第13話 異議あり
「前回のドラゴン退治の戦いでミランはランに恋をしていた。ランが魔物化して心が弱っていたところにミランが励まして芽生えた愛。こうして2人は結ばれて恋人になりましたとさ。どうだ?俺の考えたシナリオは完璧だろう?」
と俺はランとミランに言うと
「はい。」
とランが手を挙げた
「なんだ?ラン。」
「このラブロマンス作戦でルーチス村の人間達が魔物に優しくなるってこと?」
「そうだ。」
「異議あり!」
「なんだ?それ?」
「反論があります。」
「どうぞ。」
「私のミランが恋人になることで傷つく人間がいます。」
「誰だ?」
「マーブルです。彼女はミランに恋をしています。私とミランが恋人になったと知れば傷つくと思います。」
「いや…別にマーブルは俺に恋をしているわけじゃないと思うけど…都合の良いおもちゃだと思っているよ。」
とマーブルが言う
するとランはハァ…と深い溜息をついて
「ミランはバカなの?マーブルはミランが魔物になってもずっと側にいて欲しいと言ってるのよ?愛よ。愛。それ以外に何があるのよ。」
「手下とか奴隷とかが欲しいだけだろ。」
「あのさ…マーブルがミランにした意地悪って何?」
「カバンを盗られたり…鉛筆を盗られたり…」
「あー。はいはい。可愛いイタズラ程度でしょう?」「まぁ…」
「そんなことでずっと根に持つのダサくない?ミラン。」
「はぁ!?毎日毎日くだらないイタズラをされたら誰だって嫌になるだろう!?」
「愛情の裏返しなのよ。」
「しらねーーよ!素直に好きと言えばいいだろうが!!」
「恋する乙女にそんなこと出来ないのよ。」
「めんどくせーーーよ!」
2人が口論を始めたので
「おい。本題はどうなったんだ?マーブルを傷つけるとラブロマンス作戦に影響があるのか?」
と俺がランに聞くと
「当たり前でしょう!?バカバカバカバカ!私達失恋同盟としては嘘をついて失恋させるのは心苦しいと思わないの!?」
「うーむ…まぁたしかに失恋させるのは心苦しいけれど…マーブル1人だけがこの作戦の穴ならやる価値はあると思うよ。マーブル以外の人間達には有効な作戦だ。」
「ひどい!最悪!最低!!」
「なっ…」
「マーブルはたった1人今でも唯一魔物に友好的な人物なのよ?その重要人物を敵に回すのは悪手だと思うけど。」
「でもさ。マーブルは村から浮いてて変な女だろう?そんな女を味方につけたところで何の意味もない気がするけど。」
と俺が言うとランは凄い形相で睨んできた
「これだから正解だけを求める効率厨は嫌なのよ。人には感情というものがあるのよ?わかる?」
「魔物に人の心を問われるとはな。」
「心は人間なものでね。」
「マーブルがこのラブロマンス作戦で魔物の反転アンチになったところで何も影響ないように思えるけれど?」
「全員が幸せになる作戦を立てましょうよ。」
「そんなこと言ってたら日が暮れるぞ。全員幸せなんて夢物語だ。何かを得るには何かを捨てなければいけないものだよ。」
「クーデルならそんなこと言わないのに。」
「あいつは甘ちゃんだからな。現実はそんなに甘くない。一緒に旅をしてたらわかるだろう?クーデルが甘すぎるからランが非情にならなければいけない時だってあったはずだよ。」
「…。」
「世の中甘くない。人間からドラゴンに魔物化して襲った村に魔物の存在を認めさせるには愛という力は絶対に必要だ。魔物には心があって愛し合うことが出来ると思わせることは重要だ。」
「わかってるわよ。それぐらい。」
「1人の女の子の失恋ぐらいで計画を止めるわけにはいかない。」
「1人の女の子が失恋したぐらい…ね。」
「マーブルに感情移入してしまうから嫌なのか?これはランの命もかかっている作戦なんだぞ。魔物が安全だとナーチス村で浸透するのは大きな一歩になる、魔物に嫌悪感がある村の意識を変えることは絶対に大事なことだ。」
「わかってる。」
「…明日の朝、ナーチス村にランとミランが降りて恋人同士であることをアピールする。わかったな?」
「私はカイトの作戦に命を賭けてやると誓ったから。」
マーブルが失恋して傷つける作戦に不満があるようだが!最終的にはランも承諾してくれた
あんなに仲悪い相手のはずなのに…
好きでもない友人でもない女の子相手に優しくするなんてやっぱりランは優しいやつだな




