四十五升目。
強くずっと笑っておどけてきた。
しかし・・・・・・。
幸太、栄子、滝口を見る。
この人たちの前で泣いてしまった。
安心してもいい人たち。
いつの間にか心がゆるんでた。
心をほぐしてくれた人たち。
全然ダメなボクのことを凄いと言ってくれたり、
なにも言わないで受け止めてくれた。
「明子ー。まだ泣きたりないなら、
こっちで飲みながらみんなと泣け」
手招きする幸太。
「うん!今行く!!」
大きな声で返事をする。大丈夫。この場所は大丈夫だ。
大きな声で元気よくしよう。無理した強さじゃなくて、自然な強さで。
夜中まで色んな話をした。
幸太は仕事の疲れが出たのか気がつくとぐったり寝ていた。
栄子が毛布をかけている。
「この子は生きるの不器用な子でね。
昔友達が死んだのも自分が悪いと思ってるところがある。
気がついたときには誰にも何も出来なかったってのにね」
「それって岸田さん、ですか?」
「明子ちゃん知ってるのかい?」
「はい。幸太から少しと、
この前連れて行ってもらったお店のオーナーさんに詳しく聞きました」
「ああ、あそこ行ったのかい」
「機材引き取ろうとして行ってきましたよ。でも・・・・・・」
滝口がグラスのふちをなめながら呟く。
「引き取ってはこれなかった」
「はい」
「そんなもんさ。もうしばらく時間かかるだろうけど、
気長にやりな。あの子もそう言ってたろ」
「あの子?」
明子はきょとんとした顔で栄子を見つめる。
「あそこのオーナーさ」
にっこりと答える。
「栄子さんからすればオーナーもあの子扱いかあ」
滝口はふぅ、と軽く息を吐いて天井を見上げる。
「そうだ。滝口。
奥からカメラと三脚持ってきておくれ」
「別にいいですけど、どうするんです?」
「せっかく明子ちゃんがきてくれたからみんなで写真撮ろうと思ってね。
前幸太が連れてきたときはアキちゃんだったんだよ」
「あいつ最初はアキちゃんで連れてきたんですか」
「そうなんだよ。気の利かない奴だよ」
笑いながら明子の頭を優しくなでる。
「それじゃ持ってきます。
幸太、どうします?起こしますか?」
「いいさ、このまま寝かせておいてあげよう。
顔。この間の抜けた寝顔だけ一緒に写ってればオッケー」
「酷いですよ栄子さん」
言いながら笑いをこらえる明子。そのうち顔を見合わせ三人クスクスと笑う。
カメラをセットし、タイマーをかけ、パシャリ。
素敵な笑顔の三人と間の抜けた寝顔のワンカット。




