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天記神の隠し事2

 ウカ達はキツネを眺めていた。この辺にはキツネがいないはずなので、おそらくこの村の人々が何かと結びつけたモノが神霊として現れているようだ。

 山の上にあった大きな神社と村近くにある小さな社は別物のようだ。

 この小さな社はウカノミタマ神がまつられているようだった。

 「もしかして、これ、私?」

 ウカが畑の隅にあった社を見てそう言った。

 「そうかもね。でも、この時代はそれぞれの想像の稲荷ではなくて、ウカちゃんや僕らも皆、本社にいるウカノミタマ様だった。いつ、僕らが分かれたかわからないけど、僕らは皆、ひとつだった。この社は遠すぎて参拝できない本社に行けない人のために作られたんだよ」

 ミタマが小さな社を見た後、山の上の神社を見る。

 「で、たぶん、あれは……」

 「俺の神社だな」

 ミノさんがミタマに続くように言葉を発した。

 「そうだな。たぶん。この地域はわりとごっちゃごちゃだ。ミノさんの神社はウカノミタマ様ではないのかもしれない。半分、土着神か? 冷林伝説は社や鳥居すらない。あの山の半分の林が神霊化して神域を作っているだけだ」

 プラズマがため息混じりに答えた。

 「まあ、こういう時代はあるよね」

 「冷林の向こう側の林には草木の神がいるらしいな……」

 プラズマが冷林とは逆側の森を指差した。日照りのせいか村にも山にも元気がない。

 「だけどよ、あのメスのキツネに違和感が……」

 ミノさんはやはりキツネが気になるようだ。

 「……あのキツネは神っぽいからどういう位置付けか見ないとね」

 ウカがそう言い、ミノさんは頷いた。

 ページが進んだ。地域の力が弱った。キツネが高天原産の食べ物を村に渡していたことで、村人はこの地域にいたタヌキに「化かされた」と認識するようになり、逆効果となる。

 目の前に冷林が現れ、キツネを何やら咎めていた。余計なことはしないように、このままでは高天原で罪になるぞと警告しているようにも見えた。

 「あのキツネ、冷林軍か」

 プラズマがつぶやいた時、キツネが倒れた。神力を使いすぎたこと、禁忌をおかして村を復興させようとしたが、逆に衰退してしまったことでキツネは消えてしまう寸前までいってしまう。

 森が枯れ、キツネは自分が犯した罪の重さを感じた。助けずに見守る。これで良かった。人間は森に目がいかなくなり、森がないがしろにされ、偉大さ、雄大さなどが消え、逆に森を枯らす原因となってしまった。

 キツネは最期に少女の姿になった。

 冷林が慌てて神力をわける。

 しかし、キツネの少女はどんどん弱り、足から透けていっていた。

 冷林が頑張っていたが、キツネの少女は消えてしまった。

 それを影から見ていたのは山神であり木種の神でもある、イソタケル神だった。

 イソタケル神は冷林が彼女を消したように見えた。

 「ハナイズミヒメが冷林に……。ハナイズミは木種の神だ。私の……配下だ……」

 イソタケル神は冷林を睨み付けると冷林に問いかけようとしたが、冷林はすぐに消えてしまった。

 「……冷林、泣いてたよね」

 ウカがプラズマを仰ぎ、プラズマは頷いた。

 「冷林は六歳だ。ずっと変わらない。優しい子だから……禁忌を犯したハナイズミヒメという神をなんとか救おうとしたんだ。ハナイズミヒメは高天原の野菜を持ち出し、人間へ過干渉したから最終的に人間が不信感を抱き、ハナイズミヒメは消えることとなったが、冷林は消えてしまう神を見て悲しくなって逃げたんだな」

 「で、あの植物みたいな頭していた神は?」

 ミノさんが首を傾げつつ尋ねる。

 「おそらく、イソタケルだな」

 「すっごい神じゃないか……嫌な予感」

 ミタマが苦笑いを浮かべていると、人々が山を登っているのが見えた。ページが進む。人々は痩せ細ったまま、山を登り、丘の上にあった神社へ入っていった。ページが進んだことにより、村付近にいたウカ達は気付いたら丘にあった神社にいた。

 「……外観、ちょっと違うけど、ミノさんの神社っぽくない?」

 ウカが言い、ミノさんは眉を寄せたまま神社をなめるようにみていた。

 「んん? では、麓にあった小さな社がハナイズミヒメのものだったと?」

 リガノがミノさんに尋ねる。

 「俺は知らねーよ」

 そう言った時、神社に新しいキツネが現れた。お参りする人々には見えていないため、神だ。

 キツネの性別はメス。

 ハナイズミヒメとは違うようだ。

 「……この子……ハナイズミヒメの神力を持ってるね。別の神として現れた?」

 「あのキツネ……またも俺っぽいが、メスなんだよな」

 ミノさんは眉を寄せていた。何かを思い出しそうな気がする。

 「じゃあ、やっぱり、このでかい神社がハナイズミヒメだったんだね。生まれ変わった子があのメスのキツネだ」

 「今度はウケモチっぽいというか……稲荷っぽい力を感じるぞ」

 リガノがつぶやき、ウカは唸る。

 「人間の想像が色々混ざったんだよ。ここは、食物が実るようにと願われることになり、山の信仰が稲作、畑作の実り具合の有無に移行した。で、山の下にあった小さな社は私になる前の、本神ウカノミタマ様の分社か。後に村で稲荷も追加されたんだ。それから個別の稲荷として、私らができた」

 「つまり……?」

 ミタマは困惑した顔でウカを見る。

 「このでかい神社は……ミノさんの神社。実りの神の神社。今のミノさんの神社には稲を持っている石像もあって、横の看板説明には作物の実りを願っていたとあった」

 「……確かにそうかもだけど、女の子……だよ? あのキツネさん」

 「そうだよね……」

 ウカはそこが引っ掛かっていた。

 

※※


 天記神は図書館の閲覧席で自虐的に笑いながら本を手に取った。

 「さあ……あの方々にも私が起こした……恥ずかしく、最低な記録を見てもらいましょうか……。許されない行為をしたのは……私」

 天記神が持つ本に涙が落ちた。

 「……ミノさん……あなたは私を許すでしょうか……」

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