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器用貧乏、笑顔でクビになる

はじめまして、影山ネルです。

数ある作品から見つけていただきありがとうございます!


魔法の加減がちょっと(?)苦手な少年の、無自覚な成り上がり物語を楽しんでいただければ幸いです。

「テオ。お前は今日限りでクビだ。この荷物持ち野郎が」


Sランクパーティー『暁の剣』のリーダー、ガイルが吐き捨てるように言った。

足元には、僕が今まで丹精込めて手入れしてきた仲間たちの予備武器が、ゴミのように投げ出されている。


「えっ......クビ?でも、僕がいないと装備のメンテや、キャンプの結界はどうするの?」


「ハッ!そんなもん、適当な奴を雇えば済む。お前みたいな『器用貧乏』は、何をやらせても二流なんだよ。特にその『水』と『闇』......。戦闘じゃまったく役に立たねえハズレ属性じゃねえか」


ガイルが僕の胸元を突き飛ばす。

周りの仲間たちも、嘲笑を浮かべて僕を見ている。


「......そっか。みんながそう言うなら、仕方ないね」


僕は寂しくなって、俯いた。

......あ、でも、ちょうどいいかもしれない。

実は最近、自分の【ステータス画面】が変なんだ。


【名前:テオ】

【ジョブ:器用貧乏(真・万能者)】

【習得スキル】

・水魔法:概念級(測定不能)

・闇魔法:概念級(測定不能)

・家政・雑用:神域(測定不能)


きっとバグっているんだと思う。

「器用貧乏」だから、強さを測る魔法陣も中途半端に壊れちゃったんだ。


「わかったよ。今までありがとう。この魔剣も返しておくね」


僕は一人、ギルドを出た。

あてもなく歩いて、気づけば凶悪な魔物が棲む『絶望の深淵』という森の入り口に立っていた。


「お腹空いたなぁ。あ、ちょうどいいところに大きなクマさんがいる」


目の前に現れたのは、災害級モンスターの『ジェノサイド・ベア』。

普通の冒険者なら軍隊を呼ぶレベルの化け物だけど、僕にはただの「食材」に見えた。


「えいっ」


僕は指先を軽く振る。


【水魔法:浄化の(ピュリファイ・ドロップ)


ピチャッ、と小さな音が響く。

次の瞬間。


ドォォォォォォォン!!


クマさんのいた場所を中心に、半径1キロの森が消滅した。

一滴の水が着弾した瞬間、核爆発のような圧力が全方位を吹き飛ばしたのだ。


「あれ?加減したつもりだったんだけど......。やっぱり僕、器用貧乏だから魔法を打つのも下手だなぁ」

「あ、そうだ。夜露を凌ぐ場所を作らなきゃ。闇魔法で『影の家』でも作ろうかな」


僕が闇魔法を少しだけ練り上げた瞬間。

空が真っ黒に染まり、太陽の光が完全に消失した。

世界中の天文学者が「世界の終焉が来た!」と絶叫し始めたことなんて、僕は露知らず。


「うん、いい感じに暗くなったね。おやすみなさい!」


自分が「世界のパワーバランス」をたった数秒でぶち壊した自覚なんて、これっぽっちも持たずに、僕は影のベットに飛び込んだ。


第1話を読んでいただきありがとうございました!


主人公のテオ君、本人は「自分は中途半端だ」と思い込んでいますが、実際は一滴の水で地形を変えるほどヤバい子です。


「続きが気になる!」「テオ君の無自覚っぷりをもっと見たい!」と思っていただけましたら、下にある【ポイント評価(☆☆☆☆☆)】や【ブックマーク】をいただけますと、執筆の大きな励みになります!


次回、聖女様がテオの洗顔水で大変なことになります。お楽しみに!

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