難う。…いや、家族にバレたらヤバいかと思って。」

「…いえ、斎さんには…。うちの連中が迷惑をかけてしまって…。すみません。…それにかえってお気づかいいただいて申し訳ないです。おっしゃる通り、僕は家族にばれたら多分袋だたきです。」

「…うん。斎がそれを心配してた。…とりあえず君を家族から離したほうがいいだろうといってたからちょうどいいよ。ラウールに面通しした後、おりを見てなんとかするから、…兄さんもいってたようだけど、すこし我慢しててくれ。」

「…」

 春季は、返事の変わりに少し微笑んだ。…この人は多分、とても面倒見のいい人なのだ、よすぎるくらいの人なのだ、ということが、探りをいれるまでもなく分かった。…つまりあれだ、「全身から滲み出している」とかなんとかいうような。菊はそんな人物だった。

「…あなたも外から来た人なんですか?…斎さんみたいに。」

 春季は菊にちょっと個人的な質問をしてみた。…なんとなく、答えてくれそうな気がした。菊は予想どおり、あまりこだわりなく答えてくれた。

「…微妙だな。だが、まあ、イエス、でいいだろう。俺の身柄は今でもローマが欲しがっている。…ラウールが拒んでるからパリにいるけど。…もともと居たのがローマの…ううん、まあ、周辺、つーか。そのへんだったからな。」

「…ローマに掴まったんですか、最初は。」

「掴まった?…ははは、そうだな。捕獲されたよ、ドーブツみたいに。んで、一時期飼われてた。…ローマっていうか、当時のミラノだな。」

「ミラノ…って、ドームありましたっけ?」

「昔はあったんだ。…そうだな、君が生まれたころは、多分まだあったかもしれない。」

「…戦争かなにかで?」

「連邦でここ50年戦争はないよ。」

「…」

 菊は春季の表情を見ると、眉を上下させて口をヘの字にまげた。

「…俺、硬化系の硝子にだけ強いんだよね。」

「…ああ、さっきの…?」

「…今はドームってみんな流動性樹脂だろ。当時は可変偏光ガラスだったんだ、つまり硬化のやつ。硝子っつってもアクリル合板だけど...。」

「…え?」

「…まあ、のちのち暇なときにでもゆっくり考えてくれ。」

「…あのう、貴方が壊したって意味なんですか?」

 菊はとぼけて「ぴゅー」と口笛を吹いた。

 春季はだんだん「じわっ」と怖くなってきた。

 …もう少し聞いてみることにした。

「…さっき、斎さんの担当だって言ってましたよね。中味が…って、どういう意味なんですか。」

「…そだな。オカルト系のやつが言うには、俺には『呼ぶ』才能があるんだと。」

「呼ぶ才能?…え、スズメとかカラスとか集めたりですか?」

「それはやったことねえなあ。…主に、地図上で迷子になった奴を引っぱるってーのが俺の見せ場だね。」

「地図上で迷子?」

「…おまいさんも今度ねっこんとこに行ったまま帰ってこれねえ場合は俺の世話になるってわけ。…あともう一人専門のゴンドラ船頭みてえ奴がいるから、ある程度呼んだらあとは勝手にそいつがひろってくる。斎はそうやって回収したんだよ。弟が死んじゃって、あいつ魂が半分になっちゃったらしくてさ、いや本人が言うに…。重しがきかなくてひらひらあちこち飛んで歩いてて…。もともと旅して歩く習性があったからもう大変よ。」

「!」

 春季は菊を見上げた。

「…僕、薬で戻してもらったんです。」

「…ああ、斎のかーちゃんに?」

「ええ。」

「…俺も体ごといった奴って初めてきいたよ。白き炎で穴を開けて、さらにもう一段階突き抜ける必要があるって斎は言ってた。物凄く危険だから、本当は禁じ手なんだとさ。…ちなみに、俺は夢でもお前さんたちのいうような場所は行ったことないんだよね。だからなんで呼ぶ才能があるのかは、誰もわからないんだ。…多分、体ごといった奴を呼ぶのは俺じゃ無理な気がする。…へえ、薬でねえ。」

