表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロリ☆カフェ  作者: Luculia
11/11

第11話!世界最強の魔法使いさん

「さあさあ! カフェを開くって決まったことだし、準備を進めないとなぁ」


 やるべきことは、たくさんある。

 内装を飾ったり、メニューを決めたり……。


 実際にカフェがオープンするのは、いつになることやら。

 そんな、時だった。


「実は、キッチンのコンロが壊れてしまったみたいなの」


 リズが、困った様子でそう言った。


 あの時、お茶を作ったせいか? 俺は、内心ドキリとする。


「修理に出せば、いいんじゃ?」


 せんじが提案するが、リズは首を横に振り言った。


「そうもいかないのよ。これは、マナコンロだから……」


「マナコンロ?」


 初めて聞く名前だ。ガスや電気ではないということか。


「それって、どういうものなんだ?」


「ええとね、この世界には、魔法を使う魔法使いがいるんだけどね」


「へー! 魔法かぁ。俺も、使ってみてぇなあ!」


 リズの言葉を遮り、とうごが目をキラキラとさせながら、身を乗り出してくる。


「残念だけど、魔法を使うには生まれつきの才能が必要でね。誰でも使えるってわけじゃないのよ」


「ちぇっ、なんだよ……」


 分かりやすく落ち込んだとうごは、そのままストンとイスに座りなおす。


「でも、このコンロを使えばね、魔法の力がなくても火が出せるようになるのよ。ただ、さっきも言った通り、修理は出来なくてね……。消耗品ってわけ」


 魔法……ねぇ。

 使えたら便利かもしれないが、異世界から来た俺たちでは、到底使うことは無理だろうな。


「ここは、山奥だし……。街に行って買っても、どうやって運ぶかよねぇ……」


「一層のこと、魔法使いをこの家に呼ぶってのは?」


 何気なく言った一言だったが、意外にもリズは真面目に返事を返してくる。


「魔法使いはみんな、政府の管理下にあるから……。あの、最強の魔法使いなら、もしかしたら有り得るかもしれないけど」


 一瞬、リズの瞳が悲しそうに伏せられたように見えた。


 だが、瞬きをした次の瞬間にはもう、いつも通りの表情に戻っていて。

 きっと、見間違えたんだろう。それよりも、気になるのは……。


「最強の魔法使いだって? 何だそれ?」


「ああ、昔からの言い伝えでね。昔、世界が滅亡するような災厄が起きた時、それを救ってくれた魔法使いがいたの。それも、たった一人で」


 なるほど、それは確かに最強だ。


 リズは、話を続ける。


「不思議なのは、誰もその魔法使いの姿を見ていないこと。なのに、名前だけは語り継がれている。だから、私はただの昔話だと思うんだけどね」


「最強か、ワクワクするなぁ!」


「子どもかよ……」


 言葉こそ交わさないが、せんじと、とうご。二人の間には、依然としてピリピリとした分が漂っている。


 むさしもやひろも、触らぬ神に祟りなしといった具合に、我関せずだし……。

 いや、やひろはただ単に、何も考えていないだけか。


「その魔法使いの名前は、何て言うんだ?」


「名前はね、サギリっていう人なんだって」


 サギリ……。どことなく、最強っぽい感じが漂っている……気がする。


「とにかく、しばらくの間は、ろくな料理が作れないわね。どうにかして、コンロをここまで運んで来ないとね」


 リズが出ていき、残ったのは俺たち五人。


「最強の魔法使いねぇ……。ま、創作だろうな」


「待てよ、本当かもしれないだろ?」


 今日のとうごは、いやに食ってかかるな。


 理由でもあるのか? それとも、この手の話題が好きなのか?


 おそらく、後者だろうな。リズの話も、誰より真剣に聞いていたし。


「その魔法使いは、いる……」


「やひろまで……」


 こういう話に乗ってくるだなんて、珍しいな。

 いつもなら、こういう興味のない話では無言を貫いているというのに。


「あの馬鹿ならともかく、やひろもか……。全く、二人揃って……」


「……嘘だと思うなら、行ってみればいい」


 少しだが、やひろがムッとした様子で答える。あの、いつも無表情なやひろが、怒るだなんて。


 相当嫌だったんだろうな。とうごと一緒にされたことが。

 それはそれで、とうごが可哀想なのだが……。


「って、行く……って、どこへ?」


「決まっている、その魔法使いのところ……」


 そう言うと、やひろはパタパタと外へ駆けて行った。


「場所も分からないのに、何言ってんだ?」


「あ、の、ひろくん、勘が鋭いから……。つ、ついて行ってみない……?」


 遠慮がちに、むさしが言う。


 あー、そういえば、そんなことも言っていたな。

 元刑事の勘というわけか。刑事が、勘で動くのも、どうかと思うが。


「……多分、こっち……」


 外に出たやひろは、多分と言った割に、迷いなく森へと入っていく。


 巨大な木々が生い茂り、ツタが足に絡まってくる。

 人間が通った痕跡など、もちろんない。


「これ以上、進めなくなったら帰るからな!」


 不満気なせんじの声が、森中に反響する。


 それでも、やひろは歩みをやめない。

 一歩進むたびに、森は暗く狭くなってくる。


 こんなところに、本当に人が住めるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