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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒五
45/89

四十四升目。

小さいころからよく女の子に間違われてた。

可愛い服も好きだった。

同級生の男子と遠ざかる。


女子と仲良くするようになってから、

着せ替えごっこ遊びで初めての女装。


知らないうちに女装するのが楽しくて仕方がなくなってた。

自分の居場所がここにある!そう思えて安心する。可愛くなった自分を見るのも好き。

高校になってからは夜中こっそり女装して、お出かけ。

ドキドキとホっとするなんともいえない気持ちが癖になる。


気がつくと恋愛対象に女性が無くなっていた。

可愛い、きれい、と思うけれどそれは憧れや、

自分もそうやってみたいという類。

だからと言って男性を好きになったことはなかった。


いつしか学校が休みの日には朝から少し離れた街へ女装をして出かけた。

声変わりもしてないから買い物をするときでも男ってバレなかった。

そんな日々。楽しかった。あまり友達もいなくなってたけど楽しかった。


月曜日。学校。

机の上に落書き。


“気持ち悪いおとこおんな”


頭の中が白くなって次に目の前が暗くなって・・・・・・。

気がついたら天井が目に入った。病院。倒れてそのまま救急車。


『ボクの女装、誰かに見つかったんだ・・・・・・』


悲しくて切なくて涙が少し出た。

それからいじめ、いやがらせは続いた。

学校の男子も女子も家族も距離を置くようになった。


夜遊びが増えた。女装で。

そこで知り合った人たちに勧められて、

いろんな映画を観た。本を読んだ。

くだらない人を信じるな、とも言われたっけ。


―――高校二年の夏休み初日。

アスファルトに真っ黒い影を一つ焼きつけるあの日。

ボクは持てるだけの物を持って、家を出た―――


強くずっと笑っておどけて。

くだらない人を信じないように気をつけて。

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