 菊は感心して言った。

 春季は更に尋ねてみた。

「…あなたは、聖地を陥としに行ったときは…同行を?」

 菊は、少し険しい表情になった。

「…そのへんはノーコメント。」

 春季はくいさがった。

「…父が、市長はミルエに呼ばれていると言っていましたが…どう思いますか?」

「ミルエって何?」

「…根に住んでいる神様ですよ。」

「…! …。親父さんはなんでそんなことを?」 

「…兄の一人が言うには…父は妄想しがちな人だと。」

「じゃなんでそんな妄想を?」

「…父が言うには、連邦に非加盟の町はヨーロッパにいくつでもあるのに、あそこまで出向くのは妙だと…。」

 それを聞いて菊は考え込んだ。

 そして言った。

「…なかなか君は興味深いネタをにぎってるな。…P-1に着くまでいろいろ話そう。…楽しみだよ。なるほど、ラウールが話したがるわけだ。」

「…市長はどうして尾藤の子供と話したいと…?」

「…俺にゃラウールの頭の中はわからねえ。…昔からそうだが、最近はとくにだな。」

「…そういう人といて、不安にならないですか?」

「なるよ。」

 2人はやがて陽介のいる家にたどりついた。


+++

 

 お母さんは春季の顔を見て、すぐにそのまま上がらせてくれた。菊も一緒だ。菊はお母さんの背中に言った。

「斎と咲夜がおじゃましているそうで…。申し訳ありません。」

「…あら、いいんですよ?いつも遊びにきてくれて、嬉しいんです。斎ちゃんなんでも文句いわずに美味しそうに食べてくれますし、それにどんぐりそっくりで可愛くて…ほほほ。」

「…どんぐり??」

 春季にとっては物凄く衝撃的な一言だったのだが、菊は「どんぐり」の意味にひっかかって思考がとまっているらしかった。

「どんぐりはうちの子ですの。」

「…陽介くんの下の子ですか?」

「あら、違いますわ、ほほほほほ。」

「…おばさん、あんまりからかっちゃマズイですよ~。」

 春季が釘をさすと、お母さんはコホンと咳払いして誤魔化した。

 廊下を歩いていると、座っていたおめんちゃんがびっくりしたように立ち上がった。…そしてぱーっと走って行った。それからのしのしと大きなヤマネコが歩いて来た。

「…あ。どんぐり~どんぐり~vv」

 春季がしゃがんで呼ぶと、どんぐりは「しゃー」と言ってそのまま通り過ぎていった。

「…どんぐり…しばらくあえないのに。冷たい。」

 春季が恨みがましく言うと、菊はやや少し怒って言った。

「どんぐりってあれか?!」

「あれがどんぐりです。…ほっぺのとこがハネハネで、オシャレでしょ?」

「ショーゲキ事実だな。」

「ほほほほほ。」

 お母さんは思いきり笑った。

 いつもの客間近くに来ると、お母さんは菊と春季それぞに言った。

「こちらのお部屋でみなさんとお待ちください。…尾藤さん、ショウヤが戻ってきましたので、どうぞこちらへ。」

 春季はアルテミスの箱を菊に頼み、お母さんについて行った。

 …行ったことのない部屋に通された。

 部屋には祭壇のような、高いつくりの床の間のような部分があり、そこには一見して宗教的なものとわかる花や小さなモニュメントや、供えものが置かれていた。そのまんなかに、小さな錦の包みがあった。…本当に小さな物だ。多分春季の手でも余るということはないだろう。

 お母さんは祭壇の上の、漆塗りの燭台に乗った白いちいさな蝋燭にマッチを擦って火をともし、両手を合わせてそっと拝んだ。それからその包みを祭壇から下ろして、春季の手に渡した。

(…こんなに小さくなって…拾ってきたときみたいだ…)

 春季は悲しい気持ちがこみあげた。

 けれども母がお金のことを言っていたのを思い出し、尋ねた。

「…有難うござます。…すみません、お手数をかけてしまって…。あの、費用はいくらかかりましたか。」

 お母さんは蝋燭を消しながら、振り向かずに言った。

「…御香典だということにしておきます、尾藤さん。」

「…御香典?」

「…御葬式のお香やお花代のことですよ。このあたりでは少しずつ知人や御近所でそうして助け合う習慣なのです。」

「…そう…ですか。…ありがとうございます。」

 春季は「習慣だ」と言われたらなるべく従うようにしていた。

「…尾藤さん、気持ちがおちついたら、うちから適当な子を一人つれて行ってくださいな。尾藤さんのことをみんなとても好いていますから。」

 お母さんが控えめにそう言ったので、春季は苦笑した。

「…しばらくバタバタしそうで、今夜これからヨーロッパに発たなくてはいけなくなったんです。…帰って来られたら、また寄らせていただいてもいいですか。」

「まあ。」

 お母さんはなんともいえない顔になり、突然春季に返したはずの錦の包みを取り上げた。春季はびっくりしてお母さんの顔を見た。

「…旦那様に私からも申し上げてみます。こんなお若い方に旦那様も大人気のない…。…春季さんがお帰りになられるまで、もう少しおあずかりいたします。」

「…あ、違うんです、あの、斎さんのお父様のほうが…。」

 春季は慌てて手を振って否定した。するとお母さんは言った。

「…もしそうだとしたら、旦那様は自分の手をよごさずに、斎さんのお父様を利用なさったのです。…御心配なく、春季さん。私がきっと御家族のところに貴方をお返しいたしますから。」

「…あ、家族はまた別のところへすでに発ちました。」

 春季は、陽介のお母さんが本気で怒ったのを初めて見た。おろおろしていると、陽介が入って来た。

「…無事か、春季。」

「あ、先輩…。」

 お母さんをチラッと見ただけで不穏な気配を読み取った陽介は、春季に尋ねた。

「…どうした?」

「…あの、僕、実は今日これから、斎さんの御実家に人質に行くことに…。」

「…ああ、それな。菊さんから聞いたよ。…うーん、まあ、少し行って来い。ベルジュールの顔を一回ナマで拝んどくのも悪くないさ。ショウヤはあずかっとくから、帰って来たらすぐ寄るんだぞ。」

 あまりにあっさりと陽介が言ったので、お母さんがじろっと陽介を睨んだ。陽介は春季の背を軽く押して促し、「客間行け、みんないるから。」と言った。そして自分はお母さんと部屋に残った。 

 春季が客間へ行くと、客間は沢山の猫と人間でごったがえしていた。

「わあ、ほんとにみんないる。」

「ハーイ尾藤くん! 怪我はない?」

「斎さん! 病院じゃなかったんですか。」

「おまえも言うか。」

「心配してるから言ってるんですよ。…すみません、昨日は…まさかそんなに悪いと思わなくて…。」

「いやあ、何の。どこも悪かないよ。タクシーひろってくれてたすかったわさ。」

 斎の周辺で煮干しにたかっていた猫の中から何匹かがにゃーにゃーと春季に寄って来て、足をふんづけたり胴をすねにすりつけていったりした。

「やあ、みんな元気?よしよし。」

 春季はそこに座ってかたっぱしから猫を撫でた。

「おやつしてたの?…ほら。」

 放置されていた煮干しを拾い、少し遠くの子に投げてやると、その子は元気に「にゃー」と返事をした。それからそうせきくんがやってきてちょっと顔を見てゆき、みんなの挨拶がすっかり済んでから、座卓の下を這い出して、ぱすたがとことこ出て来た。そして春季のひざに、こてんとよこになった。

「ぱすたv」

 春季は昨日のショウヤを思い出して少し泣きそうになったが、ぱすたの白いお腹をにょごにょご撫でて誤魔化した。ぱすたは「うふーんvうふーんv」という感じで寝返りをうった。

「…あれっ。菊さん出してやってくれればいいのに、アルテミス。」

「…あ、忘れてた。いや、咲夜がいたもんで、出した気になってた。」

 菊は段ボールをあけて、中から洗濯ネットに入ったアルテミスを取り出した。咲夜が目を皿のようにして注目している。ちょうどそこに陽介がコーヒーメーカー一式を持って戻って来た。

「…あれ、何そのネット。」

「アルテミスです。うちにいたんですけど、無人になって姉さんが気にしてたので連れて来ました。おばさんも見たがってらしたようだし。…あとで適当に放してやって下さい。」

「アルテミス?! 菊さんちょっと待った! …お袋に頼んでだしてもらおう。危険すぎる。しかもこんな男ばっかりのところで…」

「誰が男ばっかりよ。」

 斎がすかさず抗議したが、皆、無視した。

「いや大丈夫だんべ?たかがネコ。」

 菊がそう言う間もネットはもちょもちょと暴れている。

「いいから開けない。…できれば誰かコーヒーおとすのやってくれ。」

「あ、じゃあ僕が。」

「お袋呼んでくる。」

 陽介が慌てて出て行き、すぐにお母さんもやってきた。

「まあ陽介さんお客さまにやらせて…」

 小言を言いつつコーヒーにかかろうとするお母さんを無理矢理洗濯ネットに向けると、お母さんはネットを開けた。

「まあ、アルテミス!」

 開けたネットの口から全身けば立った黒猫が飛び出して、お母さんにとびついた。そしてニギャー、ウギャ-、と不平を思いっきり訴えた。

「まあ、アルテミス! まあ! 元気だったのね! よしよし、いい子ねアルテミス、いいこいいこ。」

 お母さんはアルテミスを撫で回して頬ずりした。

「…やりたい放題だね、アルテミス…ちょっとうらやましいや。」

 春季がぼそっと言うと、小夜に甘えるのもみていた菊が、うんうんと無言でうなづいた。

「さっきはあんまり大きくなったので心配したわ。」

 …また混乱しそうだったので、陽介はお母さんに「アルテミス興奮してるみたいだからあっちで一人にしてやってくれる?」と頼んだ。お母さんは陽介がコーヒー業務に戻るのを確かめてからアルテミスといちゃつきつつ出ていった。


+++

 医者がくるまで斎に貼り付いているよう命じられた咲夜が、ドミを嫌う斎のためにホテルを確保して2人で移動したのち、春季・陽介・菊の三人で、事故から復旧したばかりのチューブラインステーションへ向かった。

 ステーションの周辺は、まだ魔法樹の細かい木片があちこちにのこっていたが、その散らかった道もそろそろ夕闇に沈みかかっていた。

 春季は、陽介にいろいろ話したかったが、話すタイミングがなく…結局ときおり妙な間をかかえながら、3人はゲート近くまでやってきた。

「…じゃあ春季、気をつけて行って来いよ。」

「はい…ショウヤを…おねがいします。」

「ああ、心配するな。」

 春季の肩を叩く陽介に、菊が言った。

「きみもよかったら今度遊びに来いよ。ラウールも電話に出たがってたんだ、ほんとは。」

「ありがとうございます。…そのうち、親父と話し合って、是非。…春季があまり酷い目にあわないように、よろしくお願いしたいんですが。あなたを信用していいだろうか?」

「ああ、大丈夫。心配すんな。」

「よろしくお願いします。」

 菊と陽介は握手した。

 そのとき、陽介は不意に「あ」と何かに気付いたように、菊に言った。

「…菊、春季は目が悪いんだ。この騒ぎで眼鏡を壊してて…多分不便だと思うから、なんとかしてやってくれないか。」

「…そうなの?」

 菊が振り返って聞いたので、春季はうなづいた。

「はい。」

「…じゃ着いたらまず眼科だな。コンタクトレンズでいいだろ?ちょっと練習すりゃすぐ入るさ。」

「…え、あ、はい。わかりました。お願いします。」

「きみの両親にツケとくから。」

 …案外ケチだ。

「…ヨースケ、また斎が逃げ出してきたら、つかまえといて咲夜にひきわたしてくれ。」

「わかりました。」

 春季はもっと何か、陽介と話したかった。なんでもいい、ただもっと話したかった。

 …まるで陽介はちょっと面会しにいくような口ぶりだが、春季は人質に行くのだ。もしかしたら、一生とはいわないまでも、ずっと長い間会うことができないかもしれないのだ。

 …なんでもいい、もっと話したかった。けれども、菊もいたし、それに…何を話したらいいのか見当がつかなかった。

 春季が見ていることに気がついたのだろう、陽介は春季に目を移して、言った。

「…うちの遅咲きの八重も終わりだな…」

 そしてそっと手を伸ばし、春季の髪から、桜の花びらをつまみとった。

 …このひとにすがりついて、さめざめ泣きたい、と…そのとき、思った。

 陽介は少し笑うと、言った。

「春季、向こうについたらちょいちょい電話しろよ、当分番号かえないでおくから。」

 春季は大人しくうなづき、小さな声で「はい」と言った。

「…じゃいこうか。」

 菊が促したので、2人は、陽介と別れた。

 出国審査をうけると、菊のパスポートのみで、春季はそのまま出国が許された。

 チューブラインのランチは10人席ほどのものが多く、人数が揃ったらすぐに個別に出発できる。待ち時間は、普通でもあまりない。しかし、10人乗りのランチは、菊と春季を載せてすぐに扉が閉り、ロックされた。…これがVIP待遇というものらしい。菊は自分の部屋であるかのように春季に席をすすめ、シートベルトの付け方を簡単に指導した。

 自動アナウンスで免責事項と注意事項が流れ、その後すぐに体が軽くなった。…重力調整が入ったらしかった。そして、カウントダウンの後に、ランチは透明な流動性樹脂のチューブに打ち込まれた。数秒の暗闇の中を通過したあと、突然に紫色をした名残りの夕日の空に放り出される。チューブは事故で荒廃した倉庫街の上を一瞬で過ぎ去り、波の静かな海の上へと突き進んでゆく。

 まばゆい七色のネオンに彩られた晩春の州都はみるみる遠くなり、あっというまに宝石箱のように小さくなっていった。…陽介やショウヤのいる州都。目の開かないまま斎を置いて来てしまった…。

(先輩…)

 太平洋は、もう夜だ。   

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